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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
20/290

20. スキル エルダースライム

『スライムスーツニ新タナ能力ガ追加サレマシタ』


『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』



エルダを捕食した雄太へとスキル追加のアナウンスが聞こえた。



「そんじゃ、鬼退治に向けてのスキルを確認するか」


─────

橘花 雄太(25)


ユニークスキル:

【擬装】 (アクティブ)

-【収納】 (アクティブ)

-【超越】 (パッシブ)

-【並列思考】 (パッシブ) NEW

-【スライムスーツ】 (アクティブ) LV 4

<スライムグラトニーベース>

・身体強化 (パッシブ)

・同属察知 (パッシブ)

・同属捕食 (パッシブ)

・スライムナイト:硬化変形 (パッシブ) 衝撃吸収 (パッシブ)

・スライムソルジャー:斬撃変形 (パッシブ)

・スライムメイジ:膨張変形 (アクティブ)

・スライムスナイプ:狙撃変形 (アクティブ)

・スライムジェネラル:統率変形 (パッシブ)

・アーススライム:アースエンチャント (パッシブ) 土属性耐性 (パッシブ) 質量追加 (アクティブ) 無機物捕食 (アクティブ)

・エルダースライム:NEW

─────


スキル欄へと新しく並列思考とエルダースライムが追加され、スーツのレベルが4になった。


雄太は、そのまま並列思考とエルダースライムの概要をポップアップさせる。


─────

【並列思考】 (パッシブ)

擬装へともう一つの意識を形成し、並列化した思考を発現させる。


【エルダースライム】

・意思疎通 (パッシブ)

膨張へと並列思考を付与する。


・造形変形 (アクティブ)

膨張をイメージした形に造形する。

─────


エルダースライムから得られたスキルは、エルダを思わせる様なスキルであった。


雄太はエルダの事を思い出しながらも膨張を発現させ、スキルの確認をする。



先ずは並列思考だな。


パッシブだから勝手に使えるとは思うが・・・



雄太が並列思考について考えると頭の中から声が聞こえて来た。


『あれ? わたしどうなったの?』


「・・・・・・」


聞こえて来た声はまさかのエルダの声だった。


『アレ? ここって、さっきわたしが喰べられたところじゃない? え? ウソ? あたし生きてるの? って言うかあの人は何処へ行ったの? もしかしてわたしを喰べずに逃げた?・・・ やっぱり逃げたのね・・・ 凄い力を持っていたけど、顔もイマイチでなんか貧相で冴えない様な感じだったし、世界を救える様な感じにも見えなかったしねぇ。 なんか私の身体を舐め回すみたいな目つきで見ていたし、なんかキモチ悪かったし、もうちょっとこう、イケメンで白馬に乗った王子様みたいな感じだったら、わたしとしても本当にアレやコレやと色々と尽くしたのになぁ・・・ やっぱ、見た目がアレじゃねぇ・・・』


『・・・全部聞こえてるぞオイ・・・』


『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 頭の中からさっきの冴えない男の声が聞こえて来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 何コレ!? どう言う事!? まさか!? 姿を消してこの美しいわたしをずっと視姦し続けるつもりなんじゃ!? やっぱり見た目通り変態だったのね! あの男!?』


『そんなんしねぇし! 変態はずっと俺をストーキングしてたお前だろうが!』


『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? あの男の声がハッキリ聞こえるぅぅぅぅぅぅぅ!? 一体コレはなんなの!? 早いとこ此処から逃げなきゃ!? もういっその事、このダンジョンから出て行って、あの男が追って来れないとこまで逃げなきゃ! このままではあの変態に視姦され続けてしまうわ! 早く逃げなきゃ! え!? 身体が動かない!? 視線も動かす事ができない!? まさか!? あの変態がわたしに何か飲ませて身動きを封じているんじゃ!? ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!! 怖い、怖わすぎいぃぃぃぃぃ!! 貴方! わたしの後ろにいるのね! わたしに何をしたの!? こうやってわたしの身体の自由を奪ってチマチマといやらしく弄ぶつもりなのね!? わたしの身体は奪えたとしても心まで奪えるとは思わないでよ! この変態ヤロー!!』


並列思考によって雄太の頭の中へと突然現れたエルダは、雄太へと言いたい放題言いながら雄太の頭の中で大声で喚き散らしまくった。


『ウルせーぞゴラァあ!! 俺の頭の中でギャンギャン騒ぐんじゃねぇ!! お前はさっき俺に喰われたんだよ! 俺の新しいスキルで何故かこうなってしまってんだよ! わかったら大人しくしてろぉぉ!!』


『・・・え?・・・  マジ?・・・」


『あぁマジも大マジだ! お前はあの時確かに俺に喰われたんだよ! 分かったら俺の邪魔をするな! 今、色々と立て込んでんだよ! 分かったな?』


『・・・はい・・・』


漸くエルダを黙らせた雄太は、急いで次のスキルの検証をする事にした。



そんじゃ次は意思疎通か・・・


ふぅ〜・・・


今のやり取りで何となく想像が付くわ・・・


取り敢えず試しておくか・・・



と言う事で出現させている膨張へと意思疎通を付与した。


すると、出現させている膨張は、いきなり雄太の意思とは異なって自由に雄太の眼前で雄太を無視するかの様にウロウロと動き出した。


そして一頻り自由に動いた膨張は、急にクルっと反転したかと思うと、雄太の眼前で雄太と対峙するかの様にピタッと動きを止めた。


そして、雄太へと対峙する形で動きを止めた膨張は、まるでホラー映画の様に口らしき窪んだ穴を広げて唐突に叫び声を上げた。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


雄太はいきなり叫び出した膨張に恐怖を感じ、顔面を蒼白にしながら心の底から悲鳴を上げた。


「喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 膨張が喋ったぁぁぁぁぁぁぁ!!」


雄太はあまりの恐怖に耐えきれず、一目散にその場からダンジョンの奥へと逃げ出したのだが、雄太の背中から発現されている膨張は、雄太に引っ張られる様に追随して雄太と並走しており、それを見た雄太は必死な形相をしながら、振り切れない膨張を必死に振り切ろうと全力で走った。


「ハァハァハァハァ──  なっ、なんなんだコレは一体!? マジで怖すぎるぞ!?  ──ハァハァハァハァ」


「ちょっと何よコレ!? どうなってんのよ一体!? 急に動けると思ったらなんでわたしの後ろに貴方が居るのよ!? って言うかこの繋がっているのは何!? どう言う事なのコレ!?」


雄太と喋る膨張は、互いが思い思いに行動し思考し出した。


「ハァハァ── ングっ、ハァハァハァハァ──  お前は一体何なんだ!? 何故俺の意思に反して自由に動けて喋れるんだ!?」


「あ、貴方こそ、わたしに何をしたのよ! 急に動ける様になったと思ったら、何故貴方と繋がっているのよ!」


膨張は雄太の質問に質問で返して来だした。


「その声!? オマっ!? まさか、エルダなのか・・・」


雄太は喋る膨張へと人差し指を指し向けながら、確認する様に質問した。


「そうよ! わたしはエルダよ! って言うか何なのよコレは!? 何でわたしがこんな赤黒いスライムになって貴方とくっ付いているのよ!?」


雄太が膨張へと発現させた意思疎通によって、さっき迄雄太の頭の中に居たエルダの意思は膨張へと移っていた。


その証拠に、今は雄太の頭の中からエルダの声が聴こえなくなっている。


「マジかよ!? 一体何なんだよコレ!? マジで最悪なスキルじゃねぇか! クソっ! こんなの喰うんじゃなかったわっ!! チクショぉぉぉぉぉ!!」


雄太は地面へと両手両膝を着きながら、この最悪な状況に対して力なくガックリと項垂れていた。


「ちょっとぉ! 貴方なんて事言うのよ! コッチこそこうなるって分かっていたら貴方になんて喰べられなかったわよ! こんなの、一体どうすれば良いのよぉぉぉぉぉ!」


雄太の背中から発現している膨張へと姿が変わったエルダは、その赤黒く変わった身をグネグネと蠢かせながら、ダンジョンの天井へと向けて悲痛な思いを大声で叫んだ。







雄太は一頻り落ち込んだ後、深いため息を吐き出しながら立ち上がり、最後のスキルを試す事にした。


「どうせコレももう・・・」


なんだか想像できるわ・・・


「【造形変形】・・・」


雄太は横でウネウネ蠢いている膨張 ─エルダ─ へと手を翳してスキルを発現させた。


すると、赤黒い膨張 ─エルダ─ は、ボコボコと内側から造り変えられるかの様に気持ち悪く蠢き始め、上から下に向かって徐々に人型を整形し、細部の細部まで整形が終わると、先程、雄太が喰べる前の、銀髪の女性だったエルダの姿へと変わった。


「はぁ〜。 やっぱりそうなるよなぁ〜・・・」


雄太は頭を項垂れながら収納からタバコを取り出して吸い始めた。


「・・・・・・」


スキルを使われた当のエルダは、驚愕した表情で自分の手足をキョロキョロと確認するかの様に見回し、掌を開いたり閉じたり、腕を回したり脚を上げたりと動作の確認をし始める。


「わたしだ!? わたしの身体だぁぁぁ! 元のわたしに戻ったぁぁぁぁ!! やったやったやったぁぁぁ!」


エルダは一頻り自分の身体を確認した後に、飛び跳ねながら嬉しさを全身で表現する。


動き回って嬉しさを表していたエルダは、不意に自分の背中から延びている赤黒い紐の様なものへと目を止めた。


「アレ?・・・ 何コレ?」


エルダが、自身の背中から延びている赤黒い紐を辿り、延びている先を探す様に目で追っていくと、その先には黄昏る様に座ってタバコを吸っている雄太の背中へと辿り着く。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



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