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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第4章 動き出す歯車 編
171/290

171. お引っ越し

「──って事だ。オマエらとりあえず準備しろ」


『『ハッ!』』


『・・・ユータって、ちょくちょく凄まじい事を考えるわよね・・・本当、一体どう言う脳味噌の構造しているのよ・・・って言うか、普段から何考えていればそう言う考えが出てくるワケ?』


エルダは雄太の考えに対して驚いており、雄太はエルダと鬼達へと考えている事を伝え、雄太が考えた作戦の準備をさせた。


数分後、エルダと鬼達は雄太に言われた通りに準備を終え、部屋の電気を消した後に発現を解除された。


「よし、出てこい」


雄太の合図と共に、プレハブのリビングの床へと展開させた膨張からエルダ、ヤシャ、ラセツが姿を表した。


「え?どこ此処?」


エルダは見慣れぬ部屋のリビングに発現されていることに対し、部屋の中をキョロキョロとして驚く。


「此処はアレだ。サーペントダンジョンで奪ってきたプレハブの中だ」


「へぇ〜。室内はなかなか居心地良さそうな造りになってるのね。かなり殺風景で何も無い部屋だけど」


「そこはアレだ。オマエらがマンションの部屋から持って来たモノを取り出して飾り付けていけ」


「え?いいの?」


エルダは雄太の言葉に対して驚く。


「あぁ。良いぞ」


「え?此処に引っ越しって事?」


「まぁ、当分はそうなるな。って事で元通りとまではいかないが、収納の物を取り出して配置してくれ。部屋も寝室が3つあるから、1つは俺の部屋で、残りは好きにして良いぞ」


「それじゃ!わたしも1部屋もらうわね!」


エルダが1部屋もらうと言った瞬間、鬼達はエルダを睨みつけた。


「な、何よ!アンタ達どうせ、寝ずにリビングで延々とゲームやってるでしょ!部屋なんて必要ないじゃ無いのよ!」


「「・・・・・・」」


エルダを睨みつけていた鬼達は、エルダの言葉に何も返せなかったのか、エルダからそっと視線を外した。


「そんじゃ、一旦、リビングにマンションの部屋にあった物を全部出すぞ」


雄太はエルダと鬼達が回収して来たマンションの部屋にあったものを全て取り出した。


「そんじゃ、各自コレを配置していくぞ」


「「はっ!」」


「りょうか〜い」


雄太の言葉と共に、エルダは早速自分の物をそそくさと自室とする部屋へと運んでいった。


鬼達は真っ先にテレビを設置したりローテーブルを配置したりと、リビングでのゲーム環境を整え始めた。


「・・・どんだけドップリと俗世界に浸かりまくってんだよオマエら・・・ズブズブじゃねぇか・・・」


雄太は、早速自分達の生活環境を整え出したスキルズを、呆れた様な冷めた目で眺めていた。


「どうせ俺の物なんて少ししかねぇし、俺はキッチンからやってくか」


雄太は冷蔵庫やレンジと言った物を動かし、キッチン周りを整えた。


キッチン周りを整え終えた雄太は、トイレ、自分の部屋と言う順で整え終え、マンションで使っていた風呂用具については、風呂に入る時にでもやれば良いかと言うことで一旦収納へと仕舞った。


「んん〜。風呂が大きくなったのは良いが、いちいち外に出て風呂に行くのも面倒くせぇな・・・ここって改築とかって出来んのかよ?」


全てを片付け終えた雄太は、収納からレモンフレーバーの炭酸水を取り出してリビングのソファーの上へと座りながら、別々になっている風呂と2棟の寝室があるプレハブを都度行ったり来たりすると言うのが面倒くさく思いながら、どうしたものかと考え始めた。


「ってか、もう、面倒くせぇから3つのプレハブを全部くっつけりゃ良んじゃねぇか?・・・シス。お〜いシス〜」


と言う事で雄太は、自身の目の前でゲームをやり始めた鬼達を尻目に何か良い案がないかとシスへと意識を繋げた。


『『イエス。マスター』』


「うぉっ!?」


雄太は今はシスが分離している事をスッカリと忘れており、声が重なって聞こえてきたことに驚いた。


「そういや、今は分離してるんだったな・・・なんか、この3棟のプレハブを一つに纏める方法やアイディアってないか?」


『『ノー。コレらは魔道具であってマスターのスキルではありませんので、私からはなんとも言えません』』


これまたぴったりと一言一句息の揃った声で返答が返って来た。


「そうか。だよなぁ〜」


雄太が仕方ないかと他の方法を探そうと考えたところであったが、シスは話を続けた。


『マスター。今、私が尋問している魔族にプレハブについて聞いてみます。あの実験室の責任者の様な魔族もいたので多分何かしら対応ができるかと』


「お!そういや居たなそんな奴も!そんじゃ、そいつから真っ先にプレハブについて聞き出してくれ!」


雄太は、これはなんとかなるじゃないかと思い、少しウキウキし始めた。


「そんじゃ、俺は先に寝るぞ」


「おやすみぃ主ぃ」


「主。良き眠りを」


雄太は軽くあくびをしながら自室へと向い、元々プレハブ内にあったベッドからすり替えた、マンションの自室で使っていたベッドへと潜り込んだ。














─夜が開け


─次の日


雄太は激しく部屋をノックする音とエルダの声で目が覚めた。


「─きなさいよ!ユータぁぁ!起きなさいっていってるのよ!早く起きてよ!」


「・・・クソ・・・なんなんだよ一体・・・昨日の戦闘や引っ越しで疲れたからもう少し寝かせろよ・・・」


普段は早起きの雄太でも、昨日の疲れのせいでグッスリと眠っており、少し気怠い身体をゆっくりと起こし、ドンドンと煩く鳴り響くドアを開けた。


「ウッセーな・・・一体何なんだよ・・・今日は何も予定が無いんだからもう少しくらい寝かせろよ・・・」


雄太は少しイライしながら開いたドアの向こう側にいたエルダへと愚痴を言う。


「何だとは何よ!シスからの連絡よ!こっちもグッスリ眠っていたところを鬼達に無理やり起こされたんだからね!さっさとシスと繋がりなさいよ!」


エルダはいつもの事だが、昨晩の雄太はザガンとの戦闘で余程疲れていた為か、シスからの声が全く聞こえ無い程グッスリと眠っていた。


「あぁ〜。分かった。分かったから、朝からそんなに大声あげんじゃねぇよ・・・」


雄太は未だに覚めない頭を起こす為、プレハブから出てタバコを吸い始めた。


「わりぃ。シス。久しぶりにグッスリ寝てたわ・・・一体どうしたんだ?」


「マスター。近藤が目を覚ましました」


と言う声が耳から聞こえると共に、ガチャリと隣のプレハブのドアが開いた。


「・・・そういや、1体は隣に居たんだったな・・・」


タバコを吸っている雄太の元へと、黒髪の少女の方のシスが歩み寄って来る。


「イエス。先ほどは起きた近藤へと現在の状況を説明していました為、意思疎通でマスターを起こしたのですがグッスリと眠られておりました。次にエルダへと思考を繋げるも、コレまたグッスリ寝ていた。一晩中、近藤の横で何をするでもなくずっと座りぱなしだったもので、私も少し腹が立ってしまい、寝ずにゲームをやっていた鬼達へと、何をしても良いからと言う事でエルダを無理やり起こさせました。鬼達には起きたエルダへと次にマスターを起こす様にとメッセージを残し全員を起床させて頂きました」


「大変申し訳ございませんでした・・・」


黒髪シスは雄太へとニコリと笑っていたが、目の奥は全く笑っておらず、雄太は即座にシスへと謝った。


「只今ミカへも連絡を入れましたので、裏ギルドの連中も此処へと向かってくるかと」


「迅速なご対応を頂きありがとうございます・・・」


何故かは知らないが、雄太は発現させた実態のあるシスに対して頭が上がらなくなってしまっていた。


こうして対面で実体のあるシスと話しているソレは、まるで、会社で働いていた時にもあった、事務や経理の人と話しをしている様な感覚であり、雄太は会社で働いていた時に摺り込まれた行動が無意識に発動していた。


「と言う事ですので、ご準備の方をお願い致します」


「はい。速攻で済ませて来ます!あ、これ準備している間に食べておいて。近藤にも渡して」


雄太は収納からシスと近藤の分のおにぎりとお茶を取り出して渡す。


「ありがとうございます!」


元がエルダだったからなのか、シスは雄太が渡したおにぎりを見て、ジュルリと口元に浮かび上がった涎を手で拭った。



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― 新着の感想 ―
[一言] ・寝ずにリビングで永遠ゲームやってるでしょ! →延々ではないでしょうか?
[一言] シスも食いしん坊枠だったか・・・良きかな・・・
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