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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第4章 動き出す歯車 編
162/290

162. ザガン

雄太から発射された細く真っ青な針の様な塊は、まるで生きているかの様にスルスルと炎の塊の群れや爆発をすごい速さで潜り抜け、無数の炎を発現させている陣を眼前へと展開しているアミー の頭上を過ぎて上空へと跳ね上がった。


アミー を通り越して上空へと跳ね上がった水色の針は、下弦に弧を描く様に滑空しながらアミー の背後からアミー の胸に位置しているデビルスライムへと寸分違わずに突き刺さる。


「ガッ!?」


寸分違わずにデビルスライムを串刺しにした水色の針は、圧縮されていた何かが弾けるかの様にボン、ボン、とアミー の中で膨れ上がっていき、



「ギャぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



体内へと侵入した針はアミー の身体ごとどんどんと膨れ上がり、内側からだんだんと巨大化していく青いスライムによって、デビルスライムごと内側から喰われて吸収される様にはじけた。




パンっ!




アミーの体が破裂すると、そこにはアミー の姿形は一切なく、代わりに、水の塊の様な巨大な丸々としたスライムが姿を表しており、同時に、激しく爆発していたアミー が発現させていた無数にあった炎の塊も一斉に姿を消滅させた。


「アミィィィィィぃいい!」


破裂音と共に急に姿が消え、アミーと変わる様にして現れた巨大な青いスライムを見たザガンは、手にしている大剣を小さなクレーターができるほど地面へと激しく打ち付け、ザガンが視線を外した隙をついて向かって来た芽衣達を吹き飛ばし、この不可解な現象を確認する為に距離を空けた。


「なんなんだ!?このクソでかいスライムは一体どこから現れた!?アミィィィィ!一体どこに行きやがったんだ!」


ザガンは大剣を地面へと叩きつけた事でできた隙の中で、周りをキョロキョロと見回してアミーを探すも、周囲にはアミーの姿を捉える事ができず、芽衣達と雄太の両方が確認できる位置へと移動する。


「テメー!一体、何しやがったぁぁぁぁぁ!」


ザガンは、雄太へと横目で視線だけを動かして睨みつけるも、雄太は赤兎の姿でゆっくりとザガンの元へと歩いて来ており、無言でもって返答した。


「チクショー!殺ってやるぅぅぅぅぅぅ!オマエら全員!皆殺しだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ザガンは無言でやって来る、赤兎姿の雄太に対して恐怖しており、何かを決心したかの様に手にしていた大剣を地面へと突き刺した。


「魔獣化ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!解っ!放ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ザガンは、咆哮する様に大声をあげると、空いている両手で頭のこめかみ部分にある左右の角を握りしめ、ブチブチと音を立てながら引き抜いた。


「がぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」


狂った様に白目を剥きながら自身の角を引き抜いたザガンは、角を引き抜いたと同時に身体がボコボコと膨れ上がって変質し始め、芽衣達は、変質し始めたザガンの姿を、まるで思考が停止しているかの様に身体を硬直させながら、ただジーっと何もできずに見つめていた。


「何をするか分からねぇが、そう易々と思い通りにさせるかよ!」


しかし雄太は、芽衣達とは違って、身体が膨れ上がって変質し始めているザガンを待つつもりは更々なく、ザガン の足元に展開している膨張から爆炎の火柱と同時に縛鎖を発現させてザガンの行動の阻止をする。


雄太が発現させた爆炎は、どんどんと巨大化していくザガンの身体を焼き尽くすかの様に包み込み、その炎の火柱の中では、無数の縛鎖がザガンを地面へと縛りつける様にザガンの身体の至る所へと巻きつきだした。


しかし、ザガンの身体は瞬く間に巨大化しており、爆炎の火柱を消し飛ばし、巻きつく漆黒の鎖をいとも簡単に引きちぎった。




「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」




巨大化したザガンは、下半身は2足歩行の直立した牛で、人の様な上半身、頭部が牛の姿となっており、一見すれば、まるで巨大なミノタウロスの様にも見えるが、背中からは蝙蝠の様な羽を生やし、尻尾の先は蛇の頭、ザガンが自身で引き抜いた角があった箇所からは、漆黒の炎の様なものが角を模す様にユラユラと立ち昇らせ、腕を振り下ろして広げながら、声にならない様な太く低い咆哮をあげた。


「なっ!?」


「嘘・・・でしょ・・・」


「・・・・・・」


芽衣とミカは巨大化して容姿が変わり果てたザガンの姿に驚愕しており、日向は、まるで己が死ぬ時を悟ったかの様に顔を青ざめさせながら無言でザガンを見上げていた。


「オマエらぁぁぁぁぁぁぁ!脚を動かせぇぇぇぇぇぇ!!その場から逃げるんだぁぁぁぁぁぁ!!」


雄太はザガンを見上げながら硬直している3人へと向かって大声を上げるも、思考が飛んでしまった3人は硬直しており、雄太のスキルであるミカでさえも雄太の声へと直ぐには反応ができていなかった。




「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」




再度咆哮を上げたザガンは、徐に両手を握りしめて頭上へと振り上げ、芽衣達の方へと向かって勢いよく振り下ろした。


「「「!?」」」


「盾ぇぇぇぇぇぇぇええええ!!」


雄太は、瞬時に地面へと展開させていた膨張から硬直していた3人を覆い囲む様にして巨大な盾を発現させるも、雄太の盾を打ち付けたザガンの振り下ろしは、容易に盾を砕きながら3人へと猛威を振るった。


「がはっ!?」


「きゃぁぁぁ!」


「ぐぅぅぅぅぅ!」


雄太の盾が破られた瞬間、咄嗟にミカが硬直していた身体を日向と芽衣の前へと動かし、頭上へと手を掲げながら雄太同様に内側から盾を発現させるも、ミカ達3人はなす術なくザガンの重い打ち下ろしを止める事ができず、地面へと直撃した撃ち下ろしの衝撃によってその身を方々へと吹き飛ばされた。


「餓鬼発現!」


雄太は地面へと展開している膨張から複数の餓鬼を発現させて、方々に吹き飛ばされた3人へと向けて餓鬼を支援へと向かわせながら、無数の分離した膨張を発現させてザガンの周囲へと浮遊させて展開させた。


「餓鬼共!2人を回収して安全圏まで避難させろ!ミカは送った餓鬼で自身の損傷を直して俺の援護をしろ!」


「申し訳、ないです、マスター」


餓達は、吹き飛ばされて地面へと横たわっている日向と芽衣の身体を持ち上げてダンジョンの降りて来た階段の方へと運んでいき、ミカは、やって来た餓鬼を吸収して肘から先が吹き飛んだ両腕を修復させた。


「クソ!縛鎖を引きちぎって盾まで難なく破壊するとか、一体、どんだけ力が上がってんだよアイツ!」


雄太は悪態をつきながら、ザガンの周りへと浮遊して展開させている膨張を、次々に連鎖させながら盛大に自爆させた。




ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」



ザガンはその身へと纏わり付く様に浮遊して展開している膨張の自爆の衝撃波によって、その身をヨロヨロとヨロめかせるも致命傷には至っておらず、ヨロヨロと身体をフラつかせながらも、それを成している雄太を見下ろす様に視線を固定させた。


「クソ!まるで効いちゃいねぇ!」


ザガンは次々と自爆していく膨張の中をヨロヨロ、フラフラといった足取りで雄太へと向かって歩き始め、少しずつ雄太へと近づいて行く。


「【槍棘】!付与【縛鎖】!付与【刺突】!」


雄太は、槍棘に縛鎖と刺突を付与してザガンの脚へと突き刺すも、地面から突き出ている槍棘はザガンの脚を貫通して捕縛する事ができず、ザガンはバキバキと槍棘をへし折りながら、その巨大な脚でもって、一歩、また一歩と雄太へと向かって歩を進める。


「クソ!デカい上に硬過ぎて、攻撃が全く効いちゃいねぇ!」


雄太は、自身の攻撃の威力が足りず、徐々に近づいて来るザガンに対して苛立ちを覚えながら焦り、眉間にシワをよせてザガンを睨みつける。



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