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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
14/290

14. 追加スキル検証

スキルの概要を確認した雄太は、吸い終わったタバコの吸い殻を収納へと仕舞い、スキルの検証をする為に立ち上がった。


「さてとっ」



スキルの検証をしたら今日はもう帰るか。



雄太は1本の赤腕を自分の右腕へと発現させ、スキルの概要にある様に発現させた赤腕へと【質量追加】を使用した。


「ぬぅおぉっ!?」


何も考えずに赤腕へと【質量追加】を使用した雄太の腕は、まるで大量のウェイトを括り付けたかの様に『ズゴン』と言う重量のある音を立てて地面へと落下し、雄太の身体は腕の重さを支えきれずに地面へと倒れ伏した。


「うがぁっ! ちょ、まっ! えぇ!? オッモ!?」


右腕を1ミリも動かす事が出来ずに潰れたカエルの様に地面へと倒れ伏している雄太は、顔を真っ赤にし涙目になりながら急いで質量追加を解除する。


「ふざけんな! 死ぬかと思ったわ!! 殺す気か!?」


自身でやった事ではあるが、誰に対してこの怒りをブツけて良いのか分からない雄太は、怒りに任せた勢いのまま虚空へと向けて怒鳴り散らして怒りを発散させた。


「ヤバいだろコレ!? ヤバすぎるだろコレぇぇぇ!?」


こうなるんならちゃんとそう書いとけよ!!


腕が千切れるかと思ったわ!



質量追加から解放された雄太は、右腕をグルグルと回したり摩ったりしながら腕が無事かどうかを確認する。



コレは身体から離して使った方が良いかもな・・・



と言う事で、雄太は背中から赤腕を伸ばして発現させ、意識しながら少しずつ質量追加を使用していく。


背中から脇を潜って雄太の眼前へと伸びている赤腕は、少しずつ質量追加を加えていく毎に段々と下へ下へと下がっていき、終いには『ズン』と言う重そうな音を立てて地面へと落下した。


雄太が重い音を立てて地面へと落下した赤腕を触ってみると、通常の膨張と同じ様にブニブニとした触感をしていたのだが、両手で持ち上げようとしても、統率を使って指示を出して持ち上げようとしても赤腕を持ち上げる事は出来なかった。



一体どう言う原理でこうなってんだよ!?


柔らかいのにクソ重いとかマジで訳が分からねぇぞ!?


相手を圧死させるしか使い方が思いつかねぇわ・・・


取り敢えず次行くか・・・



雄太がそう言って質量追加を解除すると、赤腕はいつもの様にウネウネと空中へと漂い始める。


「次は【無機物捕食】か」


コレも膨張へプラスする感じだよな?


無機物って事は、あの壁スライムがやってたみたいに、ここの地面や壁でもできるんだよな?



雄太は空中でウネウネしている膨張に、無機物捕食を使って足元の地面を捕食させた。


すると赤黒く透明感があった膨張は、まるでアーススライムの体表と同じ様に透明感の無い、捕食した地面と同じ色へと変貌した。


「・・・まんま壁スライムじゃん・・・」


雄太は好奇心で地面と同じ色になった膨張を触ってみると、まるで地面を触っているかの様に硬かった。



体表がスライムみたいにグニャグニャしてるのに硬いってどう言う事だよ・・・


コレ、もう岩と同じ硬さだろ・・・


って言うか、コレに【質量追加】を使えば壁スライムの触手と同じじゃねぇか・・・



雄太は現象的に何故こうなるのかと言う事を考えるのを諦め、コレはこう言うモノなんだと言う事で自己解決した。


「取り敢えず・・・」


赤腕が硬化した感じって思っておけば良いか。


って言うかコレ、先っぽを龍の頭みたいにしたら格好良さそうだな・・・



と言う事で、雄太は無機物捕食で地面と同じ色になった膨張の先を、龍の頭の様にイメージしながら変形させた。


「スッゲー!! 何コレ!?」


なかなか格好良いんだけど!?



先が龍の頭になった膨張は、雄太の周りをグルグルとトグロを巻く形で浮遊しており、雄太の厨二心は、まるっと余す事なく鷲掴みにされてしまった。



よし!


コレは土龍って呼ぶ事にしよう!


そして他にも無機物を捕食させて試してみるぞ!!



雄太の心の奥底へと眠っていた厨二心は、25歳になって急激に加速を始めた。


雄太は目をキラキラさせながら無邪気に土龍を操って楽しんでいたのだが、ふとある事に気付いた。



俺の錯覚かぁ?


コレって普通の膨張より何か動きが遅くねぇか?



不意にそう感じた雄太は土龍とは別に背中から普通の赤腕を発現させ、統率を使って同時に遠く離れた壁を触る様に指示した。


雄太の背中から同時に飛び出した赤腕と土龍は、出だしこそ同じではあったが、段々と土龍と赤腕の間に差が生まれ、終わってみれば赤腕が大差をつけて土龍より先に壁へと到達した。


「何てこった・・・」


ここまで速度に差があるのかよ・・・


取り敢えず早い段階で性能が分かっただけでも良しとして、まぁ、硬くなった分仕方ないと思うか。


土龍は基本は防御専用として使う事にして、色々な鉱石なんかの無機物を試して更に硬くなってもらおう。



赤腕と土龍の性能の違いと使い分けを発見する事が出来た雄太は、満足した顔をしながら土龍を解除しようとしたのだが、何故か質量追加が思考に引っ掛かり、土龍へと質量追加を使用した。


すると、赤腕へと質量追加を使用した時とは違い、幾ら土龍へと質量追加をしても全く重さを感じる事がなかった為、少しヤケ気味になって土龍へと質量追加を気の済むまで使用した。


「え?」


どう言う事?


ちゃんと質量追加できてるよな?



試しに質量追加をした土龍を地面へと叩きつけてみると、地面は叩きつけた土龍を中心に弾け、小さなクレーターを作った。


「ウソだろ!?・・・」


そう言う事か・・・


コレはセットで使うスキルって事だったのか!


マジでそのまんま壁スライムと一緒じゃねぇか!?



「スゲーなコレっ!」


雄太は質量追加の使用用途が解決でき、防御専用と考えていた土龍を攻撃にも回せる事が出来るという事が分かり、今回の獲得できたスキルに大満足した。


「さてと」


スキルの検証も終わったし帰るか。


結構な時間が経ってるし、素材も沢山集まってるだろうしな。


って言うか、ここに来るまでにスキル制御の練習に夢中だったから全く気にしてなかったけど、今どれくらいの量が貯まってるんだ?



雄太はゴーグルのディスプレイへと、今日獲得した素材を表示させた。


・スライムゼリー x 291

・スライム鉱石 x 1


「おぉ!?」


昨日よりも多いな!?


何気に結構狩ってたんだな!?


って言うかスライム鉱石って何だ?



雄太は腕を組んで顎に手を当てながらウンウン唸って見慣れぬ素材の出所を思い出していたが、ふと顔を上げて天井を見た瞬間、この見慣れぬ素材の出所が判明した。



アレか!?


もしかして壁スライムか!?


1個しか無いって事はほぼソレで間違いないよな。


あぁ〜。


判ってスッキリしたぁ〜。



見慣れぬ素材の出所が判ってスッキリした雄太は、今度こそダンジョンを後にする事にした。



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[一言] 土龍、つちりゅう・どりゅう? 土竜、もぐら。
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