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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
13/290

13. VSアーススライム

昨日のスライムジェネラルも中々デカかったが、今、雄太の目の前にいるスライムは、大きさもさることながら、昨日のスライムジェネラルとは違って全く透明度が無い為、余計に大きく感じた。


雄太は後ろへと下がって壁スライムから大きく距離を取り、背中に展開していた4本の赤腕へと壁スライムを攻撃する様に指示を出す。


指示が出された4本の赤腕は、雄太の右下、右上、左下、左上から同時に壁スライムへと拳を握って殴りかかる様に向かって行き、壁スライムへと赤腕の拳が触れると同時に、そのゴツゴツとした体表面を消滅させて大きな窪みを作る。


だが、当の壁スライムは、まるで地面を飲み込むかの様にゴキュゴキュとうねりを上げながら自身の足元から地面を吸収し出し、赤腕によって吸収されて空いた体表面の穴を瞬時に修復させていった。


「マジかよ!?」


コイツ地面喰ってるぞ!?



ダンジョンの壁や地面は同じ様な物質で出来ており、このままでは雄太の赤腕による吸収が早いか、壁スライムによる地面の吸収とどちらが早いかと言う、スピード勝負へとなり始めた。


「クソっ!」


昨日のデカいスライムの方がまだ仕留められるゴールが見えてたぞ!?


こうも周りをアイツが回復する材料に囲まれてちゃ、マジで厳しいだろ!



雄太は悪態を吐きながらも赤腕での攻撃を続けていたのだが、壁スライムは、雄太の攻撃を物ともせずに穴の空いた箇所を瞬時に塞いでいく。


終いには、体表から巨大な触手を何本も出現させて雄太へと攻撃し始めた。


しかも、壁スライムは常に壁や地面を吸収している為か、雄太へと繰り出される触手にはかなりの重量が伴っていおり、重そうな音を立てながら雄太を潰すかの様に次々と地面へと振り下ろされる。


「うぉっ!?」


あんな重いもん食らったらマジでヤバいぞ!?


幾ら俺がスライムを吸収できるって言っても、アイツの触手を吸収しきる前にあの重量で先に俺が潰されてしまうぞ!?



雄太が考えている通り、実際に、壁スライムの触手を受け止めた赤腕は、壁スライムの触手を吸収しきる前に衝撃を殺しきれずに吹き飛ばされたり、地面へと叩き潰されたりしていた。


壁スライムの触手の重量を見た雄太は、現在、壁スライムの触手を必死で避けながら赤腕で応戦している状態だ。


昨日のスライムジェネラルの様に、全体を赤腕で作った膜で覆うと言う考えも浮かんだのだが、一点へと集中して一気に重量を乗せられた場合には、赤腕の耐久力ではとても耐えきれるとは思えない。


それに、膨張の膜で自身の身体を包み込んだとしても、あの重量の一撃を喰らえば、雄太の身体はただじゃ済まないと言う事は明白だった。


「クソっ!」


どうすりゃいいんだ!?


こんなデカいヤツなんか放って置いて、このままさっさと逃げるか!?



雄太は触手を避けながらも辺りを見回し、何か倒す方法や手がかりが無いかと思考を張り巡らせる。


触手を避けながら赤腕で反撃している中、触手に当たった赤腕が弾け飛ばされ、勢いのついた触手が壁へと当たり、ダンジョンの壁へと亀裂を入れているのが目に映った。


「!?」


もしかして、アレでイケるか!?



雄太は4本の赤腕を背中へと戻すと、膨張を腕の形から細長い筒状へと変化させ、更に同じ様に4本の筒状の膨張を追加で出現させた。


そして更に4本、追加で4本といった具合で合計20本の筒状になった膨張を、まるで、ハリネズミの様に背中から出現させ、筒の先を折り曲げて壁スライムへと固定した。


準備を整えた雄太は、壁スライムの触手を全力で躱しながらも壁スライムの動きや位置を確認し、反撃するタイミングを見計らうかの様に必死に足を動かして動き続ける。


上から振り下ろされた触手を身体を左に捻って躱し、右からの横薙ぎの触手を屈んで躱し、突きの触手を右へとサイドステップで躱したところで、やっと壁スライムの真ん中へと位置取る事ができた。



今だ!!



雄太は背中に展開させていた膨張の先を壁スライムへと向けて円状に固定し、筒状になった膨張の先からマシンガンの様にスライム弾を連射した。


大量に連射されているスライム弾は、まるで壁スライムと雄太を黒い線で繋ぐかの様に射出され続け、壁スライムはみるみる内に穴だらけの姿となっていく。


スライム弾によって空けられた小さな穴は、其々の小さな穴の点同士が繋がり始め、やがて小さな面へと変わっていき、小さな面も次第に広がりながら大きな面となって壁スライムのど真ん中へと大きな穴を穿ち、まるで、紙にタバコを押しつけて燃え広がるかの様に、徐々に穴の規模が拡大していった。


すると、今まで執拗に雄太を追いかけていた壁スライムから伸びている触手は、雄太への追撃を一斉に止め、雄太を無視するかの様に方向を急転換させて壁や地面へと伸びて行く。


方々へと散った触手は、巨体に空いた穴を急いで修復するかの様に地面や壁を優先的に吸収しだし、雄太への追撃を完全に停止させた。



ここだ!



雄太は触手の動きが止まったタイミングでスライム弾の連射を維持しつつ、自身の両腕から赤腕を伸ばす様に発現させ、まるで紙に描いた絵を消しゴムで消していくかの様に次々と壁スライムの触手の吸収を始めた。


雄太によって触手を全て吸収された壁スライムは、新たな触手を体表面から発生させようとするも、体表面から触手が少しでも浮き上がった瞬間に雄太から伸びた赤腕によって即時に吸収され、壁スライムが身体を修復させる速度よりも雄太が壁スライムを吸収する速度が上回ってきだした。


雄太は更に、左右の腕から其々3本の赤腕を、背中からは4本の赤腕をスライム弾を発射していた筒に変えて発現させ、壁スライムの地面や壁に接している体表部分を優先的に吸収していく。


合計10本の赤腕によって絶え間なく身体を吸収され続け、段々と体積が小さくなってきている壁スライムは、最早、地面や壁との接触面が少なくなってきており、最後の地面との接点を赤腕によって薙ぎ払う様に吸収され、支えを失った壁スライムは勢いよく空中へとその身を投げ出された。


重力に従って落下しながら暴れもがく様に体表を震わせている壁スライムは、雄太が発現させている10本の赤腕によっておにぎりを握るかの様に空中で握り潰されてその身を完全に消滅させた。




『スライムスーツニ新タナ能力ガ追加サレマシタ』


『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』




「おっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!! 御馳走様だコラぁぁぁぁ!!」


無理ゲーと思われた巨大な壁スライムを吸収した雄太は、両手を頭上へと上げて身体全体で喜びを表した。


巨大且つ攻略が不可能と思われた壁スライムを倒した事で、雄太の顔は汗だくではあるが疲労よりも歓喜が勝っているかの様に生き生きとしており、勝利から来る余韻なのか、ゆっくりとその場へと腰を下ろし、収納から煙草を取り出して吸い始める。


「ふぅ~」


勝利の後のタバコは美味ぇな。


って言うか、あんなデカい壁みたいなスライムがいるなんて聞いた事ねぇぞ。


スライムダンジョン故の希少種か何かなのか?


とりあえず、後でおばちゃんには言っておくか。


それと、やっぱりスキルは覚えたな。


しかもスーツのレベルまで上がったぞ。


流石にアレで何も無かったらマジでブチ切れてたわ・・・


そんじゃ、お待ちかねのスキル確認といきますかぁ!



雄太はタバコを咥えながら眼前へとスキルボードを発現させる。



─────

橘花 雄太(25)


ユニークスキル:

【擬装】 (アクティブ)

-【収納】 (アクティブ)

-【スライムスーツ】 (アクティブ) LV 3

<スライムグラトニーベース>

・身体強化 (パッシブ)

・同属察知 (パッシブ)

・同属捕食 (パッシブ)

・スライムナイト:硬化変形 (パッシブ) 衝撃吸収 (パッシブ)

・スライムソルジャー:斬撃変形 (パッシブ)

・スライムメイジ:膨張変形 (アクティブ)

・スライムスナイプ:狙撃変形 (アクティブ)

・スライムジェネラル:統率変形 (パッシブ)

・アーススライム:NEW

─────



あの壁スライム、


アーススライムって言うのか。


なんかそのまんまだな・・・



次いでアーススライムの概要をポップアップさせる。



─────

【アーススライム】

・アースエンチャント (パッシブ)

防御力を高める。

・土属性耐性 (パッシブ)

・質量追加 (アクティブ)

膨張へと任意で質量を追加。

・無機物捕食 (アクティブ)

無機物を捕食して膨張へと取り込む

─────



雄太が確認したアーススライムのスキル概要は、雄太が対峙したアーススライムをそのまま連想させる様なスキルだった。



やっぱ、強かっただけあって奪えたスキルがヤベーな・・・


グラトニー無しでどうやってこんな凶悪なヤツと戦えって言うんだよ・・・


グラトニーが無かったらマジで敵う気がしねぇぞ・・・


他のダイバーはどうやってコイツと戦ってんだ?


ってか、コレ相手に勝てるのか?



雄太はアーススライムのスキル概要を見て、獲得出来た喜びと共に恐怖が走った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 無機物、水や塩も無機物ですが取り込めるなら最低限の生命維持に使える、のかな?
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