とある会話 7
A「ちょっと、待ってもらえないですか!
みんな、それぞれのカプセルに戻る前に!
今回は極秘任務だから、宇宙ステーションに
到着してから、具体的な指示を受けるようにと、
地球で言われて来ました。てっきり、みなが、
任務を遂行しているものと思い、今まで共に
滞在して来たんです。そのうち、任務を開示
してもらう順番が来るだろうと、カプセルで
待機していました」
B「みんな、同じ思いなんだよ。地球内の3密を
解消するために、26人が選ばれて、宇宙に
送り出されたんだよ。信じられないかも
知れないけど、さっきの説明があったよな、
あれが本当の滞在目的なんだとさ」
C「 どうも、ずっとおかしいと思っていたんだ。
26人を宇宙に送り出すことで、3密が解消
されるはずがない。地球の人口何人だと
思っているのだか」
D「26人と言うのは、宇宙ステーションの最大
搭乗者限度数だよね」
E「26人、宇宙基地で、3密解消のため、
地球から送り出されると言うのは、
どう考えても、理解できない」
F「今まで地球との定期通信では、何1つ
具体的な任務の指示は来ていないよ」
G「おい?誰か、本当は、真の目的を
知っている者がいるんじゃないか?」
H「正直に、教えて下さい。知っている人は
いないんですか?」
I「宇宙ステーションに滞在することが
とりあえずの目的でも、別に構わないんじゃない
かな?」
J「もし、仮に、このステーション滞在の本当の
目的を知っている者がいたとして、それを
言えない理由などあるのだろうかね?」
K「おいおい、みんな仲間だよな?1度
仲間を疑い始めたら、キリがないぞ」
L「ステーション内でカプセル冬眠してる間に
地球で何か変化があったんだろうか?
連絡員からの通信には、そのような話は
出てこなかった。全くと言って良いほどね」
M「むしろ逆だよ。地球側が、定期的質問して
くることは、こちら側に変化はないかばかり
だからな」
N「次回だよ、次回の通信で聞き出すんだ。
気を使っている状況ではない。聞くべきことを
聞く時が来たんだよ」
O「今まで、地球側に、質問しなかったことも
反省しないとなあ」
P「反省か。ボチボチ、地球に帰還させてほしい
ね。そんな話を地球に振ってみても良い時期
なんじゃないかな?」
Q「みんなマジメに滞在して来たよな。
立派な任務て言えば、任務だろうさ、
それだけで」
R「よし、300日後に、また話をしよう」
S「お疲れ。みんな、ご苦労さん」
T「カプセルに戻るかあ」
U「こんな便利な道具があるのに、
ワクチン完成の連絡通信が来ないとか」
V「難しいんだろうかね?1年や2年あれば
簡単に完成するものだとしか思って
いなかったよ」
W「われわれ優秀な地球人からすれば
意外に手間取っていますな。ワッハッハ」
X「不可能などない地球人にしては
ちょっと、気になるよな。ハハハ」
Y「確かに、私ども 地球人にしては、開発が
遅くはありませんかね?」
Z「分からないよ。聞いてみるまでは。
みんな、心配してるのさ。当然だよ。
地球時間で30年。ステーション時間で
2年。地球に何か変化が起きていたとしても、
不思議じゃないよ」