とある会話 6
A「さ、3密を防ぐために、宇宙にまで?
もっと崇高な任務があるから選ばれたのかと
思っていた。冗談だよね?」
B「ステーションを作る技術はある。冬眠カプセル
で眠っていれば、細胞も一時的に成長を停止
可能となり、長期間滞在できる様になった」
C「それだけの技術は持っているんだけどな」
D「そう。ウィルスという天敵をなかなか
克服できないんだ」
E「嘘だろ?いつも、どんな時代でも、
人類は、病を克服してきたじゃないか?」
F 「たしかに、人類に不可能はないんだと
思っているよ。今でも」
G「でも、対応に時間が必要なケースが生じた」
H「それが、今回のコロナ騒動だと?」
I「いいや。それは、まだはっきりとは言えないん
だよ」
J「コロナの渦中に、もともとあった宇宙ステーシ
ョン計画を改良し、前倒しで、本来あった
予定より、かなり早く出発したからね」
K「実際のところ、任務は、何ですか?ここで
冬眠カプセルに入って、たまに目を覚ますだけ
なのに、地球時間からすでに30年以上経過
している。いつ戻れるんですか?」
L「そうだよ。気になってしかたないんだ。
そもそも、このステーションが3密を防ぐ
為に、滞在する目的と言うのが理解できない」
M「他に目的は、聞いてないのか?」
N「目的か?3密を避けるために、試しに宇宙ステ
ーションで滞在してみてくれと指示を受けた
だけなんだよ」
O「そんな話、誰が信じるんだ?笑い話にさえ
ならない」
P「最初から、どうも納得できなかったんだよな。
地球からの連絡通信は、次は、いつごろかな?」
Q「そうだ! その時に、地球の通信官に聞いてみて
くれよ。冬眠と解凍を繰り返して、記憶も
意識も、最近、朦朧としてるんだ」
R「帰れるならば、そろそろ地球に帰還させて
もらえないだろうか?」
S「分かった。そうしよう。次の交信予定は」
T「地球時間で約300日後だね」
U「よし、そのころまでには、さすがに
ワクチンも完成してるだろうな」
V「じゃあ、300日後に設定して、また
しばらく冬眠するよ」
W「お疲れ。カプセルに戻るよ」
X「またな」
Y「宇宙ステーションで、30年待機とか、ありえな
い。いったい、どうなっているのだろうか
?」
Z「実際は、冬眠カプセルに出たり入ったり
しているから、2年程度しか生きていないのと
同じなんだけどね。地球では、かなりの時が
経過している。ワクチンのこと、聞いてみるよ。
次こそは」