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コロナ  作者: 異世界ワトソン
34/63

とある会話 34

C「Zさん、あなたは以前、こちら側のシステムに

  問題はない。地球側の通信システムに問題が

  生じた可能性があると考えるに至ったとの

  見解を示唆しましたよね?」


E「地球側と連絡がつかなくなっているんだから

  もう今すぐにでも帰還用宇宙船に搭乗して

  地球に降下して国に戻っても良い状況です」


F「 改めて冬眠カプセルにこれから入る

  必要はないと思います。それに検証の為

  冬眠カプセルに入って300日経過した後で

  もし誰かが消えてしまったとしたら

  どうするんですか?」


Z「考えてみてくれ。わたしは間違っていたんだ。

  地球側にも問題がなかったんだと思うように

  なったんだ。もちろんステーション側の通信

  機能にも不具合はない」


G「じゃあ、どういうことなんです?」



Z「今さっき説明した通りのことが起きている

  可能性があると思うんだ。つまり、冬眠

  カプセルに入り300日後に起床した時に

  われわれの細胞が、地球で生活していた時の

  細胞の活動リズムとは異なる圧力を受けて、

  急速に停止させられてから、解凍された結果、

  細胞が受け止める時間感覚に大きな変化が

  起きてしまったんだと思う」


K「言ってる意味が分からないよ」



Z「 まず、仲間が消える前に、通信機能に

  不具合が生じた。その時に本当は気がつく

  べきだったんだ。

  同じメッセージしか表示されなくなっ

  たのは、不具合ではなかったんだ。

  われわれの意識が、アキレスと亀の関係

  と同じで、いつまで経っても、新しい通信日

  の時間にたどり着くことができなくなった。

  つまり、われわれの細胞が地球時間に

  対応しなくなった。調整できなくなったのは

  われわれの細胞の方だったのだ。

  だからいつまで経ってもわれわれの

  認識が通常よりも非常に遅くなった感覚に

  陥り、その当時のメッセージ近辺の地球時間を

  永遠にゆっくりと彷徨っているかのような

  状態になってしまったと考えているんだ」


L「 実際は、地球時間がほとんど経過していないん

  ですか?」


Z「 その通りだ。地球時間から判断するとその

  メッセージが来たころ辺りから、われわれの

  細胞が変化を現し始めてしまい、

  細胞基準からの時間感覚が非常に遅く

  なってしまった可能性がある。だから

  アキレスのようにいつまで経っても

  亀に追いつけない状態、メッセージが

  動かないと感じる意識変容がわれわれに

  生じているんだと思う」


M「冬眠カプセルに入ることによって、わたしたち

  の細胞が活動する時間の感覚が遅くなったと

  言いたいのですか?」


Z「 遅くなったと言うより、厳密に言えば細胞が

  認識する時間感覚が、地球にいた時間感覚

  よりも伸びたと言った方が良いかもしれない」



N「 時間が伸びた?理解できないですよ。

  時間が伸びたから地球と通信が

  できなくなったんですか?」


Z「 伸びたという説明が嫌ならば

  われわれの動きが遅くなったと

  言い変えるか?

  細胞が時間を認識する感覚が地球にいた

  ころよりも大きく長さが伸びた

  ことにより、地球の時間が進まない状態

  になったと考えてみたらどうかな」


O「 でも、あれですよね?消えた仲間たちが

  わたしたちの先に起床したことにより

  細胞感覚で時間差がついてしまったので認識

  できなくなったとおっしゃっていましたが

  彼らが、冬眠カプセルから先に起床したと

  しても同じ場所にずっと立っていれば、わたし

  たちは、彼らより遅れて起床したとしても

  彼らが動かなければ、やがて発見できるんじゃ

  ないですかね?」


P「そうだよ。同じ地点に動かず停止していてくれ

  たら、わたしたちは時間的に追いつけるはず

  ですよね?」


Z「 確かにそれは正しい意見だ。しかし、先ほど

  説明したよな?地球時間で数分前にわれわれ

  より早く仲間が起床したとして、もしそれが

  変容を加えられた細胞の感覚からしてみたら

  地球にいたころの時間と比べて

  数年前、数十年前くらい長い時間幅だったと

  したらどうだろう?」


R「 地球時間で数分前に起床した人間は、

  冬眠カプセルから起床した後の細胞の

  時間認識では数年から数十年前の時間幅を

  起床したことになると?まさか!」


Z「 正しい細胞の時間感覚は分からない。

  だが、われわれが彼らと出会うまで、それだけ

  細胞感覚で時間認識が伸びてしまえば、

  彼らが数か月、数年もわれわれが歩いて

  彼らに追いつくまで、同じ場所に立ち

  われわれを待ち続けることはどう考えても

  不可能に近い。無理な話なんだ。

  だから、もし、そのくらいの時間差があれば

  われわれは彼らを発見できないことが納得

  できる」


S「 参ったよ。そんなことあるんだろうか?

  Zさん、それが真実なら、なおさら、

  冬眠カプセルに入って検証などできないん

  じゃないですか?またこの中の誰かが消えて

  しまうかもしれないじゃないですか」



V「 そうだよ。Sさんの言うとおりだよ。メンバー

  が、離れ離れになって、いったいこの宇宙

  ステーションでどう仲間同士で連絡を取り合う

  って考えているんです?そして、どうやって

  全員で帰還できるんです?できなくなっちゃう

  じゃないですか?」


X「 冬眠カプセルに入るたびに離れ離れに

  なるなら帰還について打ち合わせも

  できなくなる」



Z「 みんな、思い出してくれ。この宇宙

  ステーションの滞在目的は何だと国の

  司令部から指示を受けて来たのかを」


Y「 Zさん、冗談はよして下さいよ。3密を

  解消する為とか、まさか言いませんよね?」



Z「 そのまさかなんだよ。あくまで仮定だが、

  司令部が指示したことは冗談ではなかった。

  これは三密を解消する為に作られた装置で

  われわれはその実験を検証する為に

  この宇宙ステーションのメンバーに選ばれた

  のかもしれない」


Y「 おい、みんな聞いたか!みんな大丈夫か?

  三密を解消する為に冬眠カプセルに入ること

  が、この宇宙ステーション滞在の真の目的だ

  と、われらがリーダーZさんが主張して

  いるぞ!俺には全く理解できないが、みんなは

  どうだ?俺はこんな話アホらしいから

  さっさと地球へ帰らせてもらうよ!」



Z「ふぅ〜(ため息)」







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