とある会話 27
M「Zさん、もう地球へ帰りましょうよ。このまま
このステーションに滞在し続けていたら
われわれの命さえあるか分からない、そんな
気持ちになります。地球へ帰還し、われわれの
身の安全を確保させて下さい」
N「Zさん、わたしもMさんと同じ意見です。
ここにいたら、次はまた誰かが
こつぜんと姿を消してしまう気がします。
どうでしょう?希望者だけでも帰還用の
宇宙船に搭乗し地球へ降下させて下さい。
Zさん、あなたがここに残り、わたしたちの
希望者だけで先に地球へこのことを報告しに
帰る。そしてステーションに残った者を
司令部と相談してから、指示が出た後で
再び救出しに戻ってくるという作戦にしません
か?」
Z「どうした?みんな気が動転しているのか?
帰還する話しかしないのかね?そんなに帰り
たいか?どうする?消えた仲間たちのことは
気にならないのか?問題を残したまま放置して
地球へ逃げ帰るのか?それで司令部は納得する
だろうか?司令部が納得するとでも思うかい?」
O「納得?納得するもしないもないでしょう。
ここにいたらわたしたちも何者かに消されて
しまうんですよ。そもそも司令部と通信も
不能の状態で救援のシャトルもやってこない。
納得するもしないも今こそ地球に帰る
タイミングではないですか、Zさん!」
Z「何者かに消されてしまう?どういうことだい?
何者かに消されたのか?なぜ分かる?なぜ
勝手にそんな判断をするんだ?」
P「Zさん、ではなぜ彼らはいなくなったん
ですか?消されたのではなければ、いったい
どうやってこのステーションから姿を隠せるん
ですか?隠れる場所などありませんよ。みんな
でくまなく探したじゃないですか?隠れちゃ
いないんですよ」
R「それだけじゃない」
S「隠れる場所はない。探してもいなかった。
消されたとしたらこの中のメンバーに犯人が
いてそいつに彼らは消されたと思うように
なったんだ。犯人が1人かどうかは 分から
ないが」
Z「犯人?どうした?気は確かか?
この中のメンバーの誰かに消されたのか?
そう言いたいのか?それなら誰が消した?
えっ?犯人は誰だ?で、どうやって仲間たちを
消したんだ?論理の飛躍、荒唐無稽な話だな。
動機は何だ?なぜそんなことをする理由が
あるんだ?勝手に妄想を作り上げて場を混乱
させるのはやめたまえ」
V「帰らせてもらえませんかね?」
X「どうでも良いんですよ、そんな話は。
まずは帰還したいんです。このまま
これ以上こんな場所にいられません。
無理ですよ。帰りたい者だけでも今すぐ
帰還用宇宙船に搭乗する許可をくれませんか?
この話は解決しないですよ。
まずは今すぐ帰還することが先決です」
Y「Zさん、それで良いですか?」
Z「待ってくれ。わたしには一つ仮説があるんだ。
仲間たちが次々と消えて、ステーションは地球
から通信不能になりながら、
ただ漠然とこのステーションでのんきに
過ごしていたわけじゃない。この非常事態の
理由を考えていたんだ。なぜこんなこと
が起きているのかを。わたしの仮説を聞いてくれ
るか?そしてそれをみんなで
検証してみたいんだ。帰還するのはその後でも
できる。みんな、どうだろうか。
それで良いかね?」