とある会話 25
C「分からない?Zさん、失礼だけど、
あなた自分の立場を認識できていますか?
わたしは、このステーション計画の搭乗者に
選抜された時に司令部から何を言われたか、
ご存知ですか?」
E「Cさん、それはどんなことなんだ?」
F「このステーションの暫定的なリーダーは
Zさんて話じゃないの?」
C「はい。Fさん、そのとおりです。わたしは
面接を受けた司令部から、何か宇宙で
万が一非常事態や想定外の出来事、不明な
問題などが発生した場合には、チームとして
暫定的にZさんという人をリーダーとして
選んでいるから、Zさんの指示を聞く
ようにと命じられています」
G「Cさん、それは全員、同じ説明を受けている。
今さら持ち出す話題じゃない。リーダーは
Zさんてことは出発前から知っていること
ですよね?」
K「Cさんは、リーダーであるZさんの指示を仰ぎ
たいんだろう。そのリーダーであるZさんが
分からないと言っている。それは
ないだろうてことだろ?そうだよね、Cさん?」
C「ええ、まあ、そうですね・・・」
Z「分からない。分からないと言ってはいけない
のか!なぜだ!分からないんだ、分からないんだ
よ。リーダーだから?分からないんだよ。
リーダーであろうがなかろうが分からないんだ」
L「Zさん、Cさんの気持ちは分かりますか?
おそらくですが、ここにいるみんなは
この事態を克服する為の具体的な解決
手段を求めているのだと思います」
M「理解できないことが生じている。
仲間が消えた。原因はまだ分からない」
Z「だからこそ分からないと言ったんだ。
自分の気持ちをありのままに語ってなぜ
いけない?原因がさっぱり分からない。
だから分からないことは分からない、それの
何が間違っていると言うのだ?」
N「原因なんてどうでも良いんですよ」
O「どうでも良いだって?何だよそれ」
P「原因の説明など不可能なことが発生した。
つまり、緊急事態が起きちゃったんだよ!
国で出発前に言われただろ?緊急事態が
万が一生じた場合はリーダーに意見を聞けと」
R「これからどうするかでしょ?」
S「それだよ、それ。原因の究明とかより
次の行動だ。それを決めて欲しいんです、
Zさん」
V「Zさん、このステーションに帰還用の宇宙船は
ないんですか?」
X「ちょっと待ってくれよ。Vさん、まともにそれ
質問してるのか?このステーションの
構造知っているよね?地球から乗って来た
宇宙船はそのままドッキングして
接続してあるからいつでもそれに
乗ってそのまま地球へ帰還できるはずだよ?」
Y「 おいおい、それだけじゃないだろう?
Vさん、Xさん、今さら何を言ってるんだよ。
このステーションごと地球に降下が可能な
作りになっていることは、当然知っている
はずだろ?何をトボケテるんだよ。
笑わせるんじゃないよ。
要は、地球との連絡が取れない。
新たなシャトルや救援も飛んでこない。
われわれとしては、ステーション側からの
勝手な行動が、国からの許可なくできない。
つまり基本は、国からの指示待ち。そして
仲間達はこのステーション内で原因不明のまま
次々と消えてしまった。この緊急事態を、
一体どうしますかZさん?」
Z「そうだな。冬眠カプセルが自動的に開いた
時点についてもう一度みんなに意見を聞きたい。
消えた仲間達は、それぞれのカプセル内に
起床時に本当にいなかったのか?
そんなことはないだろう?
その時のことを、もう一度思い出してほしい。
本当に冬眠カプセルは無人で空っぽだったのか?
消えた者達は、カプセルが開いてから
ステーション内を誰にも見られずに
散歩したり移動していなかったか?
なぜなら、カプセル内から消えるなんてことは
起きえないのだから」