とある会話 17
B「Iさん、話の途中で、すまないが、
わたしにも言わせてもらえないか?」
I「どうぞ」
B「いやあ〜、今、Iさんの話聞いててさ、
自分が恥ずかしくなっちまったよ」
J「Bさん、どうしてですか?」
W「おいおい、いったいどうしちゃったの?
何か思いついたのか、Bさん?」
B「いや、Iさんが、隣の冬眠カプセルにいた
Hさんのこと、すごく気にしているのが
伝わって来てね、よくよく思い出してみたら、
実は、わたしは、Aさんの隣に冬眠カプセル
設置されていたんだ。自分のことしか頭に
なくてさ、起床時のAさんの様子など、
考えたこともなかったんだ」
J「でも、隣と言っても、冬眠カプセル間は
そこそこ間隔がありますよ。カプセルに
入ってしまえば、全く音もしなくなるし、
すぐに眠くなるから、仕方ない面もあるので
はないですか?」
W「Jさん、つまりね、Bさんは、仲間思いの
Iさんの話を聞いて、Aさんに対して
注意を向けなかった自分を反省してるのさ」
B「それだけじゃない。今だから、はっきり
言わしてもらうとね、Aさんの質問癖に
嫌悪感があった。だから、内心、わたしは、
Aさんとは、心理的に距離を置いていたんだ。
Aさんまでいなくなった今となって、
すまなかったなと痛感したんだ。」
I「Aさんは、メンバーの間で、1番、今回の
ステーション滞在について、疑問をみんなに
聞いてましたからね」
W「うるさいと思ってた仲間もいたかもなあ」
B「そう、それが、わたしなんだ。こんなことに
なって思うよ、Aさんの疑問は、全部正しかっ
たんだとね」
W「まだ、分からないよ。Aさん、このステーショ
ンのどっかで、HさんやUさんらと道草食って
いるかも知れないからな」
J「でも、Qさんがいなくなったことは、もはや
確定したようなものですよ。Qさんの件だけ
でも、大事件だと、わたしは思ってます」
B「その通りだよな。そうなんだよ。Qさんは
前回の連絡通信日に消えていんだからなあ。
あれから300日、生きているかさえ、
分からないんだ。そしてもし、」
W「もし、今日、さらに3人がいなくなって
しまったならば、」
I「4人消えたことになりますね」
B「Iさん、ごめん、ごめん。話の途中だったな。
気になっていることを話してくれないかな?」