とある会話 16
B「カプセルルームを手分けして探そう」
I 「はい」
J 「とんでもないことになって来たなあ」
W「どこに行っちまったんだ?3人だよ、
3人だ」
B「Iさん、そっちはどうだ?Hさん達の
痕跡でも見つかったかな?」
I 「いえ、Hさんのカプセルは、空です。
Hさんは、休んでませんでした」
J「Aさんの冬眠カプセルにも誰もいません」
W「Uさんも見当たらない」
B「参ったなあ〜。もう、わけがわからないよ!
何をどうやったら、3人ともいなくなれるんだ?
これは、一大事だよ、大変なことが起きている」
I「不覚でした。本当に、うっかりしてました」
J「不覚とは?」
W「何か、気になっていることでもあるの?」
I「いや、そう言うわけでもないのですが、
毎回、連絡通信日には、Hさんとともに
スクリーンルームに行っていたものですから」
B「今日は、どうだったの?」
I 「ご存知かも知れませんが、わたしの
冬眠カプセルは、Hさんの隣の
場所に設置されているのです」
J「わたしは、Iさんの隣です」
W「それで、今日は、Hさん、どんな様子
だった?」
I「毎回、起床日に、カプセルが自動で
開きますが、意識が回復すると
まずHさんとあいさつを交わしていました。
ただ、今日に限っては、Hさんの姿は、
なかったんです」
J「おかしいと思わなかった?」
I「いえ、わたしの意識が朦朧としていたので、
回復するまで、多少時間がかかったよう
なんです。だから、Hさんは、先に1人で
スクリーンルームへ行ってしまったのかと」
W「分からない、Iさん、あなたが話している
意味が、よく理解できないんだよ!
前回、Qさん以外は、全員、300日後に
設定して、カプセルの中に入り、就寝
したはずだよ。今の話だと、ひょっとしたら
起床の時には、Hさんは、カプセルには、
いなかったと言うことになりかねないよ」
B「起床してから、Hさんが、1人でステーション
内を散歩でもしに行ったのかな?」
I「分かりません。だけど、今回だけは、
Hさんのカプセルは、無人でした」
J「たまに、小説の話をされていませんでした?
起床した時に、HさんとIさんが、話を
していたような覚えがあります」
I「ええ。Hさんは、あんな感じですが、SF系に
興味があったようで、地球にいたころ、
宇宙ものの小説を書いて投稿していたようです。
ステーションでも、地球に帰還したら、すぐに
投稿ができるように、原稿を書いているとか
話してくれました」
W「で、Hさんは、Iさんより先に、カプセルルーム
から出て行ったということで良いのかな?」
I「それは、わたしには、分かりません。ただ、
話は変わりますが、気になることを思いだしたん
です」




