『怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。』
彼は、この世に彼が恐れるものなど何もないと信じていた。
確かに彼も対立者や敵対者は居る。
しかしそれは争うべき相手ではあるが、恐れるべきものではなかった。
彼は、この世に彼が恐れるものなど何もないと信じていた。
あの時までは。
ルルイエ。遙かなる深淵。如何なる物も近
寄り難き呪われし海底へ沈みし都。
しかして今、科学は遂に神話を凌駕した。
深海の奥深くへと邁進する船。
それは東洋の神秘と呼ばれる、神をも恐れぬ一団が建造した船だった。
…如何なる神が想像し得ようか?
神の力にて封印されし土地への道を、技術のみによって打ち開く者が現れようとは。
神も悪魔も、神秘も神威すら恐れぬ民。
如何なるものも恐れぬ彼らは、ただ一つの欲望を抱いて、呪わし都への道を打ち開いた。
彼は知らなかった。
如何なるものが待ち受けているのか。如何なる運命が彼を待ち受けているのか。
深淵の底、来るべき時を待つ呪われし者どもは、時が満ちる時を静かに待っていた。
如何にしても打ち破れぬ封印が解け落ちる時を。
神をも恐れぬ民は、遂に呪われし都へと到達した。
彼らが目指す場所はただ一つ。封印されし都の奥深く。
悪夢の恐怖が満ち満ちる深淵の墓所へと彼らは土足で踏み込んだ。
彼は、この世に彼が恐れるものなど何もないと信じていた。
如何なるものと対面する運命にあるのかを。
悪夢の恐怖が満ち満ちる深淵の墓所の奥へと達した彼らは、遂に目指すものへと辿り付いた。
まさかこのような者どもが現れようとは。
神をも恐れぬ民・大阪人。
彼らは目に笑みを浮かべて、
目覚めし彼の前で饗宴を始めたのだった。
「いやぁ、噂通りに上手そうなタコやな。さっそくタコヤキにしたろぉ~♪」
『く、喰われるっ!』
彼は初めて恐怖した。
・・・『コズミック・ホラー』じゃなくて『コミック・ホラ』です(笑)