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牢屋
薄暗い月明かりが、壁面の穴から漏れる夜
湿気た空気
埃っぽいカビ臭い地下牢
四畳一間の四角い空間
鉄の柵が世界とこの場所を分け隔てる
死なないように差し出される最低限の食事
生気、精気が消えないようにと動かされる身体
死ぬことは許されない
生きることも許されない
現世への束縛
鎖状の檻
舌を噛むための牙はとうの昔に抜かれ
首を吊るための布もない
人間としての生殺を握られ
絶望の縁に立たされ
絶望の淵に沈みゆく
無気力の精神は
自己崩壊と自己再生を繰り返す
南無阿弥陀仏
祈りは届かず
我は殺されず
今宵の月明かりに目元を照らし
残命、早く散り逝けとここに願う




