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憂い
君を想いて泣き喚く
幾年の時を経ても
君の笑顔が目に浮かぶ――
秋の空 遠くに浮かぶ羊雲
君はそこに紛れているのだろうか
君は消えて私の心も消え去った――
空っぽの心 晴れた空
遠くの方から灰色雲が流れ来る
涙を流すには丁度いい――
曇天、 濡れゆく地面に水滴を
落とし去ってく雨雲に
隠れて流すは涙かな――
君は居ない 私の心も不在
どこに向かえばいいのだろう
雨粒、水滴が頬を伝う――
寂びた心の歯車が重なり合い
嫌な音を吐き出しながら
茶色い錆びを落としていく――
私は立ち尽くす
雨に濡れたまま空を見上げる
決して届かぬこの言葉、
心の中で叫ぼうか
空っぽの心の中ならば、
声がよく響くだろう
息を吸い込み肺を広げる
震える体 目には雨粒が滴り落ちる
声にならない声が口から漏れて、
私はただただ泣いていた――――




