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鉄壁

――――――――――――――――――――

 刃を通さない防御壁


 暴力的な事象を全て無効化する力


 やる気の見えない怠けた少年

――――――――――――――――――――


 頭の後ろで手を組みぶらぶらと戦場を歩く


 黒い外套にフード姿は敵兵の視線を一つに集めた


 数人の兵士が子ども相手だろうと襲いかかる



 斬りつけた刃は折れた


 刺した槍は砕けた


 少年の外套には傷一つない



 ならばと、一人の兵士が首元を狙った一振りを放つ


 折れては砕けて散る刃


 武器よりも硬い少年の外套に兵士達は唖然とした



 少年は何事もなかったかのように歩き続ける。



 逃がすまいと、敵兵に掴まれ持ち上げられる少年


 揺れたフードの隙間から金色に輝く瞳が垣間見えた



 数人の敵兵が持ち上げられた少年の周りを囲む


 瞬間、吹き荒れる風に兵士達は目を伏せた


 初老の男がナイフを手に兵士達の首を丁寧に掻き切っていく


 少年を持ち上げていた敵兵も、後を追うように地に伏せ血液を垂れ流す




 少年は男を見上げて一言だけ口にした


「ありがと」

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