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戯画

 絵の具の筆をゆすいだ小さなバケツ。

 混沌としたグロテスクな水彩色が流線を幾重にも重ねて混ざり合う。


 少女はその水をキャンバスにぶちまけた。

 飛び散る水滴。

 周囲の生徒はそうなることを知っていた。

 よって、その水滴を浴びたのはぶちまけた少女一人だけ。

 水浸しの床、消え入りそうな薄い水彩。

 混沌としたキャンバス。


 少女は頬に付いた水滴も拭かずに教卓へと歩く。


「先生、出来ました」

「……」


 一連の行動を見つめていた男の先生は溜め息を漏らす。

 立ち上がり少女のキャンバスへと歩いていく。


 少女の隣でキャンバスを見つめる先生は頭を押さえて少女に尋ねた。


「今度はなんだ……」

「水彩画です」

「何を表現しているのか分からない。ただの水をぶちまけただけの濡れたキャンバスだ。画材が台無しだよ……」

「先生には何も見えませんか?」


 少女は驚いて先生の顔を見上げた。


「一応、何が見えるか言ってみなさい……」


 少女はキャンバスを見据える。

 物悲しそうに。

 何処か寂しげに。

 空虚な目でキャンバスを見つめる。

 そして、少女は呟いた。



「この部屋の皆の心、薄っぺらくてすごく淀んでるの。丁度、こんな感じに」

名古屋のコート―ルド美術館に行ったんですけど、やっぱり美術館っていいですね。

人間らしさが絵に残っているのがとても温かい。

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