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便乗
誰かが口を滑らした。
それは、ふとしたことだった。
けれど、その発言に口を挟む者は居なかった。
権力、圧力、年功序列……。
様々な鎖が、周囲に注意することを禁止していたから。
口を挟めば、権力によって押し潰されるから。
口を挟めば、圧倒的な力によって消されてしまうかもしれないから。
だから誰も、なにも言えないまま、その人は笑っていた。
けれども、それは狭い部屋の中だけのこと。
世間はそれを許さない。
一人の権力よりも、大多数の意見が一人に降りかかる。
権力によって閉じ込められていた者たちが、一同に非難の声を上げた。
さて、
抑えつけられていた者が、
強者がもっと大きな力によって収縮した時、
寄ってたかって攻撃するのは、
そんなに誇らしいことなのでしょうか。
結局、
平等を謳う者たちもまた、
「権力」ではなく、
「多数」という力で、
誰かを押さえつけただけに過ぎなかった。




