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悪の虫

 疑いの眼差し、戸惑う独り


 どうにもならない世間体……


 悲しき世界――――――――




 人々の心には悪の虫が巣くっている


 それらは人々に疑いの心――――疑心を与え


 蔑みの目を他人へと向けさせる



 誰かと群れることを嫌った者から順番に、


 蔑みの目は向けられる



 悪の虫は物理的な損傷を与えない


 精神的な損傷を与えていく


 弱った者は内面から崩れていく




 空っぽになった者


 死に誘われた者


 逆襲を誓った者




 悪の虫は、人を殺すか、新しく巣くうだけ


 生か死のどちらかを与え、


 中間は存在しえない




 今日もまた一人、


 独りきりの少年が狙われた


 悪の虫に操られた人々が、


 少年に対して冷徹に振舞った




 少年は泣いた


 少年は悲しんだ


 少年は胸が苦しくなった




 そして、少年は高いビルの屋上で涙を流した




 少年は想う


 どうして自分がこんな目に遭うのかと――――


 どうして皆は冷たくなったのかと――――


 どうしてこんなに苦しいのかと――――




 目の前に並ぶビル群、夕焼けの空は赤く染まる


 世界がぼんやりとした黄昏の時


 ぼんやりとした少年の視界


 ぼんやりと霞む少年の心


 自然に前へと踏み出す足――――







 また一人、今日も一人、明日も一人……


 悪の虫は、人の心を殺して嘲笑う


 悪の虫は、嫌な笑みを浮かべて嘲笑う



 人の心など、移ろいやすく脆いのだと


 人の心など、少しの刺激で変化するのだと


 人の心など、不安の種を蒔けば荒ぶるのだと――――

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