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始まらない物語
深淵、暗闇、流れ星、
一つの光が落ちていく
世界は闇の中
世界を照らすは星たちのみ
煌めく灯り、幾億の星々
散りて塵に帰すのはどの星か
一つの流星、世界を目指して飛び落ちる
青白い光、赤い炎が流星を包む
月光、祝福の暖光
急速落下の流星、大気圏を突き抜け地を目指す
その身は炎に焼かれ、空気圧によって潰される
剥がれ落ちる体、朽ちていく体
まだ見ぬ世界へあと少し
新世界まであと少し
なのに体は剥がれ落ちていく
燃え尽きた流星、空中で塵と化す
その思いは砕け散り無へと帰す
誰も知らない物語
始まる前の物語は
誰にも知られることなく、
空気の中に消えていく




