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別世界

 私は真面目であり不真面目であります


 きっと貴方には、本当の私を見せる事はないのでしょう……


 なぜなら、私は臆病であり卑怯者だからでありますから……



 誰かを好きになる事に怯え、苦しみ、悩み抜き、


 気が付いた答えは、


 ――――無かった事にすればいい


 という最低なものでした



 けれど、何もなかった事にすれば、とても生きやすいのです


 間違いも正解も、疲弊も快楽も大きな傷口も、


 なかった事にすれば、平凡な……何もない道を歩くだけで済むのです



 逃げた私は世界から興味を失いました


 逃げ込んだ道は世界と壁一枚を隔てていました


 この道はとても過ごしやすいのです


 暑さも寒さもなく、穏やかな風が正面から、横から、後ろから、


 私の気分で優しく吹いてくれるのです





 この道を歩いて十年ほどが過ぎました


 何もない道に何も得ることのできない私


 ですが、分かったことがあるのです


 外の世界は美しく醜いということに、


 私は気付いたのです



 世界から社会、集団とは、協調すべきものだと教えられました


 それは束縛であり強制であり、世界の規則です


 しかし、人々は、一人一人の価値観があります


 時には一緒の道を、時には別の道を導き出します



 私は、あるまじきことに、その世界を


 馬鹿らしいと思ってしまいました


 協調性、調和、協力など……


 きっと、動物のように多少の知性であれば、


 この言葉はとても純粋に美しい言葉に聞こえていたはずです


 でも、今の私には、誰かが得をする世界が見えているのです



 人は平等にあらず……


 狡猾で知性を悪の道へと進めた者に、


 世界は過ごしやすい環境を提供するのです


 これが世界なのです


 それが世界なのです



 私の目指していた平等や調和は、


 この世界で実現することはないのでしょう


 この世界は欠陥が多い世界でありますから、


 この世界で安寧できることはないのでしょう



 私が愛したはずの貴方にも、心の何処かに闇があり、


 純粋な心はとうの昔に擦り切れている事でしょう


 純真無垢など、染まっていない人間など居ないのです


 素晴らしく純粋な人間は黒く染まりやすいのです




 だから、私は何も得られない、何も感じない場所へと、


 心を置き去りにしたのです


 ありがとう、さようなら、またいつか……




 何も感じない、何も共感しない、何も考えない、


 全てを放り出した此処は、とても居心地が良いのです――――――

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― 新着の感想 ―
[良い点] あ、これすっげー共感できます。 [気になる点] 自分も似た経験あるのです。 [一言] ほんと悪人は羨ましいです
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