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臆病風
私は、私が愚かで脆く、弱い生き物であることを知っている。
それは謙虚という柱ではない。
醜態を晒すことに怯え、失敗に恐怖する。
つまり、私は臆病者なのである。
直そうと努力してみたが一向に直る気配はない。
これが私なのだと受け入れるが、受け入れたところで社会に適応出来る訳もなく、ただひたすらに他人の表情に怯えてしまう。
多分、この強固な殻は、他人からすれば卵の殻と同じく、簡単に砕けるものなのだろう。
私は、私が愚かで脆く、弱いことを知っている。
この薄い殻を壊すことさえ、他人に何か影響を与えてしまうのではないかと、私という存在が蔑まれる対象になるのではないかと、永遠と自問自答の畏怖を繰り返す。
渡れる石橋でさえ、数年経ってようやく叩き、崩れ去るまで殴り続けてしまう。
臆病風に曝され、心はどんどん縮小をしていく。
私は、私が愚かで脆く、弱いことを知っている。
いつか、私が弾けるような事ができたなら、その時は、屈託のない、人生で最高の顔で笑おう。
せめて、他人ともまともに会話を出来るようになりたい……。




