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悠久
この巨体を持って生まれ幾千年――
ひと気の無い場所を探して幾星霜――
今日の羽休めの岩場に鉤爪を引っかける
翼をゆっくりと折りたたむ
少しだけ寝させてほしい
目を瞑ると昔の記憶が目の裏に浮かぶ
父から言われた言葉を思い出す
「我ら気高き龍は人によって滅ぼされた。人里に近寄ってはならん」
「はい、父上」
そうして数百年後、父は火山の怒りを鎮める為に噴火口へと落ちて逝った
母は泣きながらも凛々しく振る舞っていた
頬を伝って落ちる涙が山を抉った
母から言われた言葉を思い出す
「我ら気高き龍は大地と天空の守護者です。怒りを鎮めるのは私達の役目であり使命なのです」
そうして、母は荒れ狂う海を沈める為に海の中へと沈んで逝った
我は泣きながらも凛々しく振る舞った
頬を伝って落ちる涙で大地が沈んだ
我はあとどれ程の時を生きれば許されるのだろうか――
――大地に刻まれた龍の手記より抜粋
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