9話ミカエル6歳秋②
久しぶりの更新だったりします。
どうもこんにちは。ミカエル6歳です。
皆さん娯楽って大事ですよね?
てなワケで、私とジスは魔国を抜け出し、亜人国セイコマルクに向かっているんだけど……
「せ、狭いわね」
「姫様と触れ合えるのでジスは幸せです!」
「ジス!声が大きいわよ!静かにして!」
「はい……すみません」
なんでこんな状況かと言うと、魔国を密出国する為、セイコマルク行きの荷物の中に紛れてるわけだ。
荷物は定期便で北方砦を抜け、北部の山道を通りセイコマルクへと向かうが、山道を通る為、揺れが激しい。
山道整備も視野に入れよう。吐きそうだ。
ノア様の話だと2日間はかかるとの事で……かなりキツいのだけど、ここは我慢よ!
荷物の差出人はノア様である。送り先に着いたら、受取人の方に手紙を渡す様にと、言われてる。
魔国を離れている間はノア様の所で魔法の特訓を受けていると言うことになっているので、アリバイ工作は完璧だ。
◇
二日程経ち、セイコマルク王国に到着したようだった。
荷物は馬車から降ろされ、何処かに運ばれているようだった。届け先は一体どこなんだろう?
やがて荷物の蓋が開けられた。
荷物を覗く初老の亜人男性の顔が見えた。
「なんと!」
流石に荷物の中身が少女二人で驚いているみたいだ。
まぁ、当然よね。
「あの……この手紙を渡す様にと」
私はノア様から預かっていた手紙を初老の男性に渡した。相手が誰かも分からないので、自己紹介はまだだ。
ジスはまだ眠らせている。面倒臭いから。
手紙を受け取り、その男性は何やら納得したのか、笑顔になり、口を開いた。
「事情は理解致しました。余はルドルフ・セイコマルク。この国を、治めている王じゃ。ようこそセイコマルクへ。ミカエル王女」
王様かよ!まさか王様宛の荷物とは思わなかったわ!
しかし、王様公認の密入国なら安心だ。ノア様に感謝しなければ!
「お初にお目にかかります、セイコマルク王様!受け入れて頂き感謝を。こちらは傍付きのジスです。ご迷惑をおかけ致します」
「ジス。起きなさい」
「……姫様……おはようございます。着いたのですか?」
「ええ、もう出ても大丈夫よ」
それからセイコマルク王に客室へと案内された。
「二日も箱の中とはつらかっただろう。ゆっくりしておくと良い。食事は運ばせるから待っておれ」
「はい!ありがとうございます!」
「しかし、噂には聞いておったが、かなりのおてんば娘のようじゃな」
一体どんな噂なんだろうか?
私、何かしたかしら?
客室から見える景色は魔国とは違う景色だ。当たり前だ。
大陸北部に位置する国なだけあって、気温が低い。計って無いから知らないが、バナナで釘が打てそうなくらいの寒さだ。嘘だ。そこまで寒くない。コタツ欲しいな。作れるかな?今度試作して、量産出来たらセイコマルクに輸出しよう。
数日ぶりの食事を済ませ、王宮内を探検する事にした。
一応、許可はもらっている。
王宮の中庭をジスと歩いていると、人族らしい少年に声をかけられた。
「やぁ、お嬢さん達!ごきげんよう!良い朝ですね!良かったらご一緒してもよろしいでしょうか?」
少年は十代前半位だろうか?顔立ちの整った貴族のボンボンって言う感じだ。キザったらしいのが、痛々しい。
外見的には年上であるだろうけど、中身の年齢では私の方が年上だし、言い寄って来る男は前世で散々相手して来た。お子様なんかに私は攻略出来まい!
「人族風情が!魔王ラファエル様御息女であるミカエル様の御前であるぞ!平伏せ!」
ジスが、お忍びで来てるのにわざわざ全て一発でバラした。まったく……。
「えぇ?ま、魔族だって?」
ほら!ビビってるじゃない!
「ジス!余計な事言わない!」
「ひぃぃっ!すみません姫様!」
「魔族でも可愛いから気にしないさ!ボクはユリウス・ファムール。ファミリア王国の王子さ!」
なんだコイツ。