6話 ミカエル6歳夏①
父に頼んで、兵学校の設立は順調に進んだ。
9歳から11歳までが兵学校。成績上位者は12歳から14歳の間、士官学校へと進学する事が出来る仕組みだ。
兵学校は一般教育も兼ねた義務教育制度で、団体行動の教練がメインだ。
教本の元になる物が魔族国には、さっぱり無かったので、中立国経由で輸入した。人族の街では普通に古本屋に売っているらしい。写本して、教本として活用した。
10年先を見越した取り組みだ。組織的な軍隊へと成長する事を願う。
現在の魔王軍の構成はこんな感じだ。
魔王ラファエル(パパ♡)
四天王
爆炎のサクヤ(ママ♡)自称四天王最強
獄炎のベリアル 自称四天王最強
死者王シピン やっぱり自称四天王最強
邪竜バース これまた自称四天王最強
北方砦(人界との最終防衛ライン)
指揮官ドワルデス(超脳筋)
兵力
悪魔系 デーモン レッサーデーモン サキュバス
鬼人系 オーガ サイクロプス ゴブリン
獣人系 オーク コボルド クマ
アンデッド系 骸骨兵 ゾンビ レイス
竜系 地竜 ワイバーン リザードマン
その他 吸血鬼 ダークエルフ キラーボア キラーウルフ スライム
キラービー etc
こうして見ると、この国は多種族過ぎない?
これで全てじゃ無いらしく、所在不明のレアモンスターが居るとかいないとか。
四天王の属性に偏りがあるのも気になる所でもある。
普通、四属性に分けるだろ!
因みに四天王の三人は炎使いだそうだ。
大体、爆炎と獄炎の違いって何?
四天王は皆自分が最強だと信じて疑わないので、いつもその話題で喧嘩している。
それと問題なのは、人界の情報元があまりない。
新聞位とれと言いたいが、配達してくれないらしく諦めたらしい。頼んだ事あるのが驚きだ。
とにかく情報は必要なので、中立国経由で入手する事になった。
魔王軍の再編を6歳の私が考えている時点でこの国の未来が心配だ。
せめて、私が国を出る時までには何とかしておきたい。
私の目標は咲野くん探しだ。見つけて下僕にしてやろう。ふふふ♡
◇
魔族国デスニーランドは今日も平和である。
食事に関してはかなり改善出来てきたけど、甘味不足だ。時には甘い物が食べたい。
とりあえず魔族の中で唯一常識人の魔女ノア様に聞く事にした。週に一度は魔女ノア様の家で魔法の勉強をしている。
「ノア様。お伺いしたいのですが、蜂蜜ってありますかね?」
「蜂蜜?えぇと確か……南の森には蜂系の魔物が生息しているから、あるかもしれないわね。人界でも希少で高価な物だったわ」
ふむふむ。南の森ね。次のお休みにジスを連れて行ってみようかしら。
「はい。それより今日の課題を済ませなさい。氷魔法の初歩は出来るようになりましょう」
「うぇぇ……」
◇
二日後、私はジスを連れて南の森へとやって来た。
「姫様!ここにハチミツなる物が封印されているのですね!姫様最高です!」
「う、うん。そうよ……」
最近ジスが、ただの狂信者みたいになって来た気がする。修正してあげないと将来が怖い。
森を進む事、30分。辺りを見渡しながら歩いていたら、蜂の巣らしき物を見つけた。
「おー、あれだ!」
想像してたより大きいな。蜂も大きいのだろうか?
「あ、あれがハチミツ……何とも不気味ですね」
迂闊だった。蜂の巣から蜂蜜を取る方法を考えて無かった。見ると巣の周りに数匹の蜂らしき者が、巣を守る様に飛んでいる。
デカい……。30センチほどの蜂。
最早、虫と言うより魔物なのでは?
すると、不意に後ろから声をかけられた。
「そこで何をしている。ここは我の森である」
振り向くとそこには巨大な――――
チワワがいた。