5話 ミカエル6歳の春
ミカエル六歳です。どうもこんにちわ。
私は六歳になった。相変わらずの幼女体型は変わらないが、後数年経てば、母サクヤの様なセクシーボデーを夢見ているのだ。前世は貧乳だったからね。
遺伝を信じたい年頃なのだ。
魔女ノアの弟子入りから約一年。醤油の作成と稲の栽培を本格的に魔族国は国家プロジェクトとして取り組んでいた。
まず農地の拡張。土地は余っているので問題なく広大な水田地帯を作った。
国民総出で田植えを行なっていた。
苗を大体20センチから30センチの間位に等間隔で植えていく。間隔を狭くして密集させてしまうと日に当たらない苗が育たないからだ。
苗床はガラス貼りの温室を造り、そこで栽培している。
「おで、疲れたー」
「まだ三十分も経ってねぇだろが!」
サボり気味のオーガを飛び蹴りで水田に吹っ飛ばした。
魔物達には規律というのが、あまり理解出来ていないなか、集団行動が苦手だ。
組織的に行動出来ないで、良く今まで人族と戦争出来ているなと逆に感心する。
一番組織的に動けているのが、骸骨兵だった。
無心に田植えをする姿が、ちょっと可愛い。
「働かず者食うべからずよ!きちんと働きなさい!」
「お、鬼だ、鬼姫だ……」
オーガ達の間で私は鬼姫と言われる様になったらしい。
「指揮をとる姫様も素敵です!」
ジスは相変わらず私の後ろに付いてまわる。
秋の収穫が楽しみだ。
◇
六歳になり、本格的に私への英才教育が始まった。
これでもプリンセスなのだ。ダークプリンセスだが。
それなりに淑女としての勉強も必要らしい。
礼儀作法や、習い事。あらゆる面で何処に出しても恥ずかしくない様に教育された。
それに加えて、戦闘訓練や、戦略知識。次期魔王になる為の教育もあって毎日が忙しい。
「オラァ!オラァ!」
訓練用の骸骨兵をストレス発散とばかりに金属バットで粉砕していた。
「ハッハッハ!姫様は近接武器も得意のようですな!」
戦闘訓練には四天王が、日替わりで担当していた。
今日の当番はジスの父親、悪魔公ベリアルだ。
「パワフルな姫様も素敵です!」
ジスは相変わらずだが、今日はジスも戦闘訓練に参加していた。
「ジスも強くなり、姫様のお役に立てる様に励め!」
「はい!父上!」
ジスは何故か身の丈の倍はある大鎌を担いでいた。
流石に重いのか、振りかぶる腕がプルプルしている。
無理すんな!
「ジス。流石にその超重量の武器はまだ早いんじゃないかしら?」
幼女だし。
「だって……姫様のために、たくさんの人族を首チョンパしたいのです!」
気持ちは嬉しいけど、言ってる事怖い。
「ジスよ、なんて姫様思いの良い子なんだ……父は嬉しいぞ!グモォー」
「父上ー!」
良い親子愛の様な雰囲気ですが、首チョンパとか言ってたよ。サイコパスの資質が怖いよ。
「だがなジス。身の丈にあった武器を使わないと姫様を守れんぞ。そうだな……短刀をまず使いなさい」
「はい!父上!」
ジスは短刀を使う事になった。
◇
戦略知識担当はドワルデスと言う幹部が担当する。
「姫様!この私が魔王軍の威光を示す戦略知識を教えしましょう!ガハハ!」
見るからに脳筋だ。
「良いですか?敵がたくさん居たらですが、ぶわーっと突っ込みですな……ガーッと横からバシバシって……」
は?
何言ってんのコイツ。この人指揮官だよね?
魔王軍の将軍だよね?戦略知識なくね?
これは、食料問題より重大な問題に直面した様だ。
兵学と言う概念が無いのか。教育が行き届いていないらしい。
兵学校を設立する事にした。