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第一話 転生

目が覚めると、女性の声が聞こえた。

優しく穏やか声であったが、残念ながら何を言っているのかわからない。

まだ聴覚が発達しきっていないのだろうか、よく聞き取れない?

もしかして日本語じゃないのか?


辺りを伺おうとしてもそれもできなかった。

生まれたばかりであるためか、目もあまりよく見えない。


ここはどこなんだ?


そんな不安な気持ちになると急に涙が込み上げてきた。

俺は別に涙脆いというわけではない、どちらかと言うと感情をあまり表に出さない方であったのだが、転生した影響なのか感情を制御できなかった。

俺は年甲斐もなく大きな声をあげて泣きじゃくった。

急に泣き出した俺に気がついた誰かが俺のもとに駆けつけた。


「ーーーーーーーー」


やはり何を言っているのかは、わからない。

けれど声の高さからして女性だろうか?


彼女は、赤子の俺を優しく抱き上げるとゆっくりと揺らした。


彼女が俺の新しい母親なのだろうか?

俺は彼女に抱き上げられた途端に先程まで感じていた不安が嘘のように消えたのだ。

彼女の暖かな温もりは俺に安らぎを与えた。

そして緩やかに俺は眠りについていった。



事実だけ伝えると俺、宮前浩太はエルフの女の子ミーシャに転生した。

女神クロリスが言っていた通り俺は男から女に変わっていた。

なんていうか、もう色々ショックであった。

何と言っても結局一度も使うことがなかった自分の息子が不憫で仕方なかった。


しかし、女として生きるということに最初は抵抗があったのだがそれも日に日に薄れていった。

転生した影響なのか前世の記憶を一応引き継いではいるのだが、どうも他人の記憶のように感じられ、まるで体に合わせたように精神も幼くなってしまった。

感情を制御することができず、年相応に泣いてしまう。


男として生きていたころの俺は死に、お前はミーシャなのだということなのだろう。

そして俺は私、ミーシャとしての新しい生活を徐々に受け入れていった。



そして、私が生まれてから七年の時が経った。


私、ミーシャは何事もなく五体満足で生まれここまで両親の愛情をたくさんもらいながら育ててもらった。


シミ一つない綺麗な柔肌は雪の様に白く日だまりの様に暖かい、癖のないサラサラの銀髪は月の様に美しい。

海の様に輝く瞳は全てのものを魅了し、愛くるしいその容姿に誰もが振り向くだろう。


以上パパが酔った勢いで叫んだ私への愛より抜粋。


まぁこんな感じでお酒の席で私のパパが大勢の前で叫んだのだが、そこまでのものではない。

けれど、自分でもそれなりに可愛い容姿ではあると思う。

ママ譲りの綺麗な銀髪蒼眼にエルフの美形遺伝子プラス神様のアシストも相まってザ・美幼女が今の私である。


私は今、パパとママと暮らしている。

パパもママも流石はエルフというのか、若く美しい容姿をしている。

パパのアーサーは、くすんだ銀髪、碧眼のイケメンでママのシェリーは白銀の髪に蒼い瞳の美女だ。

パパもママもいつも私に優しく接して私は大好きだった。


そして、この七年生きてきて様々なことを学んだ。

女神クロリスは、文明レベルは高くないと言っていたがそこまで低いものではなかった。

時間を示す時計の様なものもあれば、暦だってある。一日は、二十四時間ありほとんど前世の世界と変わらない。

空には太陽も星が輝き、月は二つもある。

言葉も日本語ではなかったが、幼いからなのかすぐに取得することができた。

今ではスラスラと読み書きすることができる。

前世と似ている点はいくつもあるが異世界であるには違わない。

何故なら、この世界にはステータスというものがあり、まるでゲームの中の世界であるかのようなシステムがあるからだ。

それは『レベル』だ。まぁ『スキル』や『魔法』なんてものがあるんだったありえなくはないのだが。

『レベル』はゲームと同じで『経験値』を貯めることで上げることができる。

『経験値』を貯める方法はこれまたゲームと同じで『魔物』と呼ばれるモンスターを倒すことで集めることができる。そしてこれが私の今のステータスだ。



名前  ミーシャ

種族  エンシェントエルフ

レベル 1

スキル 転生リンカネーション

称号  転生者 神から愛されし子 神殺し 



言いたいこと、聞きたいことがあるのは私にもわかる。

私もこのステータスを見たとき思わず『は?』と素で言ってしまったのだから。

種族エンシェントエルフってなんだよ!称号?神様なんて殺してないんだけど!

なんていう私のツッコミが炸裂した、もちろん口には辛うじて出さなかったが……。


エンシェントエルフというのは、伝説の種族という訳でもなければエルフの上位種族という訳でもない。

普通のエルフよりも遥かに長い間美しい容姿を保ち、永遠に近い寿命を持つエルフの一種らしい。

一応私だけが特別なのかと思ったらそうではなく、パパもママもエンシェントエルフであった。


称号というのは、獲得することで様々な恩恵をくれるもので、例えば『転生者』は自分を転生させた神様と連絡をすることができる、と女神クロリスは電話ならぬ念話で言ってきた。

ちなみに『神から愛されし子』は、クロリスが神域で私に可愛い可愛いと叫びまくっていたらいつの間にか付いた称号で『神殺し』は私を見ていたクロリスが鼻血の大量出血で一度死んだことでついたらしい。

死んだはずのクロリスが生きているは曰く『私、神だから死んでも蘇るし!』ということだった。

というか、神のくせに鼻血で死ぬなよ……。


私がレベル1なのは、今まで魔物と戦ったことがないからだ。

過保護というのか、パパもママも私を一度もエルフの里の外に行かせてくれないのだ。


「パパ、私レベル上げたいよぉ。お外行きたいよ」


私はおねだりするようにパパに頼んだ。

これが玩具やお菓子の類のお願いならパパは即座に聞いてくれていただろう。

パパは私に甘々なのだ。

だが、このお願いだけは聞いてくれない。


「グフっ、だ、ダメだ。そんな瞳をウルウルさせてもダメだ。お外は危険がいっぱいあるからダメだ」


パパは胸を抑えるように膝をつくが、私のお願いを突き返す。


「パパ嫌い」


「ミーシャ!」


私のお願いを拒否したパパに私はボソっと呟いた。

聞こえるか聞こえないかの声量であったのだが、パパには聞こえていたらしくパパは目から血の涙を流しながら私に手を伸ばしてきた。

だが、私はその手をパシっと払いのけると今度こそパパは崩れ落ちた。

パパがダメならばと私は標的を即座に変更し、ママにお願いをした。


「ママぁ~お願いお外に連れて行って」


「ミーシャ、お外は怖い魔物でいっぱいなのよ。だからミーシャがもう少し大きくなるまで我慢しようね」


優しく諭そうとするママであったが、そんな脅しに私は屈しない。


「もう~私はもう七歳なんだよ。もうすぐで学校にも行くんだもん」


そうあと三年もすれば、私は里を出て近くにある学校に通うことになっている。

私の今住んでいるエンシェントエルフの里は人口はそれほど多くはなく、森の中の隠れ里のようなところである。

けれど独立しているという訳ではない、一応魔族の国に属している。

魔族の国の法律で、一定以上の年齢に達したら教育を受ける義務があるらしく私は十歳になったら学校に行くのだ。

まるで日本の義務教育のようだが、学校に行く間、学費や生活費の全てを国が負担してくれるのだから日本よりその辺りは発展しているのかもしれない。


話を戻そう。

私が年齢を理由に出すといつの間にか復活したパパが話に割って入ってきた。


「まだ七歳だろ。パパは今年で三百三歳、ママは——」


「あ・な・た?」


「……」


ママの年齢を口に出そうとしたパパだったがママの優しい?笑顔をみると急に黙った。


「ミーシャ、ママは貴女に危ない目にあって欲しくないの。だから学校に行くまでママと一緒に魔法の練習して、パパと弓の練習をしましょう」


ママは私の頭を優しく撫でながらいった。

これ以上はダメだな。

私はお願いもおねだりもするするけど、ママやパパを困らせる悪い子ではないのだ。

引くことも大切なのだ。

これぞ、前世の記憶を持つが故に出来る私流愛娘術『我慢するいい子ちゃん』だ。


「うん……わかった」


「偉い偉い、偉いミーシャは今日の美味しいご飯ママと一緒に作ってくれるよね」


「うん、ママのお手伝いする」


「さて、あなたももちろん手伝ってくれるわよね」


「あぁ。もちろん」


エルフの社会はどうかはわからないが、少なくとも我が家のトップはママだ。

外ではカッコイイパパも家では見ての通り逆らえない。

ママは、料理も魔法を上手で特に治癒魔法が上手で、里では診療所のようなところで働いている。

パパは、弓を使って里の外で魔物を狩る仕事をしている。

私は二人から魔法と弓を習っているのだが、これがどうして中々上達しない。

転生ものの王道展開ならサクッと使えるものなのだが、パパやママのようにうまく使えるようにはならない。

二人は私の魔法や弓の腕をとても褒めてくれるのだが、如何に幼女であってもお世辞なのはわかる。

私の弓の腕では、真っ直ぐに矢を飛ばすことが精いっぱいで、矢の数を増やすとまともに的に当たらない。

魔法もママの治癒魔法の様に臓器や欠損部位を一瞬で治すことはできず、擦り傷を治すのにも四苦八苦してしまう。


流石はファンタジー世界というのか、両親や里の住人との実力差に最初は茫然とした。

弓を扱う者は何本もの矢を一度につがえ、寸分たがわず的を射ることができ、魔法を扱う者は、風景を一変させるほどの魔法を扱う。


自分が本当に『チート』な存在なのか怪しく思えるほどであった。

けれど、外に出してもらえない以上私は、学校に行くまでに少しでもパパやママに追いつけるように修練するしかなかった。



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