外伝・九話 手段
CRカップのカスタムが始まりましたが、僕のおすすめは白雪レイド君の神視点です(・ω・)ノ
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「寄生魔花か。人間の体の内部に発生するとはな」
診察室には俺とトウイのみ。
クロエは外で待っている。
クロエの母はベッドに寝かされ、トウイが処置に移っている。
「病と思い、万能薬を与えてしまった。俺の確認不足だ」
「浅はかだな」
トウイは遠慮なく、俺に言葉を投げつけてくる。
それに反論することなく、俺は甘んじて受け入れた。
「そうだな。浅はかだった」
「ふん」
俺の態度が面白くないのか、トウイは鼻を鳴らしてクロエの母への処置に集中する。
いくつか薬を調合し、その間に氷水で患部を冷やす。
そして調合した薬を飲ませていく。
すると、苦しそうだったクロエの母の容態が安定し始めた。
「どうにかなったか?」
「気休めだ。活性化の有無にかかわらず、体の中で寄生魔花が成長しすぎている。取り除かねば命はない」
遠慮せずにトウイは告げた。
クロエには聞かせられない内容だな。
「取り除けるのか?」
「手術が必要だ。魔法ではどうにもできん。患部を切り、寄生魔花を摘出する」
「そんなことができるのか?」
「普通の医師ならできん。寄生魔花はもう内臓に根を張っているからな」
「自分ならできると?」
「私一人でも無理だな。患者の体力が持たん」
「誰が必要だ? 誰でも連れてこよう」
俺の言葉を受けて、トウイが俺を見つめてくる。
その目に浮かぶのは疑惑だった。
「なぜそこまで肩入れする? パーティーすら組まず、謎に包まれたSS級冒険者。それが貴様だ。いくら民のためという冒険者の絶対ルールがあるとはいえ、肩入れがすぎる。万能薬を使ったことに負い目でも感じているか? 断言しておくが、専門家でもない限り、体内に寄生魔花がいるなど見抜けんぞ?」
「……外にいる女の子は弟子だ。この女性は彼女の母。死なせたくはない」
「ほう? つまり古代魔法の使い手か」
「そうなるな」
「貴様のほかにも古代魔法の使い手がいるとはな。肩入れする理由はよくわかった」
納得したのか、何度かトウイは頷く。
そして。
「必要な人材は貴様だ。手術中、ずっと治癒結界を張っていろ」
「なに……? 切った傍から再生するぞ?」
「それよりも早く切るだけだ。もちろん、調整はしてもらうがな」
「……やれと言うならやろう。それしか手がないなら仕方ない」
とんでもない要求だ。
体を傷つける手術なのに、治癒結界を張るなんて聞いたことがない。
しかもトウイの邪魔をしないよう、回復速度の調整が必要となる。
普通に張るよりも難易度は高い。
「すぐに行うのか?」
「いや、薬で少しずつ寄生魔花を弱らせる。三日後だな。それ以上となると、患者が持たん」
「そうか……では三日後までに用意しておこう。弟子の面倒を頼めるか? さすがに帝都を離れ続けるわけにはいかないのでな」
「帝都の守護者。帝国の治安維持に一役買っている貴様らしいな。いいだろう。二人の面倒は見ておく。だが、三日後には必ず来い。手術には貴様が必須だ」
トウイの言葉には圧があった。
一度救うと決めた以上、必ず救う。
トウイの矜持が垣間見えた瞬間だった。
俺は頷き、部屋を出たのだった。
部屋を出ると、泣きそうな顔のクロエがいた。
「お師匠様……」
「平気だ。必ず助かる」
「命に関わるって……」
「聞こえていたか……」
おそらく扉に耳でも当てたんだろう。
まぁ遅かれ早かれ、言わねばならないことだ。
「体内でモンスターが成長している。取り除かなければ命に関わるそうだ」
「そんな……嫌だよぉ……」
「落ち着け。トウイは最高の医師だ。三日後、俺と協力して手術をする。失敗することはないだろう」
「本当……?」
「本当だ。救えないなら、救えないと言う。奴はそういう男だ。手段を提示したなら、必ず救うはずだ。信じろ」
俺はそういうと、そっとクロエを抱きしめる。
クロエは耐え切れずに嗚咽を漏らし始めた。
クロエには母親がすべてだ。これから明るい未来が見えていただけに、母親がいなくなるかもしれないというのは耐えきれないんだろう。
「申し訳ないが、俺は一度帝都に戻る。三日後に、手術のために戻ってくるが、それまで母上を守れるな?」
「……うん、頑張る」
「よろしい。修行は一度、中断だが、イメージだけはちゃんとしておけ。母上は俺とトウイで必ず助ける。サボるんじゃないぞ?」
優しく語り掛けると、クロエは何度も頷く。
できれば傍にいてあげたいが、皇子として、SS級冒険者として帝都を空けるわけにはいかない。
クロエから離れると、クロエが小さく手を伸ばす。
だが、すぐにその手を引っ込めて、笑みを浮かべた。
「もう大丈夫だよ、お師匠様」
「……」
健気な子だ。
心配をかけないように無理をしている。
子供にこんな無理をさせたくはない。
しかし、残るという選択が俺にはない。
自分の無力を痛感しながら、俺はクロエの頭を撫でて帝都へ転移したのだった。




