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第百七十八話 ロリフとエロフ

発売まーであと一週間ー( *・ω・)ノ

色々と楽しみすぎて夜しか眠れないo(*゜∀゜*)o


「ろ、ロリフが帝国に来るですと!?」

「エルフです」


 呆れすぎて頭痛がしてきた。

 俺の目の前にいるのは皇族一の変人、第四皇子トラウゴット。

 俺の話を聞いたトラウ兄さんは興奮のあまり幼いエルフの絵を描き始めてしまった。


「ロリフ! あー! ロリフ!! どうしてあなたはロリフなの!?」


 上手いのが気に食わんが、どうしてこんな話をしているかというと、数時間前に遡る。




■■■




「エルフの里から要人が?」

「そうだ。駄目元で使者を送ってみたところ、ぜひ参加したいという返事をもらってな」


 玉座の間にて俺は父上からそんな話をされていた。

 エルフの里は大陸西部に広がる大森林の中にある。強力な結界を張ってあり、基本的には外界と交流はしない。

 だから駄目元ということなんだろうが、まさか色よい返事が返ってくるとはな。


「意外ですね」

「長老の孫娘が人間社会に興味があるそうです。おそらくその影響でしょう」

「エルフの長老の孫娘って、それはエルフの王女が来るということですか?」

「そういうことだな」


 エルフの隠れ里の長老ということは、エルフの指導者ということだ。その血縁となれば王族として対応することになる。


「それをなぜ俺に?」

「エルフの接待役となれば事を荒立てない皇族が望ましい。お前はそういう意味ではうってつけではないか?」

「まぁたしかに面倒事は嫌いですからね。しかしエルフの里から要人が来るなんてめったにない機会です。俺でいいんですか?」

「他の者は癖がありすぎる。失礼があってはいかんからな。ただな……一つ問題がある」

「なんです? 面倒事はごめんですよ?」

「アルノルト殿下。すでにあなたを指名したいと言ってる方がおりまして……」


 俺を接待役に指名するような要人。

 まぁ間違いなくあいつだろうな。


「聞かなくても察しはつきますが……誰です?」

「仙姫殿がどうしてもお前がいいと言っている」

「はぁ……ではどうするんです?」

「申し訳ないのですが……両方というのは可能でしょうか?」

「俺にストレスで死ねと?」

「そういう答えになりますよね」


 フランツが父上を横目で見ながら、ほら見たことかと言わんばかりの表情を浮かべる。

 それを見て父上が顔をしかめる。

 オリヒメだけでも苦労するのに、それに加えてエルフの王女なんて相手をしてられるか。


「それならばお前の代わりに誰が適役だ?」

「帝位争いの中心にいる三人を除くならばトラウ兄さんなんてどうです?」

「トラウは……皇族一の変人だぞ?」

「エルフなら大丈夫では? 守備範囲は狭い人ですし」


 可愛ければ正義。

 トラウ兄さんはそういう考えの人だが、基本的に十代中盤くらいまでが好みであり、それ以上は興味の対象から外れる。

 最も興味がそそられるのは十代前半の美少女。人類の財産といって語り始めるくらいには好きだ。

 だからそこらへんの年代の少女を近づけなきゃ平気ともいえる。


「トラウ兄さんは真面目にやれば大抵のことできますし、皇后陛下の息子でもあります。格という点でもエルフの要人を迎えるに足る人物かと」

「しかし……あやつが年齢で人を判断してると思うか?」

「まぁ間違いなく見た目でしょうね」


 年齢も大事だが、小さくて可愛い女の子が好きなのであって、多少見た目と年齢がずれていても気にはしないだろう。そういうところは何気に懐が深い。


「長老の孫娘の年齢はよくわからん。外見的に幼ければ最悪の人選になりかねんぞ」

「そうですね……否定はできません」

「ですが、アルノルト皇子に二人分の働きを求めるのも現実的ではありません」

「それもそうか。アルノルト。とりあえずトラウにこの話をしてみろ。その反応次第で決めるとしよう」

「わかりました」




■■■




 ということがあったわけで、トラウ兄さんにこの話をしたわけだが。


「ああ! 神よ! なんたる幸運! 自分にロリフを接待する役割を与えてくださるなんて!!」


 事故だな、これは。

 想像以上にトラウ兄さんはロリエルフ、つまり幼いエルフが好きなようだ。

 成長したエルフがくれば問題ないが、万が一幼いエルフが来たら大事故だ。その場で接待役を変えなきゃいけないし、そうなったらトラウ兄さんは抵抗するだろう。

 やっぱりこの人選はないな。


「トラウ兄さん。あくまでそういう話があるというだけですよ? トラウ兄さんに決まったわけじゃ」

「帝位争いに関わる三人を除外すれば自分が格という点では一番! デュフフ。もらったも同然でありますよ!」

「……」


 妙に聡い。

 元々ふざけているだけで馬鹿じゃないからな。すべての状況を把握したうえで自分が一番勝率が高いと見越してやがる。


「決めるのは父上ですし。もしかしたら仙姫の接待役になるかもしれませんよ?」

「それはそれでいいですなぁ。あのケモミミをずっと見ていられるなんて……ドゥフフ」

「……ちっ」


 これも駄目か。

 トラウ兄さんは使えないな。

 いまだに興奮状態のトラウ兄さんを見ながらそう判断し、俺はため息を吐いて部屋を出る。

 しかしまいった。

 トラウ兄さんにエルフもオリヒメも任せられないとなると本格的に俺が忙しくなりかねない。

 なんとか避けなければ。

 そう思いつつ、俺は自分の部屋へと戻る。


「おかえりなさいませ。おや? お悩み事ですかな?」


 部屋にはフィーネとセバス、そしてジークがいた。

 ぐったりしてるあたりジークはクリスタとリタのおもちゃにされたあとだろうな。


「ああ、盛大な悩みだよ」

「どんなお悩みですか?」


 紅茶を淹れてくれたフィーネに礼を言いつつ、俺は簡単に説明する。


「式典にはエルフの要人も参加することになった。適役が見つからない場合、俺はオリヒメとそのエルフの要人、二人の接待をさせられかねない」

「エロフだと!?」

「エルフだ……」


 どうしてこう、耳の悪い奴が多いんだ?

 ぐったりしていたのに急に元気を取り戻したジークがノリノリで話に加わってくる。


「ボンキュッボンのエロフが来るのか!?」

「エルフだって言ってるだろ! だいたい体型までわかるか! 年齢すらわかんないんだぞ!」

「でもエルフって全員綺麗だろ? どんな美女エロフが来るのかなぁ」


 想像してぐへへという汚い笑いをもらすジークを見て、俺は頭を抱える。

 どうして俺の周りには馬鹿が多いんだろうか。


「どうしましょう……本当に綺麗なエルフさんが来たら、ジークさんはお城の外に行ってもらわないといけませんし……」

「フィーネ嬢!? それは追放っていうんだぞ!? 嫌だ! 俺はここを動かないぞ!!」


 椅子に腕を巻き付け、ジークは絶対に動かない宣言をする。

 すると部屋をノックする音が聞こえてきた。


「やぁ兄さん、実はさ」

「エルフだ」

「え? あ、そうだね。その話をしようと思ってたんだけど……」


 先手を取ってエルフと告げるとレオは困惑した表情を浮かべる。

 よかった。俺の弟はまともだったか。


「すまん、侮った」

「えっと、話がつかめないけど……まぁいいや。エルフの里から要人が来るって話だよね? それで接待役を探してるって」

「そうだ。誰か適任者を見つけないと俺が苦労する」

「うん、それなんだけどクリスタじゃ駄目なのかな?」

「クリスタ? まぁ問題はないだろうけど、父上はクリスタや末弟を使う気はないぞ?」


 十五歳以下の皇族は子供扱いだ。

 そのためクリスタと末弟は父上の頭の中にはない。

 子供が接待役では相手をなめているともとられかねないし、失礼があっても困る。


「そこなんだけど、フィーネさんとセットならいいんじゃないかな? フィーネさんは蒼鴎姫という称号を持つ皇帝陛下のお気に入り。それはよく知られているし、皇族に準じるといっても過言じゃないと思うんだ。だからフィーネさんにクリスタのフォローをお願いすればいいと思うんだ」

「レオ……お前は天才だ」


 盲点だった。

 皇族という括りで探していたから適役が見つからなかったが、ようは相手にとって失礼がないならだれでもいいんだ。

 クリスタとそのフォロー役でフィーネ。エルフ側も皇帝のお気に入りの娘たちなら文句は言わないだろう。

 完璧だ。なにより同性というのが完璧だ。


「それで行こう」

「いーやーだー!! エロフの傍にいたい!!」

「それ以上わめいたら城の外に捨てるぞ?」

「人をペットみたいに言うな!!」


 抗議とばかりに俺の足にしがみついてきたジークをひっぱがし、ソファーに投げつける。

 その後、レオの提案は受け入れられて、エルフの要人の接待役はクリスタとフィーネに決まった。

 それが発表されたあと、トラウ兄さんが涙を流しながら床を殴っていたが、まぁ仕方ないことだろう。

 過ぎた愛は危険だからな。

 とりあえずこうして一つの問題は解決したのだった。

 

 

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― 新着の感想 ―
ロルフとエロフって何?とか思っていたら、そうゆう事ねwwwwww
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