第一作戦「堕ちた英雄」
どうも、おはようございます、こんにちは、こんばんは。しっくと申します。
このお話は結構前から考えていたものです。
主人公の成長などを題材としたありきたりなお話かもしれませんが、みなさんにワクワクしていただけるように精一杯頑張りますのでどうかご勘弁を・・・。
何分初心者なもので読みにくいところなど至らない点だらけですが(一応確認はしているのですが、使用しているソフト上、誤変換があるかもです・・・)、楽しんでいただけたら幸いです。
書き溜めがないので更新頻度は期待しないでくださいいいいいいいぃぃぃぃぃ!
どんなご感想でもウェルカムです!
それでは物語の世界へいってらっしゃーい!!
「ん・・・ここは?」
目を覚ました俺の目には白い天井が写った。どうやら医務室らしい。一体何があったんだ、と困惑していると扉を叩く音が聞こえ、その直後見慣れた顔が現れた。
「本調子じゃないところ申し訳ないね。しかし今回の任務は君だけで遂行してもらっていたから・・・」
申し訳なさそうに話す彼はシン。俺にとっては友人でもあり上官でもある。確かに彼の言うとおり俺は単独で任務に出ていたはずだった。
「今朝、基地前に倒れているのを見つけて驚いたよ」
「すまない、あまり覚えていなくて・・・。多分任務は失敗だ・・・」
状況からしておそらくそうなのだろうと俺は推測した。
「そうか・・・。どこまでなら話せる?」
シンに説明するために記憶を呼び起こす。すると少しずつ何があったのかを思い出してきた。俺は体を起こし話し始めた。
「途中までは順調だった。だが、預言者まであと少しってところからどうも記憶が・・・」
今回の任務は預言者と呼ばれる存在を探し出すことだった。いつまでも終わらない戦いにあきあきしていた上層部は、強力な打開策をつかもうとしていたのだ。
「そうか、まぁこれからのことはこちらで改めて考え直すとするよ」
シンは俺の方をポンポンと叩いた。
「まさか、しくじるなんてな」
俺はベッドから降り、立ち上がった。
「どこへ行く気だい?」
シンが心配そうな顔で俺を見つめながら言った。おそらく彼は俺がもう少し安静にしていることを望んでいるのであろう。しかし俺にそんな気はない。
「トレーニングだよ。今回はたまたま・・・。次は上手くやるさ」
シンにそう告げると俺は医務室を出た。そう、今回はたまたま失敗しただけ、なぜなら俺は人類最強と呼ばれる特殊能力者なのだから・・・。
トレーニングルームに着くと俺はいつもどおりのメニューを機械に打ち込んだ。
「ちゃっちゃと肩慣らしをしてまた作戦を立てるか」
『トレーニング ヲ カイシシマス』
トレーニングマシンが無機質な声でトレーニングの開始を告げた。いつも通り飛んでくる練習用ロボット。俺はいつも通り雷の力を使おうとした。しかし何も起きない。それに気づくのと同時に、”ドンッ”という音と共に俺の体はロボットに吹き飛ばされた。
『MISS』
ロボットは俺をあざ笑うこともなく、ただ淡々と俺の失敗を告げた。俺は混乱した。
「何故だ!?おかしい!」
何度もいつも通り力を使おうとする。しかし俺の体がそれに答えることはなかった。
「なんでだ!?なんで・・・なんで能力が!?」
医務室の空気は重かった。
「あなたほどの方にこんな話をするのはいささか気が引けますが・・・。しかし真実を知らない限り前へは進めません」
医者は気が重そうにしている。
「いいから、教えてくれ」
どんなことであろうが知らなければ前へは進めない・・・、それには俺も同感である。俺の言葉を聞くと医者は大きく深呼吸をし、加えて咳払いもすると口を開いた。
「では・・・。そもそも特殊能力を使うには二つの要素が必要です。まず一つは体内に特殊能力自体が存在すること。こちらに関してはあなたに異常はありませんでした」
俺は自分の胸に手を当てる。確かに体のどこかに雷を感じる。
「そして二つ目は能力の使い方を知っていること。どんなに強力な武器を持っていても使い方を知らなければ意味がないのと同じということです」
そんな初歩的なことは知っている。こいつは何が言いたいんだ?そう思ったがあえて口には出さず、俺は話を聞き続けた。
「どうやらあなたはこちらに問題があるようです」
「は?」
俺は思わず疑問を口にしていた。一体どういうことなのだろうか、理解が追いつかなかった。俺の言葉に医者は少し尻込みしてしまったようだが、少しすると改めて口を開いた。
「どうやらあなたは能力の使い方を忘れてしまった・・・、いや、もっとひどいかもしれません。・・・あなたの中に特殊能力に関する機能が存在していないのです」
医者の言葉に思わず呆然とした。理解ができないわけではなく、自分に都合の悪い情報を体が理解しないようにしたのだろう。
「・・・治るのか?」
無気力に口を開く。医者は額の汗を拭うと目を泳がせながら俺の質問に答えた。
「忘れているだけならまだ取り戻しようがあったかもしれません・・・。しかし機能自体が存在しないとなると・・・」
自分の鼓動が高鳴っているのが分かった。
「と?」
俺は握った拳を震わせ、俯きながら訪ねた。
「残念ですが・・・」
予想していた悪い答えが俺の耳に入る。俺の心のキャパシティは限界を迎えた。
「ふざけんな!」
俺は目の前の机を蹴り飛ばした。医者は驚き、椅子から転げ落ちた。
「嘘だろ!?・・・そんな!人類には俺が必要なんだろ!?そんな・・・、そんな・・・」
俺は膝から崩れ落ちた。あの任務で俺に一体何が起きたのだろうか、俺はこれからどうすればいいのだろうか。過去と未来に大きな暗闇を感じた。
絶望から数時間後、俺は上層部に呼び出されていた。
「話は全て聞いた。・・・まぁ安心したまえ。君にはこれからもここで活躍してもらいたいと考えている」
総統は明るい顔で俺に言った。やはり何があろうとも俺への信頼は大きいようだ。それはそうだろう、俺がここで成してきたことは大きい。
「それではさっそく新しい君の仕事を紹介しよう」
そういうと総統は椅子から立ち上がった。
しばらく歩くと総統は立ち止まり口を開いた。
「ここが君の新しい職場だ」
連れてこられた場所は”偵察部隊・第13小隊”。偵察部隊とは、能力が開花する可能性が無い者達で構成された部隊であり、限られた人数しかいない特殊能力者たちの仕事効率を良くするため、先陣を切って偵察を行う危険度の高い、いわば”捨て駒”である。
「総統・・・、嘘だよな?」
こんなことありえない。これは俺を慰めるための冗談なのではないだろうか?
「なにを言っているんだね?君は能力が無ければただの使えんクズだ。自分の持つ能力が強かっただけでそれに慢心し、自尊心だけやたら高くなり・・・。協調性も何も持っていない・・・、今となれば使い物にならん。せめて少しでも役に立つ死に方をするんだな」
総統は今まで見たことのない様な笑みで語った。俺は人類最強と呼ばれた・・・、そして多くの成果をあげた・・・。その仕打ちがこれだと思うと無性に腹が立った。
「ではな」
総統は俺に背中を向けて立ち去ろうとした。
「待てよぉ!好き勝手言いやがって!!」
俺は総統に殴りかかった。俺の動きに気がついた総統は俺の拳を軽くあしらうと、俺の腹部に膝蹴りをかました。
「ほらな、今のお前なんぞ誰にも勝てない」
総統は不敵に笑うと、倒れ込んだ俺を見下しながら口を開いた。
「お前の能力は本当に便利なものだった。雷の力を使った攻撃だけで無く、雷を使い自分の身体能力の強化まで行えるという優れもの。それに頼り切っていたお前が能力を失えば・・・、このざまだ」
確かに俺の能力は優れものだった。だからこそ俺は人類最強と呼ばれた。それを無くすことなど全く考えていなかった。
「貴様は周りから尊敬されていたのではない。ただそのやっかいな能力を恐れていただけだ。ではな、哀れな男よ」
総統は笑いながら去っていった。多くの人間が行き来しているが、倒れ込む俺に手を伸ばす者はいなかった。
「くそっ・・・!ふざけんな・・・」
思わず涙がこみ上げてくる。自力で立ち上がり悔しさのやり場を探していると13小隊のドアが開き見覚えのない男が出てきた。
「哀れだな」
見知らぬ男は俺を嘲笑った。どうやらドアの向こうでことの顛末を聞いていたらしい。
「能力を失うなんて。」
「テメェは13小隊の奴か?能力が開花する可能性もないような奴に言われたくねぇな」
ただでさえ穏やかでない状況の俺に喧嘩を売ってきたその男に、俺は嫌味を言い返した。
「俺は13小隊の先輩だぞ?口の聞き方に気をつけろ。それに俺だったら一度開花した能力を失うなんて愚かなことはしねぇ」
「クッ・・・!」
腹の立つ目の前の男に殴りかかりたかったが、先程の総統の一撃のダメージでそれは叶わなかった。にらみつける俺に男は話を始めた。
「俺には能力はねぇが武器を使った格闘や体術には自身がある。だからここまで生きてきた。能力に頼り切っていたお前はいつまで生きていられるか見ものだな」
確かに偵察部隊として生きてきたからにはそれなりの実力はあるのだろう。
「どいつもこいつも俺をコケにしやがって・・・。いいか!俺はどこであろうが生きる!また手柄を立てる!」
俺は男に対して拳をぶつけるように怒鳴った。
「どうしたの!?すごく大きな声が聞こえたけど?・・・ってその人、口から血が出てるじゃないですか!!」
どうやら俺の声に反応した13小隊の人間が外へ出てきたらしい。女は俺のところへ駆けつけるとポケットからハンカチを出して俺の口元を拭いた。
「ジェイ君、暴力はだめだよ!」
どうやら彼女は俺の負傷の原因を目の前の男、”ジェイ”の仕業だと思ったらしい。
「ちげぇよ。俺が見つけたときにはもうそうなってた」
ジェイは不機嫌そうに言った。
「大丈夫ですか・・・、って、え!?まさか雷帝さんですか!?」
彼女は俺の顔をのぞきこみ鼻息を荒くした。雷帝というのは俺の俗称のようなものである。
「今は雷帝ではなくなったみたいだがな」
俺はジェイを睨みながら言った。ジェイはかすかに笑みを浮かべながら俺を睨み返した。
「あぁ・・・、聞きました。雷帝さんの能力がなくなっちゃったって・・・。でも元気出しまょう!雷帝さんは雷帝さんですよ!」
俺の口元を拭きながら頬を赤くして彼女は言った。良くわからないが彼女はどうやらとても明るいらしい。
「あぁ・・・」
俺はその明るさに少し戸惑いながらも返事をした。
「そいつ、今日から13小隊に入るんだってよ」
ジェイが俺を指さしながら言う。
「えっ!本当ですか!?それなら・・・よろしくお願いします雷帝さん!」
彼女は俺の手を握りながら笑顔で言った。今雷帝雷帝言われるのは普通なら嫌味に聞こえるが彼女からはそんな気配は全く感じなかった。さて、これから俺はどうなっていくのだろうか。不安は拭えないが、目の前の男や総統を見返すためにも俺は弱音を吐いてはいられない。




