ドイツロマン派作品の原典・原書の邦訳書 リスト50選 絶版がほとんどですが、、。
前説
ドイツロマン派関係の邦訳のもっともまとまったものとしては第一に
「ドイツロマン派全集」国書刊行会 全22巻、を上げなくてはならないだろう。
これ以上のものは後にも先にもないのである。
ドイツロマン派の作品に触れたければ、まずこれを全巻、読破していただきたい。
それで興味を持たれたならば、さらに、
それからドイツ語を学んで原典に当って研究を深めるのも一興であろう。
今はネットでドイツロマン派の全ての作品の原文が読めるのだから。
以下、各作家ごとに、邦訳書を列挙します。
〇ヘルダーリン すべての作品が邦訳されています。
ヒュペーリオン 筑摩世界文学大系 ドイツロマン派集
エンペドクレス 岩波文庫
ヘルダーリン全集 全4巻 河出書房
〇クライスト
拾い子 世界短編文学全集 ドイツ19世紀編
O公爵夫人その他6篇 岩波文庫
「チリの地震」「聖ドミンゴ島の婚約」「ロカルノの女乞食」「拾い子」「聖ツェチーリエ」「決闘」
ミヒャエル・コールハースの運命―或る古記録より (岩波文庫)
〇ノヴァーリス すべての作品が邦訳されています。
青い花 岩波文庫
ザイスの弟子 ドイツロマン派全集 ノヴァーリス
断片、続断片 飯田安 訳 第一書房 昭和12年
断章 上、中。 下は未刊 岩波文庫
花粉、ノヴァ―リス伝 古典文庫
ノヴァーリス全集 沖積舎 全3巻
〇ジャンパウル 以下のとおりほぼすべての作品が邦訳されています。
ジャンパウル全集 訳者急逝により中絶、。
フィックスライン
見えないロッジ
ジーベンケース
気球乗りジャノッツォ 古典文庫
巨人 古典文庫 古見日嘉 訳
ヘスペルス 九州大学出版会
生意気盛り 九州大学出版会
ジーベンケース 九州大学出版会
彗星 九州大学出版会
〇ティーク ご覧の通り短編しか訳されていません。代表作、「ロヴェル」も「シュテルンバルト」もいまだに未訳です。
セヴェンヌの叛乱 青木書店 獨逸ロマンティック叢書 昭和15年
繪畫 第一書房 1951年
ドイツロマン派全集 ティーク
「金髪のエックベルト」 Der blonde eckbert
「友だち」 Die freunde
「ルーネンベルク」 runennberg
「愛の魔法」
「妖精」 Die elfen
「怪しのさかずき」
「美しいマゲローネ」
「ハイモンの子らの物語」
「忠臣エッカルトとタンネンホイザー」
金髪のエックベルト -ドイツのメルヘン メルヘン文庫 東洋文化協会
妖精
美しいマゲローネ
長靴をはいた牡猫 河出世界文学全集
〇シュレーゲル
ルチンデ 春陽世界名作文庫
ルツィンデ ドイツロマン派全集 9、12
ロマン派文学論 富山房百科文庫
〇ブレンターノ 代表作「ゴドヴィ」が、いまだ未訳です。
「ポンスドレオン」「プラハの建設」「数珠のロマンツエン」
などの重要作品も未訳です。
ゴッケル物語 岩波文庫
ゴッケル、ヒンケル。ガッケライア 改造文庫
ライン綺譚・遍歴子弟の手記 青木書店 獨逸ロマンティック叢書
三つのくるみの実 世界短編文学全集 ドイツ19世紀編
ミルテの精 メルヘン文庫 東洋文化協会
「ミルテの精」 Das Marchen Von Dem Myrthenfraulein
「ヴィッツェンシュピッツェルの話」 Das Marchen Von Dem Witzenspitzel
「バラの花びら姫」 Das Marchen Von Rosenblattchen
「のみの男爵」 Das Marchen Von Dem Baron Von Hupfenstich
「三つのくるみ」
「男らしいカスペルと美しいアンネルの物語」
〇ホフマン
ホフマン全集 全11巻 で、全ての作品が日本語で読めます。 創土社
そのほかホフマンは日本でも、人気があったようでかなりの翻訳書が戦前。戦後にもあります、。
特に彼の代表作「悪魔の霊液」 は以下の通り5種類も邦訳がありますが、すべて絶版です。
悪魔の霊薬 Die Elixiere des Teufels 国松孝二
悪魔の酒 Die Elixiere des Teufels 浜野修
悪魔の美酒 石川道雄
悪魔の美酒 中野孝二
悪魔の霊液 小暮亮訳 松竹出版部 1949年
悪魔の霊酒 深田甫
イグナーツデンナー 怪奇小説傑作集 創元文庫
〇アヒム・フォン・アルニム
この人も未訳だらけです。ドイツロマン派全集に抄訳がありますが
「ドロレス伯爵夫人」「王冠の番人」「女教皇ヨハンナ」
「えぞやまどり」「冬苑」「グライヒェン伯爵」などの重要作品が未訳です。
エジプトのイザベラ 世界幻想文学大系
ドイツロマン派全集 アルニム編
〇アイヒェンドルフ ほぼ、代表作は邦訳されています。
「フリードリヒの遍歴」これは「予感と現在」の邦訳です。
translator:神品芳夫 集英社(ShueiSha) 『デュエット版 世界文学全集09』
幸運の騎士 鎌倉書房
詩人とその仲間 沖積舎
秋の惑わし 一つのメールヘン」 世界短篇文学全集
大理石像/デュランデ城悲歌 岩波文庫
ハレとハイデルベルク 沖積舎
〇シャミッソー
影を売った男 岩波文庫
〇フーケ
水妖記 ウンディーネ 岩波文庫
〇ハウフ
隊商 岩波文庫
盗賊の森の一夜 岩波文庫
リヒテンシュタイン 昭和19年10月 富士出版 3000部
それにしてもこうして眺めてみると結構いっぱい訳されつくされてるんですね。
日本って翻訳大国?なんですね、
こんなに翻訳が盛んな国ってほかにないでしょ?
付記3
私が知る限り、ティークについて研究評論書で日本人が書いた、日本語で読めるものは皆無です。
ドイツ語での研究評論はかなりあるようですが、それの邦訳も皆無ですね。
ティークについての最も詳しい解説はなんとウイキペディアだけという哀しい現実です。
これだけロマン派で重要なのに、この体たらく、、、哀しいというよりも怒りさえ覚えますよね。
誰か「ティーク研究」を刊行してくれませんかね?
ついでに言えば、ブレンターノについても事情は全く同様です。
日本語で読めるブレンターノ研究評論書なんて全くありません、皆無です。
アルにムについても事情は全く同様です。
同じく日本ではマイナーなあの、シュレーゲルでさえ
日本語で読める研究書が、それもかなり分厚い本が、私が知る限りなんと、3冊もあるんですよ。
ヘルダーリン、クライスト、ノヴァーリス、ジャンパウル、ホフマンなどは邦訳の全集もありますし、
この待遇の差って、何ですか?
ティークもブレンターノも、むしろ彼ら以上にロマン派の重要人物ですよ。
それが邦訳もない研究書もない、って。
怠慢な日本のドイツ文学者たちへの怒りしかありませんよね。
そんなに言うならじゃあお前が書けって?
言い訳めきますが、私は趣味で「ドイツロマン派」が好きなのであって、
研究者でもないし、ましてドイツ文学者でもないのです。
私にはそういうわけで「荷が重すぎて」できないのですよ。
悔しいけどそれが実態なんです。