セキレイ、占いをしてもらう
セキレイが城へ戻ると、すでに秋の女王が占いをしていました。王様が秋の女王にお願いをしたのです。秋の女王は亀の甲羅を焼き、その割れ方で占いました。
「搭から見て北西にある山に、大切な手がかりがあると出ています。セキレイさん、行ってくれますか?」
「はい。行ってきます」
セキレイは秋の女王様から葡萄酒とパンと醍醐をもらうと、占いに出た山へと向かいました。
山へ向かう道はやはり雪で覆われ、しかも強い風が吹いています。まるでセキレイを追い払おうとしているかのように。それでもセキレイは歯を食いしばり、外套で体を包みながら一生懸命歩きました。
しかし、だんだん日が暮れてきました。凍えたセキレイは、休める場所を探します。ですが、なかなかみつかりません。
休める場所を探しながら、セキレイが長い長い道を歩くと……、その先に家がありました。ですが、屋根も壁も白い雪で覆われ、軒先には鋭い氷柱が垂れ下がっています。煙突からは煙も出ず、人の気配もありません。セキレイはここで少しや済ませてもらおう、と扉を開けようとしました。すると、中から男の声がしました。
「誰だ、勝手に人の家に入ろうとするのは」
「申し訳ありません。私は旅のものです。この山に探し物をしにやってまいりました。ですが、風が強く、これ以上進めそうにありません。どうか夜が明けるまで出いいのです。ここで休ませてもらえませんでしょうか?」
男はがたがた震えるセキレイに「しょうがない」と言って、家の中に入れてやりました。そして、セキレイにこういいました。
「この家のどの部屋を使ってもかまわない。だが、2階には絶対に入らないでくれ。それを破ったならば、お前を追い出すぞ」
セキレイはうなづきながらも、2階には何があるんだろう、と思いました。
家の中は、まるで春のように暖かく、心が安らぎました。しかし、暖炉に火はありません。埃っぽく生活感の無い家の中でセキレイは違和感を覚えました。
男は何も言わず、ただ外の雪を見ていました。セキレイは疲れていましたし、おなかも空いていたので葡萄酒とパンと醍醐を取り出しました。
「おじさん、おじさん。一緒に葡萄酒はどうですか? 醍醐とパンもありますよ? 一晩の宿を貸してくださったのです。粗末なものですが食事ぐらい出させてくれませんか?」
男は最初渋りましたが、人懐っこいセキレイの眼差しに負けて一緒に食べてくれました。ですが、男は、パンと醍醐だけ食べて葡萄酒には手を出しませんでした。
「おじさん、おじさん。寒いでしょう? 葡萄酒を飲めば体が少しは温まりますよ」
「俺は、酒が飲めないんだ。悪いな」
男はそういうと、部屋の奥に行ってしまいました。