表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

私のことは構わないでいいですから!!

チュンチュンと可愛らしい声を聞きながらもぞもぞと銀次郎(ぎんじろう)こと縮めて銀の天然毛布からのっそりと起きて家の裏にある動物小屋に向かう。一緒に起きた銀は私の顔を見ながらお供に横をテクテクと軽快に歩いている。軽くスキップのような軽快さが元気で可愛いけど朝が苦手な私にはすごく羨ましい。


外に出てしばらくするとザッーーと森の木々が大きく揺れ動いた。


「うにゅ~?」


まだ完全に起きていない寝ぼけ(まなこ)と頭で揺れ動く木を見上げるとそこには大きな鷹が庭に向かって飛んできていた。私に気づいてグワァ~っと大きな一鳴きをするとクルッと空中で旋回しつつ急下降して見事な着地を決め私の側によちよちと歩いてくる。


なによなによ!!・・・左右に揺れて歩くぎこちない歩き方がすごく可愛いじゃないか!!


「おい!!直ぐに離れろ!!」


後ろから叫び声が聞こえ振り向くと、男が剣を構えてこちらを警戒していたが私には何で剣を握ってるのかが理解できない。しかも鷹が剣を構えて殺気を放つ男を見て攻撃に備えて攻撃体制に入っている。


「聞こえないのか!!早くそいつから離れろ!!」


「何で?どうして離れないといけないの?」


きょとんとした顔を私はしていたのだろう。男は半分飽きれもう半分驚きながら私を見て鷹に剣を向けながら叫んだ。


「そいつは指定危険生物の人喰い大鷹だぞ!」


「にゅ?疾風(はやて)は人を食べたりしないよ?」


顔を傾げて不思議いっぱいで男に言い切る。


「ハヤテ?ハヤテだと?」


「うん!疾風はすっごく賢くて良い子なんだよ?狩りも得意でよくお肉になる魔物とか持ってきてくれるし、大きなお魚とかも空の上から見つけてガシッて掴んで持ってきちゃうのよ~今日の狩りの獲物は何かなぁ~?楽しみだなぁ~」


疾風の嘴をガシガシと撫でながら答えていると男は毒気を抜かれて剣を鞘に納めた。それを見て疾風も警戒を解くと甘えるように顔を体にすり寄せてくる。・・・可愛すぎる~!!ういやつよの~!!


誰だ!おっさんみたいって思った奴は!!何?おっさんじゃなくてじいさん??何て失礼な!!そりゃ~昔、日本人の時は小学生の時から時代劇おやつは固いおせんべいが好きで見ていたけど?それに何かご意見がおありで?しかも性別が男ってどう言うこと!?

・・・チェッ。どうせ変な子でしたよ~だ。



そんなどうでも良いことを考えていると私に幸福が訪れた!!疾風のグリグリににまにまと笑っていると銀が俺も構え~とばかりに反対側からグリグリ~あぁ~~もふもふ?もふもふなの?あぁ~幸せ~。ここは極楽じゃ~~!!



「こんな朝早くここで何を?」



急に男に話しかけられて用事を思い出して動物小屋に向かい、牛や馬に飼い葉をやり、鶏と豚に餌をやり、鶏と牛からお恵みを頂戴しそそくさと戻ってきたら私が持っている物に驚いていた。昨日から一体何に驚いてるのか検討もつかないがそれよりも先ずはミーシャさんが起きてくる前に朝食の作っておかなければ!!っていうかまだ居たのね・・・



「えっと・・・貴方は朝は食べましゅか?」


なんの脈絡も会話のキャッチボールとかを完全に無視してしかも子供っぽさを出すそうとして思いっきり舌を噛んだ私の急な話に呆気にとられながら


「いいのか?出来れば昨日の食事が旨かったので朝も食べれると有り難いが・・・」


「美味しかったなら良かったです」


にっこり営業スマイルで大人のお世辞に対応しました。誉められて嬉しいですが、社交辞令的なものを真に受けてはいけません。私が調子に乗りますから!一応は見た目は子供でも大人の精神を持ってますからね!

大人の精神を持ってますからね!何で2回言ったの!?って思うけど何か信用されてないっぽいので。



「そう言えばまだ名乗ってなかったな・・・私は【サウリュス】という。お礼が遅くなったが昨日は助けてもらい、食事や寝床も提供してもらいすまなかった。本当に助かった。ありがとう」


「そんな・・・お気になさらずに・・・(見捨てる事も考えたとか口がさけても言えない・・・よね)私は【ティル】です。宜しくお願いします」


ーーーワンーーー


「この子は銀次郎です。今は小さくなってますが普段はもっと大きな銀の埃高(ほこりたか)い狼です。」


えっ?埃高いじゃなくて誇り高いではないのかって?だってこの子言わないとお風呂は入らないし水浴びも適当なんですもん!!埃が高く積もるわ!!発音は一緒だからね~OKだよ!えっ?でも一緒に寝てたじゃんって?ちゃんと軽く拭いて埃取りつつブラッシングして・・・ちゃんと手入れしてから寝ましたよ?嬉しそうに尻尾振ってスリスリしてきたので構い倒しましたが・・・。



「銀の狼ってまさか・・・いやでも・・・」


何やらサウリュスさんがブツブツと呟いてますが何を言ってるのか分からないので放置します。さてさて今日の朝食のメニューは何にしましょうかね~・・・



ーーーぐぅ~?ーーー


えっ?疑問系のお腹の音が隣から聞こえましたが何で疑問系なんですか?不思議です。そういえば今やっとサウリュスさんの顔をちゃんと見ましたが美形ですね。私が美少女とか浮かれていた心を打ち砕く程の超美形です。ミーシャさんは豊満な魅惑のボディの魔性の女で助けた男は赤く炎を連想するような髪に対照的な海・・・しかも海外とかの映像で見たことある青と緑色が同居した2色でグラデーションされた目。すっごい綺麗だけど・・・目が1色じゃないのは違和感半端ないね!えっ?お前が言うなって?・・・・・・?あぁ私も片目ずつ違う色ですね!でも片目は1色ずつですし言う権利あると思います!!あんな羨ましいグラデーションの目とかではないし!!はい、すみませんただの嫉妬ですね。でも綺麗なんですもん。良いなぁ~。




さてさてそんなことよりさっさと朝食の準備でしたね。もう面倒くさくなってきましね・・・簡単な朝食にしましょうかね・・・






「ミーシャさ~ん起きてください!!ご飯ですよ~~」


ミーシャさんの部屋の前で声をかけながら扉をノックし中からごそごそと音がしたのを確認してキッチンに戻りサウリュスさんに頼んでもう1人の男の人を起こして来て欲しいと頼み、パパッと並べていく。全員が席に着いたのを確認するとミーシャさんがにこにこしている。


「で~は~・・・いただきます~ぅ」


サウリュスさん達は不思議な顔をしながら皿の上のものをフォークで突っついてから食べている・・・お行儀悪くないか?美形さんなのに食事の時に子供みたいなことしてるってちょっとガッカリなような?可愛いような?変な感じですね・・・ものすごい勢いで食べてるミーシャさんが気になる。


「ミーシャさんおかわりはありますからね?スープとサラダは絶対に食べてくださいよ?おかずだけとか許しませんよ?」


ミーシャさんに釘を指しておくとウグッと喉に詰まらせていたが言わないと食べない時あるのよ・・・さてさて私も早く食べないとね・・・今日は夕飯なににしようかなって・・・朝ごはん食べながら考えることじゃないね・・・お魚食べたいかも・・・昔食べたカスベ(エイ)美味しかったなぁ・・・


「いただきます」


夕飯は食材次第よね・・・あ・・・お野菜うまうま~見た目は色が大丈夫?って感じな野菜たちも美味しいのよ~代表的なのは・・・ピンクと赤のマーブルな色彩のレタスに白いキュウリ・・・黄色と赤と緑とオレンジ色の4色のトマト・・・いや確かにトマトってそういう色のが売ってたけどさ・・・混ざんなくてもよくない??ちなみに面白いのですが・・・4色トマトはあの有名な6色を合わせるキューブをガチャガチャと弄くり回したような配色でした・・・でも味は甘くて独特の青臭さがない味でした。見た目で損してるよね・・・食べるの最初は躊躇したしね。



「ごちそうさまでした。ミーシャさん私は畑と川に行ってきますね?後片づけ御願いして良いですか?」


私より先に食べたのにサウリュスさん達と争うように食べてるミーシャさんに声をかけると片手を挙げて頷いてます。そんなに食べるのに必死ですか?っていうかどんだけ食べるの?なのにスタイル良いって妬ましい・・・胸だけでなくお腹もぽっこりすればいいのに!!


私が動いたのを確認してゆっくりと立ち上がり隣にピタッと体をつけて歩く銀の体を撫でながら畑に向かい収穫出来そうな野菜を探し肥料や水をあげていると後ろから収穫した野菜が入ってる籠が奪われた。


「野菜はここで育てていたのか」


犯人はサウリュスさんだった!!気配とか足音とかしなかったけど!!なんで忍び寄って来るの?しかもなんで私の収穫物を奪うの??


「これはさっき食事した場所に持って行けば良いのか?」


「えっ?」


まさかのお手伝いですか??でもなんで??しかもまだ居るけどナチュラルに居るけどこの人達はいつまで居る予定なの??まさかの長期滞在するの??


「違うのか??」


「あっごめんなさい・・・さっきのテーブルの上で大丈夫です」


「そうか・・・持って行くのはこれだけか?他にはあるか?」


「いえ、ないですが・・・自分で持てますよ?」


「気にしなくていい・・・さっきの食事も旨かった。手伝えることはやるから言ってくれ」


そう言うとスタスタと家に戻っていく後ろ姿を眺めていると急に振り向いて私をじっと見ている。なんだと首を傾げるとふわっと優しく微笑まれた・・・止めて!!目がやられる!!美形の優しい天使のような微笑み・・・目が!!心がblackの私は浄化されてしまうので止めてください切実に。


しかも籠を持ってない方の手を差し出されて吸い込まれるように近づいて握ちゃったよ・・・。なになに?魔法?魅了?なんなのよ~~!!


「このあとは川に行くと言っていたが一緒に行ってもいいだろうか?」


「川にですか?でも何で??」


「君は・・・ティルはここがどういう場所か分かってるのか?」


「にょ?」


突然された質問が理解できなくて変な声が出たよ!!よりにもよってなんでにょ?を選択した私!!サウリュスさんがビックリしてるよ。そうですよね・・・聞いたことないですよね・・・にょって返事・・・もう御願いですからほっといてくださいっていうか後ろ向いて肩を震わせてるのは笑いを堪えてるのですか?いっそ笑ってくれればいいのに・・・一思いにやってくださいよ!!



・・・このまま私のことは放置してくれます??













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ