・・・あらら?私なにか選択を間違えてる?
展開に悩んで結局こんな感じに・・・。中途半端な感じですが、ここで1度切らないとどうにもならなかったです(>_<)すみませんm(_ _)m
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。ブックマークが増えてきて嬉しいです。そして恋愛要素がまだ出てなくってすみませんがもう少ししたら展開できると思いますのでお待ちください(>_<)
サウリュスさんに促されて着いたお宿がやばかった。いやヤバイお店とかの意味ではなくって格式?高級?まぁ~ぶっちゃけ今までの宿ってなんやねん。って感じです。・・・分かりづらいって?庶民の中でも最底辺のTHE庶民キングの、あれこの場合はクイーン?どっちでもいいか。ぶっちゃけ言いたいことは変わらないしね。だから最底辺の私に分かるわけないし説明なんてもっと出来ません。
「ティル?どうかしたか?」
「・・・いえ。別に」
宿の入り口で立ち止まりぽかーんと宿を見上げている私にサウリュスさんは不思議そうに尋ねてきた。不思議そうにされるということはこれは一般的には標準なのだろうか・・・いやそんなことはないはず・・・答えが出る前に私の思考は終わりを迎えた・・・強制的ではあったが・・・
「サウリュス様~お帰りなさいませ~」
女の人が猫なで声で話しかけてから勢いよく突っ込んで来たのだ・・・猪?ねぇ猪なの?って聞きたくなるくらいに凄いタックルだった。お陰さまで弾き飛ばされ、尻餅をついたが反射的に体を支えるために出た両手が地面に触れて手のひらを擦りました。・・・いてて。考えてた事が中断するだけでなくすっ飛んで逝きました。もうどうでもいい内容なので考えるのは止めて思考はご臨終させました。意味わからんって思いますが、今はお尻の強打と手の擦り傷の痛みで思考が迷子なんですよっ!いつもだって?大きなお世話ですよっ!
「ティル!!」
サウリュスさんが慌てて駆け寄って抱き上げてくれました。お尻痛くて立てなかったけど、こっ、子供扱いしないで~お願いします~と思っていたのにサッと体勢を変えられてまさかのお姫様抱っこされました。格好いい美形の男性にされたら誰でも思わずときめいてしまうかもしれません。私ですか?かなりというかものすごく恥ずかしいです。だって目の前にサウリュスさんの顔がズームアップで見られるんですよ?動揺だって、動悸だって、不整脈だって、でますよ、そりゃ。
「サ、サウリュス様・・・その子は?」
私を睨みサウリュス様にひきつった顔で無理矢理笑いながら尋ねる女性にサウリュスさんが怒りを込めた視線と声を出した。
「大切な預かり子だ。私の国、いや、この世界の光だ」
なっ、なっ、なんて恥ずかしいっ!恥ずかしすぎて顔がめちゃめちゃ熱いです。しかもいつの間にか居た野次馬やヘントタイトさんと騒ぎで駆けつけてくれたファムアさんやゼファーさん、エリオス君も来て居ましたが、なぜかヘントタイトさん達の集団だけサウリュスさんも言葉にめっちゃ頷いてます。そりゃ~もうブンブンと音がするんじゃって位に・・・。
「え?何を仰っているのですか?サウリュス様?」
「お前には理解できなくてもいいが、ティルに危害などを及ぼすのであれば容赦はしない!」
おっと話がドンドン進んでいきますが、私のこの状況は恥ずかしいので誰か助けてくれませんかね?ヘントタイトさんとかゼファーさんとかどうにかならないかなって淡い期待で視線を送ったらヘントタイトさんは視線が合った途端に逸らされてゼファーさんはすっごい良い笑顔で微笑まれて終了だった。因みにエリオス君は顔を横にブンブンと振って拒否され、ファムアさんは悲しそうな顔で深くお辞儀をしていた
あれ?だれも味方もいないし助けてくれないの?この羞恥プレイとかなんかよく分からない見世物的なこの状況からは誰も助けてはくれないの?仲間だよね?一緒に旅した同じ釜の仲間だよね?あれ?言い方違うな・・・え~と・・・
「サウリュス様・・・私は・・・」
「お前の話に付き合う気はない。早くティルの怪我を治療したいからこれで失礼する。ヘンリー部屋はどこだ?」
およ?ヘンリー?・・・なぜかすごく懐かしい映像が頭に流れてきました。そう・・某有名なゲームで緑のおかっぱ頭の我が儘な王子がいてその王子のせいで父親が・・・そして魔物に拐わ・・・なんでしょう?今ブルッと背筋が寒くなりましたが・・・それよりもヘンリーって誰っ!
「サウリュス様。お部屋はいつものお部屋が取れました」
・・・・・・ヘントタイトさんでした。ヘントタイトさんの2文字からとってヘンリー・・・無理矢理過ぎない?なんでそうなったの?
「すぐに移動しよう。ティルを休ませたい」
「畏まりました」
ヘントタイトさんは恭しく頭を下げた後、動き出したサウリュスさんに続き部屋へと歩み出して階段を上り一番上の階までスタスタと上がっていった。そう・・・一番上の階。最上階!!この宿は他の宿ではなかった部屋があった。この世界ではなんというか知らないが前世では何度か聞いたことのある言葉に当てはめるとスイートルームという名の庶民からかけ離れたお部屋で御座います。私の中ではVIPの使う部屋でした。
ささっと移動して最上階にたどり着きましたが通路から見える扉は3つのみです。そのスイートルームの中でも大中小と分かれているようでサウリュスさんが迷わずに1番奥の部屋の前に行きます。スッと手が動いたかと思ったらヘントタイトさんが部屋の扉を開けてサウリュスさんが入れるようにしていました。そして私は今の自分の状況を思い出したのです。私はサウリュスさんにお姫様抱っこされたまま階段を悠々と息も乱れることもなく、あっさりと上ってきたサウリュスさんの様子で思考がコロッと変換されたから、ここはスイートルームだな、なんて間抜けなことを考えていたんだ。なんて恥ずかしいんだ、私。
「ティル。治療薬は持っているな?」
「ひゃい!」
恥ずかしさから緊張していたので思いっきり舌を噛んだ。物凄く痛いのに私がワタワタしている姿が面白かったのかサウリュスさんはニコニコと笑いヘントタイトさんは笑い声が出ないように必死に耐えている。
「ティル?薬出せるか?出来れば効果の高いのが良いが・・・」
「いや・・・打ち身くらいですから・・・そこまで高くなくても大丈夫だと思いますよ?」
そう言ったら残念そうにされたがなぜでしょうかね?あまり強いと副作用も色々あるので怖いんですよね・・・私を育ててくれたミーシャさんが教えてくれた配合だと強くて効果があるのに毎回違う副作用だったり使用者固有の副作用だったり様々なものがあって怖いんですよ。私も例外なく副作用が起こりますしね。
「ピンクと白と黄色の薬液を混ぜてっと」
3色を混ぜて出来たやっぱり混ざらないでマーブル状でも微妙な色合いの薬が出来上がるのだった。1度だけどれだけやったら混ざるのか試したいが無駄に終わりそうで出来ない小心者です。
「ティル様が作る薬は他の薬と違い色が濃いですね」
言葉を選んでくれているのになぜかグサッと急所を刺されたように感じるのは私の気のせいか、被害妄想なのでしょうね。
「よしっ!」
気合いをいれてて一気に飲みます。躊躇してはいけない。なぜなら作れたてが1番旨いから!時間が経つと苦味や渋味が出てくるのだ。これは混ぜて作った薬限定で、元々の薬は時間が経っても消費期限内なら味の変化はない。そして厄介なのは症状や体型によっていれる分量が変わるので作り置きしてバックに入れておくとかも出来ない。バックは3種類あって時間経過あり、なし、タイマー式の3つがある。混ぜたやつもなしに入れれば味の変化は避けられるのだがさっきも言った配分的な要素では使いづらいのだ。味の変化は個人の味覚にもよるがカカオの90%が食べれる人なら平気な苦さと渋味だが苦手な人は一口でリタイヤだ。
「プッハ~」
一気に飲んだ後に息を吸って吐き出したら、微笑まれて頭を撫でられたがその後にサウリュスさんが驚きの行動に出た。
「もう痛みはないか?手の傷も大丈夫だな?」
サウリュスさんが私の両手を掴み手のひらを覗きこみ傷がないかを確認していきながら手のひらに口づけをしていき、頭のてっぺんに口づけて小さくボソッと''本当に無事で良かった''と私の耳元で囁いたのだ。
「な、な、サ、サ」
ワタワタしている私を優しく微笑みながら壊れ物でも触るように髪を滑らせるように撫でる。私はワタワタしたまま顔を真っ赤にしながら口を金魚のようにパクパクして声にならない音を空気に溶け込ませていた。
「サウリュス様そろそろ夕食の準備などを始めた方がよろしいかと思いますが・・・」
「あぁ、そうだったな。厨房の使用許可をもらいに行こう」
「厨房って・・・そんなに簡単に借りられるんですか?」
「この宿に泊めてもらう際に許可を得ておりますから大丈夫ですよ」
もう既に根回しは済んでいたみたいです。褒めるべきか手際の良さに恐れるべきか悩む私です。どっちでも良いって?淋しい事を言わないでください。
「サウリュス様!あのっ、先程は・・・」
下に降りるとさっきの女性がサウリュスさんに駆け寄り話しかけるがサウリュスさんは不機嫌そうに眉をしかめて一瞥しそのまま無視して厨房の方へ歩いていく。戸惑いながらもテクテクとついていったがチラッと後ろを見たら凄い怖い顔で私を睨んでいた。
「厨房を借りたいって聞いたんだが?」
厨房から出てきた大柄な人だった。サウリュスさんがコソッと厨房の責任者だと教えてくれた。
「はい。こちらのティル様にお貸しいただきたいと思いまして」
「はっん。ガキの我が儘かよ。道具と場所は貸してやるが材料や調味料は自分で用意してくれ。あと使える時間は夕食前2時間前までだ片付けもちゃんとやってもらうぞ?出来なければ今後一切厨房への立ち入りは禁止だ!」
気遣わしげに私へ視線を向けたヘントタイトさんに頷いてニパッと笑うとキリッとした表情で
「分かりました。それで良いのでお願いします。早速お借りします」
材料はまだあるのでササッと作らないと時間はない。直ぐに鞄から小さいケースを出した。
「サウリュスさん。今日って3人だけですか?それともいつも通り皆で食べるの?」
「夕食の30分前に皆で集まって食べようという話になってるが大丈夫そうかな?」
「はい。大丈夫です。では直ぐに作ってきますね」
「頼むね。ティル楽しみにしてるよ」
「ふふふ。期待に応えられるように頑張ります!」
気合いをいれて答えるとサウリュスさんは頷いてから厨房から離れていった。それを見送ったら直ぐに厨房に入っって調理の準備を始めた。
「さてと・・・まずは・・・煮込みからいくかな」
作る料理は決まっているので出していたケースから包丁を出して材料をバックからドンドン出しながら包丁で刻んでいく。豚肉の塊を出してフォークでブスブスと刺してから糸を取り出しグルグル巻きにして、フライパンを借りて豚肉を表面だけ焼いてから鍋に水とネギや生姜などの薬味をぶちこんでから先程の塊の肉をドボンといれて茹でる。その間に違う鍋で卵を茹でる。あとは卵を剥いて酒、砂糖、醤油をいれてからコトコト煮込んで途中から卵をいれて、叉焼と煮卵を作る。叉焼は曖昧な感じだけどね。
良い匂いにつられて厨房にいた料理人が少しずつ近づいてくる。そう、あの有名な音楽が聞こえるように・・・来る~ーそっと来る~という感じでジリジリとゆっくり近づいてくるのだ。・・・怖いわっ!え?歌詞が違う?え?気にするところってそこなの?
スープっては味噌汁でも良いかな?あとはサラダと麺を用意してっとあとは何かいるかな?う~んおかずはもうちょっと欲しいなぁ~簡単に作れるものは何かな?
「あっ、カボチャの煮物でいっか」
思い付いたらパパッと作っていくと十分煮込んだ最初の叉焼と卵を引き上げて1度茹でた大根を余った煮汁で煮込んで完成っと。
そしてやって来ました!私のお楽しみタイム!
そうです!味見という名の摘まみ食い!!
「煮卵は数がないから我慢だけどね」
叉焼は切り分ける時に端っこをパクリ。うん美味し~。よしよし完成だね。あとは味噌汁も大丈夫そうだったし終わった~あれれ?今気がついたけど夕食の時間って何時からなの?あわわわ、か、確認しないと~。
「おい、お前・・・その肉はなんだ?」
「あぅ?お肉?豚肉ですけど?」
「いや・・・そうじゃなくて・・・」
「あの、それより夕食の時間って何時からなんですか?」
「あ?夕食はあと1時間後だが・・・」
「な~~!ヤバイの~盛り付けしてない~急がないと~」
慌てて夕食の準備をしてから片付けと任せて欲しいと大見得切った割にバタバタしてギリギリなティルだった・・・