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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
4章 私の妹がこんなに可愛い
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4-4.料理無双が始まるような気がしたが別にそんなことはなかったぜ

 それは私が自分の部屋でゲームをやっていたときでした。

 小腹の空いた私はカップラーメンを食べようと収納魔法から取り出したのです。(転移初日のひもじい思いをした経験から、私の収納魔法には常に大量の食料が入っています)

 きぃちゃんに頼めばなにか作ってくれるだろうけど、たまに無性にジャンクなものが食べたくなることってありません?この時の私はカップラーメンって気分だったんですよ。

 お湯を入れて三分まって、さあ、いざ食べようというところでドアがバーン!と開き、そこにはちん入者が。


「ねえユノちゃん、なにたべてるの?」


 その言葉を聞いた時、私はゾっとしました。背筋が凍るのを感じました。

 振り向くとそこには、私の方を見て目をらんらんと輝かせている幼い少女がいたのです。そしてその少女は再度口を開きます。


「ねえ、ユノちゃん、なに、たべてるの?」


 そう言葉を発しながら、少しづつ私に近寄ってきます。

 私はなにも反応することができず、近づいてくる少女を呆然と眺めているだけでした。

 そしてその少女はついに私のそばまでやって来て、後ろから覆いかぶさり、私の耳元で一言ささやきました。


「ねえ、わたしもそれ、たべたいな」


 ギャー。全部食べられた。私(のお腹)は死んだ。


 怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ。(後に受けるであろうきぃちゃんのお説教が)




 とまあ、怪談風(全然怪談になってないという異論は認める)に説明してみたわけだけど、要はつまり、ゲームとカップラーメンで気が緩んでいたところをアニエに突撃されて、警戒を怠ったことできぃちゃんからお説教を受けるんだろうなぁとしょんぼりしたという話です。しょうがないんだよ。やっとゲーム禁止令が解除されたんだから、久々のゲームに気が緩んでしまったとしてもそれはしょうがないことなんだよ。

 ちなみに、満月堂のみんなには私がマイホームをゲットしたということは伝えてあるし、アニエにはいつでも遊びに来ていいと伝えてある。すでにもう何度も遊びに来てるしね。つまり、不法侵入というわけではないのであしからず。まあ、私の可愛いアニエがそんな無礼なことをするわけがないんですけどね。


 そしてかわいいかわいい妹分につぶらな瞳でお願いされたら、食べさせないわけにはいきませんよね。むしろこれは姉としての義務なのです。よろしい、私が手ずから食べさせてあげましょう。

 私が箸で麺をアニエの口元へ持っていき、すすって食べるんだよと教えてあげると、言う通りに食べ始める。ヤバイ、たどたどしくラーメンすするアニエ超可愛い。

 アニエはカップラーメンが気に入ったのか、ぺろりと全部食べてしまった。と言うか、私がアニエの食べる姿の可愛さに魅了されて、全部食べさせてしまったわけなんですけどね。だが、後悔はしていない。私のお腹が空腹の悲鳴を上げているような気がするけど、アニエの可愛い姿が見れたことに比べれば大した問題ではない。大した問題ではないので、悲鳴を上げるのはいい加減やめてもらえませんかねぇ?え?無理?空腹がマッハでヤバイって?なんで?だって小腹が空いていた程度だったはずなのに、なんでそんな本気でお腹空いてるのよ私。え?匂い?匂いのせいでお腹が刺激されましたかそうですか。ならばもう一度カップラーメンを……え?三分も待てないって?わがままだな私のお腹は。


 そしてとりいだしたるはコンビニ弁当のチャーハン。やっぱラーメンの相方と言ったら餃子かチャーハンっすよね。とりあえず今は餃子では量的に私のお腹が満足してくれなさそうなので、チャーハンの出番だ。なにせ私、ラーメン食べ損ねましたからね。

 魔法でちゃちゃっと温めてやれば良い匂いが。え?カップラーメンも魔法でちゃちゃっとしてやればすぐ食べられたんじゃないのかって?いやまぁ、できないことはないのですが、残念ながらその案は却下だ。カップラーメンはお湯を入れて三分待つのが私のジャスティス。そこは踏み越えてはいけない聖域なのだよ。


 早速、私のお腹の抗議を静めようとチャーハンを口に運ぼうとするが、私を見つめるつぶらな瞳がそれを邪魔する。そんなに見つめられたらさすがの私でも食べにくいよ。

 うん、なんとなくね、チャーハンを温めた時点でこうなる気はしてたんだ。

 私を……と言うか、スプーンにすくわれたチャーハンをじぃーーーっと見つめているのは、当然のことながらアニエだ。『アニエの表情読み取り検定一級』の私からすれば、アニエがなにを言いたいのかが手に取るようにわかる。『わたしもそれたべたい』だ。え?そんなの誰にでもわかるって?うん、知ってた。そもそもアニエって表情豊かだから、考えてることわかりやすいしね。


 しかしアニエさんや、さっきカップラーメンぺろりと全部食べたばかりなのに、まだ食べるのですか?お腹大丈夫?ぽんぽん痛くならない?

 さすがにちょっと食べ過ぎじゃないかと思いはするけど、アニエに弱い私はその瞳で見つめられてしまったらノーとは言えない。しょうがないなぁ、ちょっとだけだよ?

 こうして私とアニエは、仲良くチャーハンを分け合って食べましたとさ。めでたしめでたし。




 ……いや、めでたくなかった。残念ながらこの話には続きがあります。

 後日、満月堂に行くと、みんなに取り囲まれたのです。なにかと思い話を聞いてみると、どうやらアニエが私に美味しいものを食べさせてもらったということを満月堂のみんなに言いふらしたらしく、みんなして「アニエだけずるい」「私も食べたい」等々言ってくるわけですよ。さらにはアニエにまで「ほかにもおいしいものあったらたべたいな」なんて言われる始末。

 しょうがないので私の非常食(主にコンビニ弁当)を大放出しましたよ。後で補充しておかなくては……。


 食べてみての感想を聞いてみれば、それぞれある程度の好き嫌いはあれど、おおむね美味しいという回答をもらいました。やっぱりさ、せっかく提供した料理なわけだし、美味しくないと言われるよりは美味しいと言われたほうが嬉しいよね。そもそも、私が好きだから収納魔法に非常食としてしまっておいたわけですし、不味いとか言われたら泣ける。ただ、案の定というかなんというか、カレーは色や形状のせいか不人気でしたが。食べてみれば美味しいと言ってはくれるんですけどね。


 とりあえず、私の非常食大放出試食会が一応無事に終わったわけなのですが、ここでまたさらに問題が。お店でも出したいから作り方を教えて欲しいと頼まれました。

 えぇー、ここに来て異世界食文化侵蝕ですか?異世界の料理を地球の料理で駆逐する流れですか?マヨネーズ無双始まっちゃいますか?いや、でもこの世界の料理は普通に美味しいしなぁ。さすがに駆逐する流れにはならないかな?とりあえずきぃちゃんに相談してみた結果、それほど大した影響はないだろうとのお答えをいただいたので、教えてもいいかということに。

 ただ、その場合問題もあるんですよね。私、作り方知らないし。あれか?日本に行って調べてくれば良いのか?でも、日本とこっちの食材に違いがあったりするわけだし、そのままレシピ調べてきても駄目だよね?どうしたものか……。


「ならば私が教えましょうか?」


 私が悩んでいると、そんな言葉がきぃちゃんから投げかけられた。さすがきぃちゃん、私がなにに悩んでいるのかなんてまるっとお見通しですよね。

 そしてよくよく考えてみれば、今の私のご飯はきぃちゃんが作ってくれているわけですよ。当然、私の大好きなハンバーグやらオムライスやらも食卓に並ぶわけです。と言うか、きぃちゃんが食事を作るというのに、私の大好物が食卓に並ばないわけがない。そしてその材料は主にこの世界の食材だ。いや、意外とこの世界、美味しい食材多いんですよね。肉とか。調味料はさすがに地球の圧勝らしいですけど。


 ……いたじゃん、作り方知ってる人。さっすがきぃちゃん、やっぱりなんでもできるね。一家に一人きぃちゃんだよ。

 ということで、作り方を教えるのは全てきぃちゃんにお任せしました。きぃちゃんに任せておけばなにも問題ないしね。

 私としても、これから満月堂でハンバーグやオムライスが食べられるというのは大歓迎だ。今後の食生活の充実を思うと、自然と笑みがこぼれてしまう。

 しかし、まさかこのことがきっかけで、私にお兄ちゃんができることになるとは思いもしなかったけどね。

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