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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
3章 迷宮って楽しいよね
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3-8.完成!

 迷宮作成を開始してから約一週間が過ぎた。

 まだそれだけの時間しか経っていないというのに、私の迷宮作成作業はほぼ完了していた。

 それはなぜか。きぃちゃんの作った迷宮核(ダンジョンコア)の迷宮作成プログラム「SIMMAZE」がマジでゲームのような操作感で、しかも私が力を入れて設定したがりそうな部分がことごとく容易に設定できるようになっているという、さすがきぃちゃん私のことを良くわかっていらっしゃる、としか言えないような至れり尽くせりな迷宮作成ライフだったからなわけなのですよ。


 どんなマップにしようかなー、とマップ作成ツールを開いてみれば、マップの簡易描画機能、外観設定、環境設定、ギミック設定、等々のツールが充実しているし、出現する魔物はどうしようかと魔物設定ツールを開いてみれば、すでにこの世界に存在する魔物たちが、どのような見た目で、どのくらいのステータスで、どのような攻撃をしてきて、どのように行動するか、等々の情報があらかじめプリセットされている。もちろん新規に私が登録することだって可能だ。更には、私はあまり好きじゃないからそんなには設置しなかったんだけど、トラップだって種類豊富だったし、迷宮の作成状況を保存し、複製し、いくつかの迷宮作成案を並べて比較したりなんていうような、なくても問題はないんだけどあったら便利だよなー的な機能がたくさん盛り込まれていたりもするわけです。これだけお膳立てされていれば、そりゃぁ迷宮作成の作業ははかどりますよ。ってか、あまりにも簡単すぎてちょっと拍子抜けしたくらいだ。


 しかし、それは簡単すぎてつまらないという意味ではない。むしろきぃちゃんグッジョブ!

 私はこの迷宮作成をするにあったって、一つ懸念していた問題がある。

 それは、私が飽きっぽい性格をしているということだ。

 実は今までにも、某「RPGを自分で作って遊ぶゲーム」をプレイしては途中で挫折し、某「市長となって都市を発展させていくゲーム」をプレイしては挫折し、というのを何度か繰り返している。そう、何度かだ。一回どころの話じゃないのです。


 いや、プレイする前はちゃんと面白いRPGを作るつもりで始めますし、大きな都市を作るつもりで始めているわけなのですよ。でもね、物語の導入部分や設定だけ作って満足しちゃったり、都市が大きくなってきて色々な問題が出てくると面倒になって熱が冷めてしまったり、結局、自分が一番やりたかった部分を過ぎてしまうと後はどうでも良くなってしまうんですよね。序盤だけ作って満足してしまうことから、私はこれを勝手に「プロローグ症候群」と名付けているのですが、何度最後までプレイするつもりで始めても、このプロローグ症候群を乗り越えたことがなかったわけなのですよ。


 なので、今回の迷宮作成も途中で飽きてしまわないか、プロローグ症候群を乗り越えることは出来ないんじゃないかと、不安に思う気持ちもあったのです。

 そんなのはやる気の問題だという人もいるかもしれませんが、そのやる気を最初から最後まで維持し続けるのって、ものすごく大変なんですよ。なんてったって、今まで挫折し続けてきた制作系なんかのゲームたちも、最初はやる気に満ちて完成させるつもりでプレイしていたというのに、結局途中で投げてしまっているわけですので。いや、私の性格的な問題があるというのもわかってはいますが、それでも、次こそはと思ってしまうのはやめられないのです。


 どうせ途中であきらめるんだから最初からやらなけりゃいいじゃんと思う人もいるでしょうが、作りたいと思う気持ちは本物なんですよ。本気でちゃんと最後まで作りたいとは思っているんですよ。ただ、その気持ちが最後まで続かないだけで。


 今回の迷宮作成についてももちろん完成させるつもりで始めはしましたが、今までと同じく途中で挫折してしまうんじゃないかという不安も同時に持っていました。

 しかし、しかしですよ、いざ始めてみればこれがまたサクサク進む。やる気を維持したままドンドン進む。

 だって、いつも挫折の原因となるわずらわしい部分や、面倒な部分の設定なんかがことごとく簡略化されているわけですよ。プリセットがあるわけですよ。自動設定だってあるわけですよ。私は自分のやりたい部分や好きな部分を設定しているだけで、あっという間に迷宮が出来上がっていくのです。


 私が挫折しそうな部分をあらかじめ潰しておいてくれるとか、さすがきぃちゃん、本当に私のことを良くわかっていらっしゃる。いや、これまじですごいからね。迷宮作成に取り掛かってから全くモチベーションが下がらなかったってのもすごいけど、なによりも、わずか一週間程度でほぼ完成しているってのがすごいからね。


 だってさ、私の創った迷宮ってさ、百層あるわけさ。しかもね、一層の広さは日本の北海道程度の面積があるわけですよ。そんな広大な階層に、適度に迷路っぽくなるようにマップを作成したり、細かく魔物を配置したり、エリアごとに環境を設定したりするわけですよ。普通に考えて一層分でも相当な労力だというのに、それが百層分もあるわけですよ。私が集中して迷宮作成にのめり込んでいたというのもありますが、どう考えてもそれだけでたった一週間程度で迷宮作成がほぼ完了するわけがありません。


 つまりなにが言いたいのかというと「SIMMAZE」マジすげーってことです。

 まあ、冷静に考えて、私のことを知り尽くしているきぃちゃんが、私専用として作ってくれたプログラムが凄くないわけがないのですが、あえて声を大にして言いたい。「SIMMAZE」マジすげー。


 なにを設定するにも、簡単、容易に設定が可能で、様々な項目を移動する手間を省くことが出来るリンクが充実した便利なインターフェース。

 設定に必要なデータ類は、あらかじめ大量にプリセット済み。もちろん自分で追加も可。

 面倒だなと思ったところは自動設定でストレスフリー。むしろ自動設定が優秀すぎて、私イラネんじゃね?説が私の中で話題に……。

 かゆいところに手が届く、お役立ち機能満載。

 他にも見どころはたくさんあるのですが、これだけでも「SIMMAZE」がいかに優秀なのかがわかってもらえるかと思います。


 そりゃぁ一週間程度で迷宮も完成しちゃいますよ。そうなんですよ、完成しちゃったんですよ。

 ついに私は、プロローグ症候群を乗り越え、作品を完成させることが出来たのです。

 きぃちゃんが私のために作ってくれたプログラムだからこそ完成させることが出来たんだとは思いますが、それでも私はこの迷宮作成を途中で投げ出さず、最後まで作ることが出来たというのがとても嬉しい。


「きぃちゃーん、出来たー。迷宮できたよー」


 迷宮を完成させることが出来た喜びを味わいつつ、きぃちゃんに報告する。


『おや、完成しましたか。お疲れ様でした、ナハブ』


 その報告を聞いたきぃちゃんは、私にねぎらいの言葉をくれ、ついでに質問をしてくる。


『後は迷宮とこの世界を接続するだけですね。どうするかは決めているのですか?』

「うん、王都近くの山の麓にでもちょっと洞窟でも作って、そこにつなげようと思うんだけど、どうかな?」

『まあ、無難なところでしょうね。それでいいと思いますよ』


 よし、きぃちゃんも問題ないというのであれば、実行に移しちゃっても大丈夫だね。まあ、洞窟を作ると言っても、本当にちゃんとした洞窟を作るわけではなく、ちょっと山の斜面を魔法で削って、洞窟っぽく見せるだけだから大した手間ではない。そうしてその洞窟の入口の空間と、私の創った迷宮への入り口を接続すれば、この世界から迷宮までへの経路が完成というわけです。

 そうと決まれば、さっさとやっちゃいますか。


『ああ、そうそう、ナハブ。迷宮の名前は決まっているのですか?』

「もっちろん!てか、迷宮作り始める前から決めてたからね」

『そうですか。どのような名前にしたのですか?』

「それはね―――――――――――」

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