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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
1章 プロローグ的なもの
4/116

1-4.うわっ…私のステータス、低すぎ…?

 名前:ユノ・ナハブ

 種族:人族

 年齢:13

 レベル:23

 体力:94

 魔力:29,684

 筋力:8

 耐久:7

 精神:15

 抵抗:10

 敏捷:9

 器用:11

 幸運:6


 称号:魔法少女、異世界人


 スキル:全武器適正、全魔法適正、精神耐性




 おおぅ、名前がお姫様じゃない。

 やばい、これは感動する。


『ナハブ?涙なんて流してどうしました?』


 あれ?私泣いてる?

 そこまでかー。そこまでだったかー。自分でもわからなかったよ。


「うん、なんかあの忌まわしい名前から改名できたことが思いの外感動したみたい」

『そうですか』


 きぃちゃんはそれだけ言って黙っていてくれた。なんでも出来るし、気が利くし、最高の相棒だよ。

 私はしばらく感動の余韻に浸っていた。


 よし、名前の感動は十分に堪能した。

 いい加減ちゃんとステータスを見よう。


「えーと、えっ?レベル23?高っ」


 なんぞこれ。普通こういうのってレベル1からじゃないの?


『地球で散々フラスの魔術師たちとやりあってきたので、その経験でレベルが上がっているのですよ。もっとも、私を使用して戦っていたので、得られる経験はかなり少なくなっているようですが』


 私が疑問に思っていることをすかさずきぃちゃんが教えてくれる。さすが私の相棒。っていうか、私もうきぃちゃん無しでは生きていけないかもしれない。


「うわっ、魔力高っ、そして能力低っ、え?これって能力低いんだよね?基準がわからないんだけど」

『魔力に関しては非常に高いです。それはもう何故地球にこんな存在がいたのか意味がわからないくらいに。能力に関しては日本人中学1年生女子としてはレベルの所為もあってか若干高めといったところですね。当然この世界の人に比べれば遥かに劣ります』

「うーん、やっぱりこの世界の人の能力が知りたいなぁ。基準がわからない」

『では、この世界の一般的な冒険者のレベル23での平均的な能力を教えますね』

「あ、うん、よろしく」




 体力:1,800

 魔力:960

 筋力:35

 耐久:31

 精神:20

 抵抗:23

 敏捷:26

 器用:22

 幸運:13




 なんということでしょう。全くもって比べ物にならない。

 きぃちゃんが地球人はレベルが上がってもほとんど能力が上がらないと言っていたのがよくわかった。

 そして自分の魔力の多さが際立つ。いや、ほんとおかしくない?これ。


『どうですか?参考になりましたか?』

「うん、私の魔力が異常だということと、それ以外が無能すぎるということがわかった……。でもさ、私変身してるのにあんなに能力低いの?どうしてもこの状態の私があの能力とは思えないんだけど」

『それは私が装備品扱いだからです。ステータスは基礎の能力が表示されますので、装備を身につけて上昇した分の能力は表示されません』

「なるほど、ちなみにだけどさ、今の状態の私の能力ってどのくらいなの?」

『そうですね、現在ですと力をかなり抑えてますので、全能力に+200といったところですね』

「ぷらすにひゃく?!!!」

『そうですが、……不満でしたか?』

「いや、さすがだよきぃちゃん……。能力を抑えてそれか。フラスの魔術師たちと戦ってた時もそのくらい?」

『はい、同じくらいですね。あまり能力を付与しても扱いきれなかったでしょうし』

「あー、そういう理由もあるのか。きぃちゃんが全力出すとどのくらいいける?」

『ナハブの能力にも依存しますが、1万以上は余裕です。が、恐らく扱いきれる者がいないかと』


 ……さすが最強。私の想像の斜め上をアクロバティックにぶっ飛んでいったよ。

 うん、これはもう考えるのはやめよう。


「ところできぃちゃん。確認したいことがあるんだけど」

『何でしょうか?』

「体力ってやつはなくなると死んじゃったり?」

『死ぬことはあるかもしれませんが、必ず死ぬというわけではありません。と言うかナハブ、恐らくあなたの考えていることはわかりますが、あれはゲームで言うHP的なものとは違いますよ』

「えっ?違うの?」

『体力とは言わば持続力、スタミナのことです。そもそもHP的なものなど存在しません』

「スタミナかぁ、てか、HPないんだ」

『あるわけがないでしょう?人間はたとえ弱い威力の攻撃だったとしても、急所等に攻撃を受け、致命傷を負えば死ぬのです。数値化など出来るわけがありません』

「あー、うん、言いたいことはなんとなくわかった」


 さて、それじゃあ次は、称号……は別にいいか。


「スキルのところになんか凄そうなのが書いてあるけど、異世界転移の特典チートってやつかな?」

『いえ、違います。全武器適正と全魔法適正については私があなたと契約した時に付与させていただきました』

「え?そうなの?」

『はい、そうでもしないと地球の女子小学生が私をまともに扱うことなど出来ません』

「そうだったんだ。いや、自分でもずいぶんまともに戦えるなぁと思ってたんだけど、全部が全部きぃちゃんのアシストだったってわけじゃないんだ」

『私はあくまでも武器ですので、最低限私を扱うことの出来る技術がなければ私にもどうにも出来ません』

「ふーん、まあその2つのスキルがきぃちゃんが私にくれたスキルだってことはわかったけど、精神耐性ってのは?」

『それはナハブが自分で取得しました』

「え?」

『あの時の環境は幼い精神には過酷な状況でしたからね』

「え?……あー、もしかしていじめに耐えていたら耐性がついたってこと?」

『その通りです』

「もしかしていじめになんとも思わなくなっていたのもこのスキルのおかげだったりする?」

『どちらとも言えませんね。何とも思わなくなったからこそ耐性を得、耐性を得たからこそ何とも思わなくなっているという部分もありますので。ある時急にいじめられているということが馬鹿らしくなりませんでしたか?』

「そういわれるとそんな気がする」

『その時があなたが精神耐性を得た瞬間です』


 うわー、まじかー。なんという負の遺産。

 いや、ゲームとかでは精神耐性ってかなり有用なスキルだったりするじゃん?

 現実ってこんなものか……。


『さて、ステータスの確認は済みましたか?』

「うん、一応は」

『では先のことを話しましょう』

「先?」

『ええ、これからのことです。』

「うん、どうしたらいい?」

『まず、ナハブにはレベル上げをしてもらうことになりますが、私を使用して戦ってもあまり経験を得られませんので、変身を解除して戦ってもらいます』

「ちょ、ちょっとまってよきぃちゃん。そんなことしたら私死んじゃう!」

『そもそも私が最適化を始めればあなたは変身をすることは出来ません』

「なにそれ聞いてない!てか地球で最適化始めた時私変身してたじゃん!」

『それは最適化にリソースの全てを割かなくても問題なかったからです。あの時魔力の暴発に巻き込まれたことで、幸いにも知識の欠片が散らばることはありませんでしたが、私の中の知識を構成するデータ群がかなり不安定な状態となっています。そのために完全な最適化作業が求められており、それにはほぼ全てのリソースを割かなくてはなりません。恐らく最適化が完了するまではあなたと会話する他、極一部の機能しか使用することは出来ないかと思われます』

「じゃあ、きぃちゃんの最適化が終わるまでどこか安全なところにいるっていうのは?」

『却下です。ナハブにはレベルを上げてもらわなければなりませんので』

「いやいやいや、レベル上げる前に死ぬって」

『大丈夫です。私がむざむざナハブを死なせるようなことがあるわけがないじゃないですか』

「本当?嘘じゃないよね?なにかいい方法あるの?」

『地球では使用しませんでしたが、私には本来、所有者の能力育成をサポートする機能があります』

「え?なんで使わなかったの?そしたらもっと強くなれたんだよね?」

『そんなことしたらあなた地球人の身体能力をはるかに超えた超人ですよ。オリンピックで鼻歌交じりに世界新でも総なめにしてみますか?』


 そこまでなのか。確かに地球で生活するのなら必要のない機能だ。


『更に私には所有者の戦いの経験を蓄え、分析し、能力の最適化を行う機能があります。そしてこれらの機能を同時に使用することで、所有者の今までの戦いの経験から能力育成補助機能を使用した場合の能力を分析し、それを最適化することで現在のレベルに見合った能力を獲得することが出来るのです』

「ってことは、私、強くなれるの?」

『なってもらわなければ困ります。ただ、1つ問題があるといえばあるのですが』

「強くなれるっていうならどんな問題だって乗り越えてみせるよ」

『その言葉に偽りはありませんね?』

「もちろん!」

『能力の最適化をするということは若干なりとも能力の変化があるということなのですが、通常、成長時以外での能力の変化には多少の苦痛を伴う可能性があります』

「そのくらいなら別に大丈夫じゃない?」

『しかし、ナハブの場合はレベル23分の成長補正がかかり、更にそれを最適化することとなります。最適化で変化する能力の幅がかなり大きくなることが予想されますので、かなりの苦痛を伴うものと思われます』


 ……。

 ……。

 ……。


「ねぇきぃちゃん?かなりの苦痛ってどのくらいかなぁ?」

『少なくとも、大の大人が泣き叫ぶ程度の苦痛はあるでしょう』


 ……。

 ……。

 ……。


「ねぇきぃちゃん、キャンセルは……」

『出来ません』

「ですよねー」


 これ、絶対早まったよ。

 でもここで強くなっておかないとこの星で苦労しそうなことは確かなんだよね。

 なんていったってあんな大きなワンコの魔物がいるくらいだしなぁ。

 これはもう、1回限りということで受け入れるしかないか。


「うん、覚悟は決まったよ。どうしたらいい?」

『作業中、暫くの間私たちは無防備になってしまいますので、遮断結界と隠蔽結界を強めに張っておいてください。念のため丸一日保つようお願いします』


 そう言われ私の周りの狭い範囲に2つの結界を張る。


『それでは変身を解除してください。この作業は多くのリソースを消費するため、変身したままでは行えません』


 変身を解除するときぃちゃんは指輪型へと変化し、私の指にはまった。

 なんか久しぶりに元に戻った気がする。変身してから1日も経ってないのにね。

 やっぱり色々ありすぎたからそんな気がするのかな?

 今の私は変身後の私とは似ても似つかない姿。

 身長は148cmしかなく、服装はブラウスにプリーツの入ったスカート、ニーソックスという地味目な格好。胸のあたりまで伸びた黒髪を両肩の位置で結んでおさげにしている。顔は標準的な日本人顔で瞳の色は黒。もちろん仮面なんてかぶってません。

 身長は低いし、起伏のない体、中1にしてはお子様すぎる体型が悩みどころ。

 身長と胸がもっとほしいと切実に願う。


『では、覚悟はよろしいですか?』

「うん、やっちゃって」


 私はそう返事し、やってくるであろう苦痛に備え身を固める。

 瞬間、体中に激痛が走る。


「っぐ、があ゛ぁぁぁぁあああああ!」


 あまりの痛みにそこらを転げまわり、泣き叫ぶ。

 しばらくあえぎ苦しみ、そして、ついには意識を手放した。

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