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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
2章 新しい生活
22/116

2-11.スカートと黒タイツの組み合わせは最強だと思う

 そしてまだまだ続くきぃちゃんのお話……。

 今は私に言い聞かせるように淑女の心得を粛々と語っています。

 ねえ、本当にこれいつまで続くの?もう1時間くらい、スカートが、下着が、羞恥心が、女の子なんだから、淑女として、等々、きぃちゃんの演説を聞き続けているんですけど。

 そろそろ終わってくれないかなぁ……。


『ところでナハブ、一つ提案があります』

「はい!なんでしょう」


 ぼんやりと話を聞いていた所に話を振られたため、つい丁寧な言葉で答えてしまった。

 焦ったー、これ返事しないとちゃんと話を聞いていなかったとみなされてまた話が伸びるんだよね。


『タイツをはくというのはどうでしょう』

「は?タイツ?」


 え?なに?なんの話?いつからタイツの話になったの?


『スカートの下に黒タイツをはけば、下着も見えにくくなりますし、ナハブの可愛らしさも損ないません。むしろ魅力が増すとも言えるでしょう』

「え、やだよ」


 きぃちゃんの提案に反射的に拒否の言葉を口にした。

 だってさ……。


『何故です?はっ、まさかナハブあなた、露出癖があるなんてことは……』

「いやいやいやいやいや、ないから、見せて喜ぶ趣味なんてないから」


 なんてことを言い出すんだこの相棒は。

 そんなことよりももっと単純な理由だよ。


「だってさ、寒い時期ならまだしも、これから暑くなっていくでしょ。それなのにタイツなんてはいてたら暑苦しくてしょうがないじゃん」


 そう、今はあと少ししたら7月に入るという時期。まだそれほど暑いというわけではないが、暑いか暑くないかと問われれば暑いと答えるし、これからさらに暑くなっていくという時期だ。

 そんな時期に、タイツなんて暑苦しいものをはきたいなどと思うわけがないじゃないか。

 まあ、魔法で温度を調節することも出来ないこともないけどさ、見た目で暑苦しいってのも勘弁して欲しいじゃない?


『そういえば、あなた達人間は暑さや寒さを感じるのでしたか。失念していました』

「なんかさ、きぃちゃんってさ、たまに馬鹿になるよね」

『なっ!失礼な。ナハブに馬鹿などと言われてしまっては私はもう終わりじゃないですか』

「いやいやいや、どっちが失礼なのさ。私に馬鹿って言われるのはそこまでなの?」


 え?私ってそんなに馬鹿だと思われてるの?これでも一応成績は良かったんだけど。

 まあ、きぃちゃんと比べられたら誰でも馬鹿なんだろうけどさ。


『冗談です。確かに先程の私の発言は馬鹿と言われてもしょうがありません。それと、馬鹿という言葉はなにも成績のみを指すわけではありませんよ。あなたの場合は言動がお馬鹿なのです』


 だからなんできぃちゃんは私の考えが読めるのさ。私口に出してないよね?てか、結局馬鹿だとは思われてるんだ……。へこむわー。


『しかしナハブ、暑いから黒タイツをはくのが嫌だといいましたが、涼しくなれば問題はないわけですね?』

「え?うん、まあ」

『いいましたね?言質は取りましたよ。涼しくなってきたら黒タイツをはいてもらいますからね』

「いや、別にかまわないけどさ、なんできぃちゃんはそんなに私に黒タイツはかせたいの?」

『私の存在意義だからです』

「は?」


 え?いや、ちょっと意味がわからないです。


『ナハブの可愛らしい姿を私の記憶(メモリー)に残すことこそが私の存在意義。黒タイツをはいたナハブが可愛くないはずがありません。ならばその姿を私の記憶(メモリー)に残すことは、私の責務なのです』

「えー、てか、なんでそんなものを存在意義にしちゃってるのよ」

『全てはナハブが可愛らしすぎるのがいけないのです』


 なんか変なこと言い出しちゃったよ。

 そしてやっぱりきぃちゃん馬鹿になってるよね?話が通じないんだけど……。


『そして私には、ナハブがより可愛らしく成長するのを見守るという使命があるのです。だらしのない性格に育つのを見過ごすわけにはいかないのです』


 そしてきぃちゃんが保護者みたいなことを言っちゃってるよ。

 もう、あれだよね、ここまで来ると親馬鹿ってやつだよね。


『なので、ナハブには下着を見せびらかすなどという見苦しい真似をさせるわけにはいかないのです』

「そこで話戻るんだ。てか、私別に見せびらかしてないよね?」

『まあ、ナハブでしたらどんな格好でも見苦しいなどということはありえないのですが、だからと言って、ナハブの下着を有象無象に見せてやることもないのです』

「いやだから、私見せてないよね?」

『確かに今のところは見せてはいないでしょうけれど、別に見られたっていいや程度にしか思っていないでしょう?』

「あー、まあ、それは」


 実際、見られたら恥ずかしいとは思うけど、なにがあっても見られるのは嫌なのかと言われれば、別にそこまでは思っていない。


『それが駄目だと言っているんです。誰にも見られてなるものかくらいの心構えでいてもまだ足りないくらいだというのに』

「えー、さすがにパンツくらいでそこまでは思えないなぁ」

『パンツくらいではありません。どれだけナハブの下着を見て喜ぶ人がいると思っているのですか』

「いるの?そんな人」

『いますよ。それはもう沢山いますよ』

「えー、だって私まだ14歳だよ?」


 てか、この星の人達からすると10歳くらいにしか見えないらしいけど……。

 いや、私の発育が悪いというわけではないですよ?全てはレベルのせいなのです。レベルが高いから成長が遅いのです。決して私の発育が悪いというわけではないのです。きぃちゃんと出会う前から小さかったという過去もあったような気がしないでもないですが、全てはレベルのせいなのですよ。


『確かにナハブは小さいですし、自覚もあまりないのでしょうけれど……何度もいいますがナハブ、あなたは美少女ですからね?』

「いや、でもさ、仮に私が美少女だったとしてもさ、見た目こんな小さいのに、パンツみたいの?」

『この星では地球みたいに年齢がどうとか見た目が小さいだとかで非難するような倫理観はありません。種族やレベルの要因で見た目と年齢が一致しないなどということは当たり前ですので。可愛いものは可愛い。美しいものは美しい。これが全てです』

「あー、なるほど、種族やレベルで成長速度が違うから、年齢や体の大きさはあまり気にしないのか」

『その通りです。そしてここに美少女がいます。それはもう何よりも可愛らしい美少女です。そんな美少女に興味をもたない男がいるわけがないでしょう?』


 いや、いるわけがないでしょう?とか言われても……。

 地球とは倫理観が違うと言われても、どれだけきぃちゃんが私を可愛いと言ってくれても、どうしても私は自分にそんな魅力があるとは思えない。

 きぃちゃんがあれだけ私の容姿をほめてくれるのだから、それなりに容姿は整っているのだろうとは思う。でも、やっぱり自分のことを魅力的だとは思えないんだよなぁ……。それにきぃちゃんって、私の容姿の話になると無条件で褒めるからなぁ、さすがに完全に信用は出来ない。


『あなたは普通に世の男共の恋愛対象に入りますからね』

「うーん、あまり実感がわかないんだよね、それ」

『やはり日本での生活のせいですか?』

「たぶんね」

『わかりました、それでは日本に戻り学校のクズどもを根絶やしにしてきましょう』

「いやいやいや、なんでそうなるのさ」

『こんなにも可愛らしいナハブが自分の魅力が理解できないと言う。そんな価値観を植え付けたゴミ共が存在していて良いわけがありません』

「いや、さすがにその程度のことで殺すのは気がとがめるよ。それにあいつら殺すためにわざわざ日本へ行くのも面倒だし」


 てか、本当にもうどうでもいいと思っているので、そんなことに労力を使う気にもならない。

 どうせもう関り合いになることはないだろうしね。


『そうですか?あなたがそう言うならば仕方がありませんので見逃しましょう。しかし、ナハブはどうしたら自分の魅力を理解してくれるのでしょうか』

「それも別にどうでもよくない?なにか不都合があるわけでもないし」

『ありますよ。あなたがそんなだから下着が見えることにも頓着しないようになってしまったのではないですか』

「えー?関係ある?」


 自分の容姿と羞恥心は関係ないと思うんだけどなぁ。

 容姿が優れていようが劣っていようが、結局中身は私なんだし。


『大ありです。あなたは自分の下着なんて周りの人には興味が無いだろうなんて考えているから、下着が見えてしまってもそれほど恥ずかしいとは思わないのではありませんか?』

「あー、うん、よくわかるね、きぃちゃん」


 だってさ、パンツを見られて恥ずかしがっているところを見られてさ、うわー、お前のパンツなんて別に見たくもねぇよ、なに自意識過に恥ずかしがってんだよ。なんて思われたらそれこそ恥ずかしいじゃないですか。

 てか、小学生の頃に男子にパンツを見られて恥ずかしがっていた時、同じようなことを言われたわけですよ。

 当時すでに私はいじめられていて、ネガティブ思考が当たり前だったため「ああそうか、別に私のパンツなんて好き好んで見たい人なんているわけないじゃん。見たくもないものを見られたくらいで恥ずかしがる必要なんてないんだ」と、妙に納得してしまったわけです。

 実際にその後、スカートがめくれてパンツが見えてしまった時に周りを確認してみると、男子たちはあわてて私から目をそらしていました。やはり私のパンツなんて見たくもないようです。ならば私が恥ずかしがる必要もないのでしょう。

 まあそう思ってはいても、見られれば多少は恥ずかしいわけですが、時が経つにつれ、それほど恥ずかしいとは思わなくなっていきました。


『しかしナハブ、あなたは最高に可愛いのです。至高の可愛らしさなのです。それを自覚していれば、周りの人が自分の下着に興味が無いなどとは思えるはずがないのです。そもそも、周りが自分に興味が無いと思っていること自体が間違っているのですから。たったそれだけのことを自覚してもらうだけで、周りの目が気になるようになり、下着が見えないように気をつけるという女の子として極当たり前の行動がとれるはずなのです』

「えー、なんかそれ私が女子失格だと言われてるみたいなんですけど」

『下着が見えてもろくに恥ずかしがらない14歳児など女子失格以外の何ものでもないじゃないですか』

「って言われてもさ、今更自分の考え方を変えられるとは思えないんだよね」

『長年かけて培われた考え方が簡単に変えられないことはわかりますので、不本意ではありますがその点はあきらめます。本当に、不本意ではありますが。しかし、これだけはちゃんと理解してください。あなたが自分のことをどう思っていようと、あなたが美少女だという事実は変わりません』


 なんかきぃちゃんに無理難題を押し付けられたぞ。

 自分を美少女だと認識して行動するなんて、ただのイタイ女になりませんかね?

 勘違いしてんじゃねーよ、ブス。とか言われませんかね?

 悪口は言われなれていても、傷つかないわけじゃないんですよ私も。

 自意識過剰になって陰口を叩かれるくらいなら、自分の立ち位置をわきまえて生活するほうが楽なんです。

 それをくつがえせとおっしゃいますか。

 考え方が変わらないのに行動を変えるというのは、余計に難しくないですかね?

 しかし、私が美少女かー。確かに何回もきぃちゃんから言われてるんだけどね……。ただのきぃちゃんの欲目じゃないんですかね?


『なのであなたは恋愛対象として周りから見られますし、実際そう見ている人も多数います』

「え?マジで?」

『あなたと関わったことのある者のほとんどがナハブのことをそういう目で見ていますよ』

「それは知らなかった。てか、きぃちゃんの勘違いってことは……」

『ありません。そして当然の事ながら、恋愛対象としてだけではなく、性の対象としても見られていますからね』

「うげっ、それは仮に本当の話だったとしても聞きたくはなかった……」

『事実です。なのでナハブ、変な人に目をつけられないように、慎みのある生活をおくることを心がけてください』

「あー、はい、善処します……」


 しかし、とりあえずはうなずいたけどさ、別に普通にしてればパンツなんて見えないんだし、そんなに言うほどのことかね?

 確かに変な人に目をつけられるのは嫌だけどさ、ただ歩いているだけで目をつけられてきた過去を思うと、慎みって関係あるの?と疑問に思ってしまう。ゲイルナードのクズとか、先日の誘拐とかさ。あ、でもこいつらに見られるのはなんかやだな。恥ずかしいとかじゃなくて気持ち悪いって方だけど。


 まあ、とりあえず気にするだけは気にしておこうか。

 結局面倒くさくなってすぐに気にしなくなるような気がしないでもないけど……。

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