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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
2章 新しい生活
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2-7.公爵家当主、ゲットだぜ!

 私を購入するための手続き等もとどこおりなく終わり、私は今、ダーウニック公爵家の、ワイルブという豚の部屋にいる。

 え?手続きが終わってからダーウニック公爵家の屋敷へと辿り着くまでの道中はどうしたって?

 実に平和でしたよ。豚を魔法で眠らせていたんで。


 まあ、道中はさすがにお貴族様なわけで、豪華な馬車、それはもう成金趣味ですとでも主張しているかのような、趣味の悪い豪華な馬車に乗ったわけですよ。乗せられたわけですよ。乗せられちゃったんですよ。これ、何の罰ゲームですか?いや、今日という日自体が罰ゲームのような気がしないでもないですが……。

 で、馬車の中には私と豚の一人と一匹だけ。うん、もうこれ絶対に私に何かしようとしてるよね。やたらと私の体に触ってこようとしたし。全部さり気なくかわしたけど。てか、自分の部屋に行くまで我慢するって言ったのはどこへいったのか……。


 そんなわけで、この馬車の中には人間は私しかいないわけで、中にいる豚を眠らせておけば道中平和だし、到着後もごまかしやすいしで、色々と捗るわけですよ。

 豚の相手をするのが嫌だからってだけで眠らせたわけじゃないですよ?いや、理由の8割くらいはそうなんだけどさ。一応、ちゃんとした理由もあるわけですよ。

 馬車が発進した後すぐに豚を眠らせて、転移魔法で奴隷商人の館へ飛び、館全体を時空魔法で空間隔離し、さらに念の為に女の子たちも空間隔離し、中にいる者全てを睡眠の魔法で眠らせてから、馬車へと戻ってくるだけの簡単なお仕事を済ませてきたわけですよ。ほんの10秒程のお話です。

 私が豚貴族の屋敷へ行っている間に余計なことをされてもつまらないですしね。


 屋敷に着くなり、豚は今回の奴隷の購入についての報告をしにパパの下へと向かったらしく、私は、豚に命令された執事のような人に連れられ、豚の私室へと案内された。

 今、この部屋の中には今私一人しかいない。

 豚は私と別れる際に「僕の部屋で大人しく待っていろ」という命令を出していたので、監視する人だとかが必要ないわけだ。私が隷属の首輪の効果をちゃんと受けていればの話だけど。

 まあ、監視がいたとしても関係ないけどね。






 しばらくの間、きぃちゃんととりとめのない雑談を交わし時間をつぶす。

 それにしても……この部屋も趣味悪いな。ってか、なんで成金趣味なの?ここ公爵家だよね?成り上がりとかじゃないよね?それとも、この国ではこれが権力者のスタンダードなの?

 そういえば、私が害虫駆除のお仕事で入った他の貴族の屋敷も、程度の差はあれ成金趣味だったような気がしないでもない。やっぱりこれがスタンダードなのだろうか?

 なんか色々なところがキラキラしていてすごく居心地が悪い。いや、長居する気はないんでどうでもいいんですけどね。


 さて、そろそろ時間はいいかな?

 なんで今まで何もせずじっとしていたのか。それは私がダーウニック公爵家の当主とやらがどいつだかわからないから。

 あのキモ豚が会いに行くというのであれば、今一緒にいるのがあのキモ豚のパパとやらだろう。

 ちゃんと屋敷に入ってから、探索術を使用してタイミングを探っていたわけですよ。キモ豚がパパのところへ案内してくれるのを。

 あとは屋敷にいる者たち全てを睡眠の魔法で眠らせ、のんびりと確保をすればいいだけだ。

 というわけで、この屋敷の敷地を対象に睡眠の魔法を使用する。うん、ちゃんと全員眠ったようだね。睡眠の魔法が万能すぎる。


 しかしきぃちゃんが言うには、睡眠を誘う魔法は生物の精神に干渉するため、非常に難易度が高いらしい。と言うか、精神に作用する魔法、いわゆる精神魔法と言われる魔法の難易度が押し並べて高いのだとか。普通は対象が人一人だったとしても成功率はそれほど高くはないようで、結構な確率でレジストされてしまうという。一人相手でもそんな難易度なわけで、複数人を同時にだとか、広範囲をまとめてだとかは無謀もいいところだそうな。

 それが何故私には可能なのか。それはこの星にやってきてすぐにきぃちゃんに習得させられたフラス=パモンの高水準な魔法技術をもって、私の有り余る魔力を贅沢に使用することにより、無謀とも言えるような魔法でも成功させてしまうというのだ。まあ、要するに力技なわけですよ。


 特に私の異常な魔力が重要で、魔力がたくさんあるということは、魔法にたくさんの魔力を込めることが出来るというわけなのです。魔法に沢山の魔力を込める事ができるということは、魔法の効果を高めることが出来るということで、つまり、私の異常なまでの大量の魔力があれば、ほぼ際限なく魔法の効果を高めることが出来るというわけなのですよ。

 まあ、ある程度の魔法技術を身につけていないと、術式の構築自体ができないし、魔力をたくさん込めることもできないので、魔力だけあればいいというわけではないのですが。ついでに言うと、魔力をたくさん込めた術式を維持するということは、かなり高い魔法技術を必要とするらしく、さらには魔力を込めれば込めるほど高い魔法技術が必要になってくるらしい。


 しかし私は、高水準の魔法技術と異常なまでの大量の魔力の双方を備えているわけで、さらにはレベルを上げて得た、この星の人たちに比べて遥かに高い能力があるわけです。

 結果、私の魔法は大抵の事なら実現することが可能らしいのですよ。それが異常だと言われるようなことでもある程度までなら。

 やろうと思えばただ火を出すだけの魔法で、都市を壊滅させることも可能だときぃちゃんには言われました。攻撃魔法とすら言えない、ただ火を出すだけの魔法で。いや、そんなことはしませんけどね。

 なので、10人だろうが100人だろうが、眠らせるなんてことは余裕で出来るのです。魔力を込めすぎると睡眠を通り越して昏睡までいってしまうので注意が必要ですが。さらに魔力を込めると一生目覚めなくなる可能性もあるらしいです。精神魔法こえー。


 そんな風に精神魔法に恐れおののきつつ、あのキモ豚とそのパパのいるであろう部屋へと転移する。

 うわぁ……やっぱり豚の親は豚なんだな。

 部屋へと転移し、豚パパの丸々とした体型を見た瞬間、そんなことを思ってしまった。


『いつも思うんだけどさ、この国の害虫どもは豚になる呪いでもかけられているわけ?害虫駆除していると高確率で豚がいるんだけど』

『まあ、基本的には権力を笠に着る者達は怠惰なものが多いですからね。権力があるというだけで、余程のことがない限りお金には困りませんので』

『え?そうなの?』

『強い権力を持つということは、それに取り入ろうとする輩も沢山いるということなのです。そのため、賄賂等が集まり、どんどん私腹を肥やしていきます。そうして権力を笠に着たクズ達は、絢爛豪華な生活を送った上、過度に食事を取り、摂取したカロリーを消費することもなく過ごした結果、ブクブクと醜く太っていくというわけです』

『なるほど。つまり、贅沢かつ怠惰に過ごした結果、豚になった、ということだね』

『その通りです。ナハブはそうなってはいけませんよ』

『うん、さすがにああはなりたくない』

『そうです、家に引きこもってゲームばかりしていては駄目なのです』

『えっ、そこに話つながるの?』

『この三ヶ月のあなたの生活を思い出してみなさい。贅沢こそしていませんが、非常に怠惰な生活を送っていたじゃないですか』

『うっ、否定出来ない……』

『実際問題、お金はあるので仕事をしろとは言いませんが、ちゃんと運動はするようにしてください』

『はい、わかりました……』


 この国の害虫どもが豚ばっかりだという話をしていたら、何故か私のここ三ヶ月の生活態度を怒られていた。解せぬ。

 いや、ちゃんとするって決めたからいいんですけどね。

 ここにきてこの話を蒸し返されるとは思わなかった。余程腹に据えかねていたのだろうか。


『まあ、それよりも、あれがキモ豚のパパなんだよね?』


 そうきぃちゃんに話しかけつつ、ステータスを確認する。

 うん、名前にダーウニックと入っているから間違いなさそうだ。


『よし、目標確保』

『これで今回駆除する害虫が全て揃ったわけですね』

『そうだね、何故かしなくても良い苦労をたくさんしたような気もするけど……、後は駆除するだけだね』


 さて、害虫どもよ。そろそろ処刑の時間だ。

 せいぜい絶望してから死んでくれ。

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