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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
2章 新しい生活
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2-4.7歳児に負けた……orz

 やっとのことで目的地へと到着したようで、私は袋から出され、冷たい床の上へと寝かされた。

 まだ気絶したふりをしているので、周りの把握はまだしていない。

 それにしても、道中は辛かった。

 あいつらの漫才と私の腹筋のガチバトル。

 竜を相手にした時以上に厳しい戦いだったよ。

 正直、何度あきらめそうになったことか……。

 途中で魔法を使って音を消せばいいんだということに気が付かなければ絶対に負けていたと思う。


 まあ、それは置いといて、現状の把握でもしようか。

 あいつらはどうやら部屋から出て行ったようなので、気絶しているふりをする必要はもうない。

 私は目を開き、辺りの様子を確認する。


 私のいる場所は鉄格子の中のようだった。

 そしてその鉄格子の中には子供ばかりが十数人。うわぁ……ずいぶん集めたなぁ。

 ええと、いち、に、さん、し…………14人、私を入れて15人か。

 子供たちは皆、床に座り込んでじっとしている。

 顔を伏せているために表情の見えない子もいるけど、皆暗い顔をしていた。

 まあ、こんな状況だし当たり前だよね。


 ていうかさ、女の子しかいないってどういうことよ?しかも顔が確認できた限りでは、容姿は平均以上といったところか。

 ……そういう目的で集められたわけ?

 ざっと見た感じでは皆10~15歳くらいかな?

 うわぁ……。ロリコン?ロリコンなの?

 しかも貴族が関わっている可能性が高いんだよね?

 ということはさ、奴隷として売られるコースというわけじゃなくてさ、変態貴族の慰み者コースという可能性も大いにあるわけですよね?

 うわぁ……。やっぱり貴族なんて滅ぼしたほうが世界のためなんじゃないかな?まあ、私の不確かな妄想で滅ぼすわけにもいかないからあきらめるけどさ。


 まあ、そんなことより、今はこの子たちをどうしようか。

 事が終わるまで隔離して眠らせておくのが一番かな?

 そう考え、もう一度辺りを見回して気付く。

 ……何あれ?

 え?まじ?どういうこと?あ、そうか、何か詰めてるんだな?きっとなにか隠し持っているに違いない。


『何も詰めていませんし、あれがありのままの姿ですよ』

『うわっ、何?きぃちゃん?どうしたの?何で私の考えていることが分かったの?貴様、エスパーか!』

『何をそんなに挙動不審になっているのですか。あなたの視線があの少女の胸に釘付けになっていれば、どのようなことを考えているのかくらいわかりますよ』


 そう、さっき私が見つけたもの。ここにいる少女の内の一人。そのたわわな胸を凝視していたようだ。


『え、まじ?私そんな見てた?てか本物?なにあれうらやましい』

『まあ、あなたはあまり膨らんでいませんからね』

『ちょっときぃちゃん!いくらきぃちゃんでも言っていいことと悪いことがあるよ!』

『はいはい、すみませんね』

『でもあれ本物かぁ。ちょっと膨らみ過ぎじゃない?いいなぁ。あの半分でもいいから私にくれないかなぁ。あの子、私と同い年くらいだよね?』

『いえ、11歳のようですよ』

『え?』

『あの子の年齢は11歳です』

『なん……だと……?』

『信じられないのならあの子のステータスを確認してみなさい』


 言われてすかさずステータスを確認する。

 うわぁ……。マジだ……。え?11歳?11歳であの胸?

 そして私は自分の胸をじっと見つめる。……神様は不公平だ!


『本当に11歳だった……。しかも、座っているからハッキリとはわからないけれど、身長も私と同じくらいかそれ以上あるよね?ついでに言うと顔も美人さんじゃないですか。これが勝ち組ってやつか……』

『まあ、その容姿のおかげでさらわれているわけですから、現時点では負け組に片足を突っ込んでいるといった状態でしょうか』

『あー、人生ままならないね』

『ままなりませんね』

『しかし、11歳でこれか……。ずいぶんと発育の良い子だね』

『いえ?ナハブ、あなたは何か勘違いをしているようですのではっきりと言っておきますが、あの少女は胸以外に関して、この星の人族での標準的な11歳の少女の体型ですよ。まあ、標準的な11歳の少女よりは若干発育が良いとはいえますが』

『え?ということは……』

『この星の人族では、11歳ならあのくらい成長していて当たり前ということです。因みに、他の子達もあなたが思っているよりも幼いですよ』


 その言葉を聞いた瞬間、私は他の子たちのステータスを確認する。


 …。

 ……。

 ………。

 …………。

 ナニコレ?


 ここにいる子供たちは10~15歳くらいだと思っていた。

 でも、確認してみたら7~11歳だった。

 え?どういうこと?

 マジで?ちょっとこの星の人族って発育良すぎじゃない?

 しかも驚愕の新事実。ここにいる子の半分以上が私よりも膨らんでいる。なにが膨らんでいるのかって?そんなのは察してくださいよ。ちなみに、私の名誉のためにあえて「半分以上」と表現しておく。詳しい数は聞くな。

 ついでにも一つ。あえて言うけど、7歳の子に負けた……。遺憾の意を表したい。

 え?何で?私14歳なのに7歳の子より膨らんでないの?泣きたい。


『日本人は比較的成長速度が遅めですからね。この星の者達から見れば年齢よりも幼く見えるでしょう』

『え?ていうことはさ……』

『恐らくナハブは10歳程度に見られていると思われますよ。まあ、あなたは日本人の中でも成長の遅い方でしたからね』


 ……。

 まじっすか。まあ、日本にいた頃からチビだとか小人だとか日常のように言われていたから、自分が小さいことは理解していたけどさ。それでも実年齢より4歳も幼く見えるほどとは思っていなかった……。


『まあ、あなたの場合はレベルのせいもあるのでしょうけど』

『は?なにそれ?』

『レベルを上げると成長及び老化の速度が遅くなり、寿命が伸びるのです』

『え?なにそれ私聞いてない』

『今初めて言いましたから』

『いやいやいやいやいや、言おうよ。それ大事だよ。え?もしかして私の身長が伸びないのってレベルのせいなの?』

『全てがレベルのせいというわけではありませんが、多少は関係しています』

『じゃあ、私のおっぱいが膨らまないのもレベルのせい?』

『いえ、それは違います。胸の成長速度とレベルは関係ありません』

『……ですよねー』

『ついでに言いますと、ナハブはここ一年でレベルを50以上上げていますので、数年は成長が止まったかのように見えるかと思われます』

『……え?マジ?』

『マジです』

『私、何年も身長伸びないの?』

『別にずっと伸びなくてもいいじゃないですか。ナハブは今くらいが一番可愛いですよ』

『いやいやいや、そういう問題じゃないんだよ。カッコいい大人の女になるためには、もっと身長が伸びてくれないと困るんだよ』

『そんなものになる必要はありません。ナハブは今の可愛い姿が最強なのです』

『いや、最強ってなによ……』


 まじかー。伸びないのかー。

 こんなことで私の「カッコいい大人の女になる」という目標が頓挫するとは……。

 いや、全く成長しないわけじゃないんだ、時間さえかければきっとそのうち……。

 だがしかし、レベルを上げちゃうとまた成長が遅くなるんだよね?レベルを上げずにいられる自信はないなぁ……。

 でも、それでもいつかは。いつかは目標に辿り着くと信じて。何年かかっても信じて日々を過ごせばきっと、身長も胸も大きくなるさ!うん、そうに決まってる。自己暗示完了。


『あ、そういえばさ、私、今のレベルだといくつくらいまで生きられるの?』

『そうですね……大体140歳位ですかね。因みに地球の人類はレベル20で寿命が80歳位となります。100歳まで生きる人はレベル35は超えてますね』

『140かぁ……。実感はわかないなぁ。あはは、まだ100年以上あるや……。てかさ、日本人って死ぬまでにレベル20とかいくの?』

『それなりの人数がいきますよ。そもそも地球に住む人類は、レベル上昇時に能力がほぼ上がらない代わりに、少ない経験でレベルが上昇するという特徴があるのです。レベルの上昇に必要な経験はこの星に住む人族と比べて、5分の1程度とかなり少なくなっているのです』

『へー、そうなんだ』

『ナハブも地球人なのでレベルが上がりやすくなっているのですよ』

『あ、そうか、そうなのか。てことは、この星の人達は私のレベルまで上げるには私の5倍頑張らなくちゃならないのか。なにそれ無理ゲーじゃない?そりゃレベルの高い人があまりいないわけだ。てか、レベル50超えてるの何人かいたよね?すごいな。どうやったんだろう』

『どうやったもなにも、地道に頑張ったからに決まっているじゃないですか』

『まじっすか……』


 多分私には真似できない。現時点でレベルが上がらなくて逃避していたのに、今の5倍とか耐えられる気がしない。

 私、日本人でよかった!しかもきぃちゃんのおかげでちゃんと能力もたくさん上昇するしね。

 レベルも上がりやすく、能力値の上昇も大きい。なんという良いことずくめ。

 それでもサボる私。

 ……ないわー。客観的に見てないわー。

 ホントごめん、きぃちゃん。これほど恵まれた事実を知らされた今、ここ三ヶ月間の自分を省みる。

 うん、もうちょっと頑張ろう……。ちゃんとレベル上げするよ私。でも、たまの息抜きは許してね?


 ……さて、話が脱線しまくったね。

 この子たちをどうするかって話だったよね。

 やっぱり隔離して眠らせておくのが―――。

 ん?なんか扉の向こうが騒がしい?何人かがこちらの方へ向かっているような気配がある。

 あ、誰か来る?様子でも見に来るのか?

 このままじゃまずいよね。

 私は他の子たちと同じように座り込み、顔を伏せる。

 よし、これで準備おっけーだね。

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