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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
5章 きぃちゃん無双
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5-11.私の人生は、着実に充実していっているようだ

 いやいやいや、さすがにこれはないでしょ。ないわー。マジでないわー。

 普通さ、こういうのってさ『よーし、今から敵の本拠地に乗り込んでいって叩き潰してやる!』とか言っちゃって、盛り上がるところなんじゃないの?物語で言うところの、佳境に入る的な場面なんじゃないの?なのにさ、もう終わったって……。


 たしかにさ、きぃちゃんの気持ちもわかるよ?今までもさんざん迷惑かけられてるしさ、きぃちゃんのことを創った国は滅ぼされちゃってるしさ、あげく、きぃちゃんのことを自分たちで創ったとかほざいてるらしいし、そりゃぁイラッと来て衝動的に行動してもしょうがないとは思うよ?でもさ、さすがに仕事早すぎじゃない?迅速すぎない?むしろフライング気味じゃない?

 まあ、きぃちゃんが優秀すぎるのは今に始まったことじゃないし、なんでも出来ちゃうのはいまさら言うことでもないから、それは別にいいんだけどさ。でも、これだけは言わせてほしい。


 私の分もちゃんととっといてよ!!


 私もさ、きぃちゃんを奪おうとしてきたヤツラに思うところがあるわけですよ。だってさ、きぃちゃんはこの世で一番大事な人――いや、物?……んー、人格があるわけだから、人でいいよね――なわけで、そして唯一無二の相棒であり、愛する家族なわけなのだ。それを奪おうとする(やから)がいるのは面白いわけがない。

 それにさ、きぃちゃんと私、二人一緒にフラスの魔術師共を撃退してきたわけだし、私もある意味当事者と言えなくもないじゃないですか。私にも、きぃちゃんを狙っていた黒幕共をぶちのめす権利くらいあると思うんですよ。それなのに、私になんの相談もなしで、きぃちゃん一人で全部終わらせちゃうなんて、頼りにされてないみたいで寂しいじゃないか。あんまり私のことないがしろにすると、泣くぞ!私はきぃちゃんに相手にされないことが一番心に来るんだからな!本気で泣くぞ!!


 そんなことを半泣きで訴えかけてみれば、さすがのきぃちゃんも悪いと思ったのか、謝罪をしてくれました。……悪いと思ったんだよね?私が本気で泣いたら面倒だから、とか言う理由じゃないよね?

 まあそんなわけで、少々腑に落ちないところもないわけじゃないけれど、きぃちゃんを狙う悪の組織は壊滅しましたとさ。めでたしめでたし。






 さて、それからあっという間に一年が過ぎました。ついに私も二十歳です。日本の法律での成人を迎えました。お酒もタバコも解禁の年齢です。私の見た目だと絶対に止められるけどね。まあ、ほぼ日本にいることなんてないし、そもそも、どちらにも全く興味がないのでどうでも良いことなのですが。もしかして成長が止まるっていうのは、味覚なんかもそのままってことなんですかね?私は自他共に認めるお子様舌なので。でも、きぃちゃんのご飯が美味しいので、ちゃんとピーマンも食べられますよ?きぃちゃんの料理以外で出てきたら、ちょっと遠慮したくはありますが。お酒に関しては、以前飲む機会があったので飲んでみたことはある(アルクハムでは、飲酒の年齢制限はないので)のですが、正直言って、全然美味しく感じなかったんですよね。あんなの飲むくらいなら、ジュース飲んでたほうが全然良いですよ。それに、ハンバーグだって美味しいし、オムライスも美味しい。グラタンだって美味しいし、ラーメンも美味しい。味覚なんて育たなくたって、なんら問題がないのですよ。子供舌だって、美味しく食べられるものはたくさんあるのですから。

 ただ、見た目に関してだけは、本当にどうにかならないですかね?15歳を過ぎたあたりから、一ミリも身長も胸囲も増えていないというのには、遺憾の意を表明したいところです。

 と、まあ愚痴ったところでどうにもならないので、この話は終わらせておきましょう。


 それよりも、あの後のお話です。多くの権力者を失い、さらには国の最高戦力である『魔法少女部隊』を失った『魔導帝国イクトゥス』は、いともたやすく他の国々に侵略されたそうです。うん、国じゃなくて、国々なんだ。つまり、複数の国に侵略されたというわけだね。どうやらあの国は、他の国からも相当恨みを買っていたらしく、指導者もいなければ、抑止力にもなっていた『魔法少女部隊』も不在。あげく、きぃちゃんに中枢部をズタボロにされ、残った戦力も士気が低いというこの絶好の機会に、周辺の国々がこぞって攻め入ったらしいのです。周辺国全てに恨まれてるって、ある意味すごいよね。戦争になっても絶対に負けないという自信があったからこそ、強気を通り越した傲慢な外交をしていたんだろうけど、その前提が崩れちゃったわけだからね。


 ちなみに、中枢部の障壁と『魔法少女部隊』が健在であれば、周辺国全てを相手にしたとしても絶対に負けはないのだそうな。

 『魔法少女部隊』は全員が『神を騙る繁栄(デウスエクスマキナ)』を所持している。それは一つ一つが、きぃちゃんには遥かに及ばないにしても、規格外な武器であることには間違いがない。『魔法少女部隊』とは、たった一人で軍隊を相手にできるような一騎当千の力を持った者たちの集団であり、相手国からすれば悪夢のような部隊なのだ。……うん、意外とものすごい部隊だったんだね。副隊長があまり強くなかったから、大したことのない部隊なのかと思ってたよ。


 そして『魔導帝国イクトゥス』の中枢部を覆う障壁は、そんな『魔法少女部隊』の全員が全力で攻撃しても、傷一つつかないという強力な障壁であり、これが破られることは絶対にないと言われていた。まあ、実際にはきぃちゃんが簡単に壊しちゃったんだけどね。きぃちゃんにできないことなんてないんだから、しょうがないよね。

 他国には『魔法少女部隊』のような攻撃力もなければ、『魔導帝国イクトゥス』の中枢部を覆う障壁のような防御力も持ち合わせてはいない。ならばこの二つがある限り、絶対に『魔導帝国イクトゥス』の負けはないと、おごってしまうのも仕方のないことなのかもしれないね。


 そんな『魔導帝国イクトゥス』の最高の攻撃力であった『魔法少女部隊』が、今どうなっているのかと言えば、実は全員こっちの世界(ミスレティア)にお引越ししてきました。なぜかは知りませんが、どうも私はアスティ(私を襲ってきた魔法少女部隊の副隊長の愛称)になつかれたらしく、やたらと一緒にいたがるんですよね。それで、お家に帰すために送っていこうとしたところ、大事な人達を連れてこっちに移住したいと相談されたのです。『魔導帝国イクトゥス』への愛国心なんてものは全くなく、いっそあんな国とは縁のないところで暮らしたいとのこと。まあ、そうだよね。幼い頃に、適正があるからと問答無用で強制的に軍に入隊させられるような国を、愛せと言われても無理だよね。そんなわけで、アスティの仲間たちやその家族等に、アスティの意思を伝え、移住をするかと希望を聞いてみれば、仲間たちは全員が即断で移住希望、その家族たちは半分くらいが移住希望ということになりました。こうして『魔導帝国イクトゥス』は、最高戦力である『魔法少女部隊』をほんの一瞬で失うことになってしまったのです。……えーとさ、国の最高戦力を誇る部隊の全員に嫌われている国って、どうなの?

 ちなみに、残った家族たちにもいつでも会えるよう、簡易的な転移の魔道具を渡してあります。さすがに、残った家族と二度と会えないなんていうのは寂しすぎますしね。アフターケアも万全ですよ。


 そして、こちらへ移住してきた『魔法少女部隊』の人たちが今なにをしているのかと言うと、主にレベル上げです。部隊は実質消滅しているようなものなので、すでに軍人ではなくなったとはいえ、やはり強くなるということには貪欲なようで、魔大陸まで複数人で行って、その中でも弱めの魔物(あそこは最低でもレベル百オーバーの魔物ばかりなので、それでも結構ギリギリ)と戦ってみたり、私の創ったダンジョンである、異次元迷宮イグドラジルを探索してみたり、きぃちゃんに戦闘訓練をしてもらったり、いろいろとやっているようです。


 さて、ここでお知らせです。なんと、また私に妹が増えました。アスティとビーチェ(魔法少女部隊の隊長の愛称)の二人です。アスティが私と一緒に住みたいと駄々をこね、ならば私もアスティと一緒がいいとビーチェが言った。結果、二人とも私の妹になりました。

 順調に私の家族が増えているようでなによりです。……うん?別に私、家族を増やそうとか思ってなかったんだけどなぁ?まあいいか。

 しかし、最初はきぃちゃんと二人だけ(当時はきぃちゃんは身体を持っていなかったので、物理的にはぼっち)だったというのに、いつの間にやら大所帯になったなぁ……。まあ、私は甲斐性のある女ですから、何人でもどんとこいですよ。こう見えて私、一応凄腕の冒険者ですから。お金は使い切れないほどもってるんです。

 ただ、妹が増えるのは良いのですが、私よりも年下に見えるのがアニエだけというのがなんとも……。どうにかして、身長伸ばせないですかねぇ?あと、胸も……。

これにて本作品は完結となります。初めてこういったものを書いたので、拙い部分ばかりだったかとは思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。今後も機会がございましたら、よろしくお願いいたします。

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