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殲滅の魔法少女  作者: A12i3e
5章 きぃちゃん無双
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5-1.ア○サ、エ○トポ○ス、ル○ラの○宝

 ミーナと出会ってから二年以上の時が経ち、さらには私がこの世界へと飛ばされてから、丸々六年の時が過ぎました。ついこの間、なんと私は十九歳になったのです。この世界へと来た当初は中学生だった私も、今や大学生とも言える年齢に。時の流れはなんとも速いものです。

 しかし、これだけの年月が過ぎてなお、私の見た目はこの世界へとやってきた時のまま……。成長しないこの身体が憎い。それでも、レベル上げはやめられない。だってそれは私の生きがいと言って良いほどの、楽しみのうちの一つなので。

 身体の成長とレベル上げとを比べて、レベル上げの方を取ってしまう私も私だけど、ちょっと私に厳しすぎじゃありませんかね?この仕様。まあ、それを嬉々として受け入れているゾミーみたいな存在もいるので、というか、むしろそっちのほうが大多数なわけで、私の意見のほうがマイノリティだという自覚はあるんだけどね。というかですね、幼い頃からレベルを上げまくったのが悪いと言われてしまえば、私に反論する言葉はないのですよ。たとえそれが、知らないうちにレベル上げをしていた結果なのだとしても。結局の所、知っていたとしてレベル上げの誘惑にあらがえたとは思えないので。だってさ、実際にレベル上げなんてものができるってなったらさ、ゲーマーとして、RPG好きとして、しないわけにはいかないじゃん?異論は認めぬ。


 さて、とりあえずだらだらと言い訳を述べてみたわけだけど、いいかげん話を進めよう。というか、補足説明をば。まあ、具体的に言えば冒頭に出てきた『ミーナ』についてです。

 本名、ルミナ・エテ・グラディエル。愛称、ミーナ。グラディエル国の王女様です。年齢は私の一つ下の十七歳。え?一つ下なら十八歳じゃないのかって?まあ、それはそうなんだけど、私よりも誕生日がだいぶ遅いため、まだ十八歳にはなってないんだよね。なので、永遠の十七歳(十七歳教)とかではありませんのであしからず。

 ちなみにグラディエル国とやらはどこにあるのかと聞かれれば、こっちの世界ではなく、別の世界の国だったりします。いわゆる異世界ってやつですね。


 で、なにゆえ異世界のお姫様と私が知り合ったのかというと、これにはとても複雑な事情があるわけなのです。


 ある日、私は新しいゲーム(新作という意味ではない)を物色するため、日本にある適当なゲームショップにやってきていました。そこで私が目をつけたのは中古ソフトのワゴン。隠れた名作なんかが意外な値段で放り込まれていたりするので、ゲームショップに行ったときは必ず確認するようにしているのです。いや、正直お金に関しては気にする必要はなくなったわけなんですが、どうも昔からの習性がね……。ワゴンの中の安いゲームソフトは、小学生のお小遣いの味方だったんで。

 そして吟味に吟味を重ねて選ばれた二本のゲームソフト。なんか魔法使いっぽい人が溶岩っぽいところに落ちそうになってるっぽいパッケージのソフトと、浮遊大陸っぽいのを眺めてるっぽいパッケージのソフトの二本です。どちらも『2』とか書いてあるような気がするけど、細かいことは気にしません。というかむしろ、昔のゲームソフトって、二作目や三作目あたりに名作が集中しているような気がしないでもないんですよね。ちなみに、パッケージイラストの表現が『ぽい』ばかりなのは、私の推測でしかないための仕様です。いや、だって実際の内容なんてわからないんだし、それが合ってるかどうかなんてわからないじゃん。

 しかし、問題はここからなのです。選ばれし二本のソフトのうちのどちらを買うべきか……。悩んだ末にきぃちゃんに意見を聞いてみれば、両方買えば良いだろうとの答えが……。違うんだよ、きぃちゃん。このワゴンの中にあるたくさんのソフトから、一本を選び取るということに意義があるんだよ。え?そんな意義など存在しないって?……むぅ、きぃちゃんにはロマンが足りないと思います。

 きぃちゃんは当てにできないということを理解し、もう一度パッケージを見比べようとしたその時、ビビッと来ました。来ちゃいました。いわゆる、天啓ってやつです。

 そうだこれだ。きっと私は、今日これを買いにここまで来たんだ。そんな思いと共に、目的のゲームソフトを手に取ります。ちらりと視界に入った瞬間、これしかないと思わずにはいられなかったソフト。今の今までこれを見逃していたとはなんたる不覚。でも気にしない。だって私は、過去を振り返らない女(自称)だから。残念ながらパッケージも説明書もない、ゲームソフトのみの商品だったけど、そんな事は気にしません。きぃちゃんからも、さっきの二本のソフトのどっちでもないじゃないかというツッコミが入りましたが、そんな事は気にしません。ゲームのラベルには、上から下に向かって青(群青色?)から白のグラデーションが。そして真ん中にゲームタイトルが入っているだけというシンプルなもの。しかし、なぜか妙に心惹かれるものがあります。よし、これを買って帰ろう。そう思い振り返り、レジへと歩き出そうとしたところで思わぬ再会が待っていたのです。


「ユノ……さん?」


 驚いたような表情で私を見ていた高校生くらいの男の子に、今の私の名前をつぶやかれ少し警戒をする。日本に今の私の名前を知る人はいないはず。だって私は、あの世界へと飛ばされたあとに改名をしたんだから。であれば、今目の前にいる、私の名前を知っている男は一体何者?そんなことを考えていると、男の仲間たちがやってきました。どうやら、仲間たちも私のことを知っている模様。疑問に思ったのもつかの間、ふと、こちらで私の名前を知っている存在に思い至る。そう、以前にあちらの世界で出会い、そして私が日本へと送り返した勇者たちだったのだ。

 相手の正体がわかり、せっかくなので少し会話をすることになったのですが、ふと、思い立ちました。そうだ、自慢がしたい。偶然にも、日本で私のことを知っている人たちに出会えたんだから、今の私を自慢したい。というわけで、ヘイ!勇者たち、私を『鑑定』してみたまへ。

 うん、そうなんだ。ついに私『魔王』の称号ゲットしたんだ。魔王のロールプレイをしながら害虫駆除のお仕事をしていたら、意外とあっさり手に入りました。思いの外簡単に魔王ってなれるんですね。


 そんなこんなで勇者たちと話をしていると、周囲に魔力の気配を感じた。ふむ、転移プラス隷属の魔法陣、対象は勇者たち、か。なんとまあ、こんな短い期間に勇者召喚に二回も引っかかるとは……運が良いと言っていいのやら、悪いと言ったほうがいいのやら。

 魔法陣を無効化することは簡単だったんだけど、あえてなにもせず勇者たちを見送る。いや、だってなんか面白そうじゃん?せっかくだから、召喚された勇者たちに便乗して私も異世界にお呼ばれしてみたいじゃん?ってなわけで、魔法の痕跡をたどって勇者たちと合流。そしてそこで出会ったのが、ミーナというわけなのです。


 え?複雑な事情なんて欠片もないし、余計な話(主にゲームの話)が長いって?……うん、なんか、ごめん。











 余談ではありますが、勇者たちを追って転移した直後、ゲームソフトを手に持ったままだったことに気付き、ゲームソフトだけワゴンの中に転移させ戻しておきました。ふぅ、危ない危ない。危うく万引きするところでした。万引きダメ。ゼッタイ。ワゴンの下の奥の方に隠すように転移させたため、他の誰にも買われることもなく、後日、無事購入することができました。ヨカッタヨカッタ。

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