雨音途色
雨──
たまに、無性に雨に打たれたくなるのは何故だろう──
傘も差さずに歩いたり、自転車で走ったり。
なんで、雨に触れたくなるのだろう──?
小雨、雨、大雨……
雨と言っても、様々な雨の顔が存在する。
「今日は、かなり降ってるなぁ……」
雨だと外に出たく無いけど、出たら出たらで、家に帰りたく無くなる。
なんなんだろうね、この気持ち。
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ああ、雨か……
面倒くせーな。傘の貸し出しの準備しねぇと……
そう言やあ、最近アイツを見掛けねーな。
また何か、企んでるんだろう……
面倒なことに巻き込まれたくねーけど、いつもアイツが原因だ。
いつになったら、アイツは“昔のアイツ”に戻るんだ……?
なぁ、神様。
ヒントだけでも、くれねぇか…?
アイツを“昔のアイツ”に戻す、ヒントを──
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雨──
小さい頃、よく水たまりを飛び越したり、水たまりにジャンプしたりして、遊んでいた。
親に汚れるから止めろって、怒られたっけ。
それが、高校生になった今──
それほどジャンプしなくても、水たまりを越えられるようになった。
……って、特に何も無いんだけど。
でも、ふいに過去の記憶や思い出が蘇ったり、思い出したりすること、あるよね。
でも、過去の僕はもう居ない──
今の僕は、良い子なのだろうか……?
いや、悪い子に決まっている。
でも、もしかしたら……グレーかも知れない。
“良い子”ってナンデスカ……?
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どしゃ降りの雨。
俺は、傘を差さずに歩いている。
喧嘩した時に出来た傷が、雨に染み込んでいく。
ズキズキと痛むけど、傷口を洗っているかのような、どしゃ降りの雨。
俺は今日も、“制裁”を行った──
しかし、この傷口の言い訳はどうしよう?
颯斗のことだから、心配するんだろうな……
ま、適当に誤魔化しとくか。
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雨とは、落ち着かせてくれる音──
でも、時には“雑音”にもなる──
人の気持ち次第では、良いものにも、悪いものにも感じ取られてしまうもの。
そして、人間の心を洗ってくれる──
私は、何時までこんなことをしているんだろう。
もう、お父さんもお母さんも居ないのに。
面影ばかり探して、私は一体……
“ナニガシタインダロウ”──
自分の目的が、雨によって見えなくなる。
そして、私の存在する意味を自分自身で問うてしまう。
私の生きている意味って……?
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雨とは、危険だ。
雨によって泥濘るんだ道や、滑りやすくなってしまったマンホール等々……
非常に人間を困らせる、自然だ。
でも、雨は僕は嫌いじゃない。
風情ある、由緒正しき自然だ。
自然には、逆らうことすら出来ない──
人間には、逆らえるのにね……?
はぁ、早くシンディから連絡来ないかなぁ…♪
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酷い雨だ。
これは、仕事が終わる前に深海に迎えに来てもらおう。
雨というものは、時に残酷だ。
私は、雨が嫌いだ。
小さい頃にイギリス、フランスを転々として日本に来たが……
どれも、天気は雨だった──
だから、雨はあまり好まない。
しかし、雨というものは証拠を消してくれる、素晴らしい仕事をしてくれる。
そこは、好きなんだがな。
後は、本棚を整理したら仕事は終了だ。
私の声帯……
いつか必ず、自分の手で取り戻す──
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各々、“雨”に関して様々な思いを抱いているみたいだね~。
天気一つで、こんなにもいろんなエピソードがあるとは……
やはり、人間は《面白い》──
人間は大嫌いだけど、根からは嫌いになれない。
俺は、俺なりに人間観察をして行くとしよう。
それが、どんな結果になろうとしても──
俺は、しかと見届けよう。
この《非日常》の“dealer”として、中立に。
誰の味方もしないさ。
だって、俺は《孤独》を愛しているから──




