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UDNMO!   作者: 桜川 京華
38/44

雨音途色



 雨──



 たまに、無性に雨に打たれたくなるのは何故だろう──


 傘も差さずに歩いたり、自転車で走ったり。



 なんで、雨に触れたくなるのだろう──?




 小雨、雨、大雨……


 雨と言っても、様々な雨の顔が存在する。




 「今日は、かなり降ってるなぁ……」



 雨だと外に出たく無いけど、出たら出たらで、家に帰りたく無くなる。



 なんなんだろうね、この気持ち。




 *******



 ああ、雨か……



 面倒くせーな。傘の貸し出しの準備しねぇと……



 そう言やあ、最近アイツを見掛けねーな。



 また何か、企んでるんだろう……


 面倒なことに巻き込まれたくねーけど、いつもアイツが原因だ。



 いつになったら、アイツは“昔のアイツ”に戻るんだ……?



 なぁ、神様。


 ヒントだけでも、くれねぇか…?



 アイツを“昔のアイツ”に戻す、ヒントを──




 *******



 雨──


 小さい頃、よく水たまりを飛び越したり、水たまりにジャンプしたりして、遊んでいた。



 親に汚れるから止めろって、怒られたっけ。



 それが、高校生になった今──



 それほどジャンプしなくても、水たまりを越えられるようになった。



 ……って、特に何も無いんだけど。



 でも、ふいに過去の記憶や思い出が蘇ったり、思い出したりすること、あるよね。



 でも、過去の僕はもう居ない──



 今の僕は、良い子なのだろうか……?


 いや、悪い子に決まっている。


 でも、もしかしたら……グレーかも知れない。



 “良い子”ってナンデスカ……?




 *******



 どしゃ降りの雨。


 俺は、傘を差さずに歩いている。


 喧嘩した時に出来た傷が、雨に染み込んでいく。


 ズキズキと痛むけど、傷口を洗っているかのような、どしゃ降りの雨。



 俺は今日も、“制裁”を行った──



 しかし、この傷口の言い訳はどうしよう?


 颯斗のことだから、心配するんだろうな……



 ま、適当に誤魔化しとくか。




 *******



 雨とは、落ち着かせてくれる音──



 でも、時には“雑音”にもなる──



 人の気持ち次第では、良いものにも、悪いものにも感じ取られてしまうもの。



 そして、人間の心を洗ってくれる──



 私は、何時までこんなことをしているんだろう。



 もう、お父さんもお母さんも居ないのに。



 面影ばかり探して、私は一体……



 “ナニガシタインダロウ”──



 自分の目的が、雨によって見えなくなる。



 そして、私の存在する意味を自分自身で問うてしまう。



 私の生きている意味って……?




 *******



 雨とは、危険だ。


 雨によって泥濘ぬかるんだ道や、滑りやすくなってしまったマンホール等々……


 非常に人間を困らせる、自然だ。



 でも、雨は僕は嫌いじゃない。


 風情ある、由緒正しき自然だ。



 自然には、逆らうことすら出来ない──


 人間には、逆らえるのにね……?



 はぁ、早くシンディから連絡来ないかなぁ…♪




 *******



 酷い雨だ。


 これは、仕事が終わる前に深海に迎えに来てもらおう。


 雨というものは、時に残酷だ。



 私は、雨が嫌いだ。



 小さい頃にイギリス、フランスを転々として日本に来たが……



 どれも、天気は雨だった──



 だから、雨はあまり好まない。



 しかし、雨というものは証拠を消してくれる、素晴らしい仕事をしてくれる。



 そこは、好きなんだがな。


 後は、本棚を整理したら仕事は終了だ。



 私の声帯……



 いつか必ず、自分の手で取り戻す──




 *******



 各々、“雨”に関して様々な思いを抱いているみたいだね~。



 天気一つで、こんなにもいろんなエピソードがあるとは……



 やはり、人間は《面白い》──



 人間は大嫌いだけど、根からは嫌いになれない。



 俺は、俺なりに人間観察をして行くとしよう。



 それが、どんな結果になろうとしても──



 俺は、しかと見届けよう。



 この《非日常》の“dealer”として、中立に。



 誰の味方もしないさ。



 だって、俺は《孤独》を愛しているから──








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