冷酷冷静
俺は最近、若者たちのことがサッパリ、分からなくなってしまった。
若者が一体、何を思い、何を考えているのか。
俺には“思春期”はあっても《反抗期》は無かった。
だって、俺には親が居なかった訳で、反抗したくても、出来なかったんだからね~。
あ。でも、人に反抗した時期があったから、それを《反抗期》としよう(笑)
俺にもあったわ、そう言えば。
さて、かのお三方には“思春期”はあっても《反抗期》はあるのかね~?
*dealerのリーダー・善遇神 颯斗くん
*青海七の創立者・公家 嗣良くん
*罰族詩の申し子・立花 香里さん
この3人は、違う力を持つ人間。
十人十色、みんな違って、みんな良い──
三人だから、“三人三色”かな。
彼らの日常は、日常のようで日常では無い。
日々、《非日常》の世界で生きている──
人の数の力で動かす“dealer”
力でねじ伏せる“青海七”
とある能力の持ち主“罰族詩”
素晴らしいことに、3人は《雲壤月鼈》のような人間だ。
しかし、考えていることが一向に分からない。
彼らだって、若者だもの。
俺にも“若者”って時代、あったのになぁ。
あ、いや違う。
逆か(笑)彼らやキミたち人間からして、俺の思っていることや考えていることがサッパリ、分からないのか。
それは、別に構わない。
理解して貰おうなんて、微塵も思っていないから。
やはり、孤独が一番さ。
孤独ほど、自分のことを一番に理解して、知っているものは居ない──
俺は《狂変乙女》にちょっと似る部分が、あるのかも知れない。
彼女は、自分自身を愛しているのかは分からないが、他人のことは愛しては居ない。
自分さえ良ければ、他人などどうでも良いというさスタンスだ。
自己中心的な、ね。
まぁ、分からなくも無いが……俺の場合は興味の無い人間のみ、そう思うかな。
後は、自分に危害を加える人間とか……ね。
俺は颯斗くんたちとは、似ているようで《似ていない》んだ。
何故なら、彼らにはまだ《心》があるからだ。
人間らしい、思いやりのある心が。
しかし、俺にはその心さえも無い。
心が無ければ、感情すら無い。
笑ったとしても、上辺だけ。
本当の感情なんざ、今の俺には無い。
俺の両親を殺した犯人が見つかったら、話は別だけど。
《狂変乙女》さん、また会えないかなぁ。
狂ってないから、早く狂った姿が見たいのに。
え?危ないから、止してくれって?
やだなぁ。《非日常》の世界だからこそ、存在し、有り得るのであって、“日常”の世界には有り得ないじゃない。
《非日常》の世界に居る今、《非日常》の世界を楽しまないで、どうするの?
今しか出来ないこと、今だからこそ出来ることはちゃっかり、やらないと……ね?──
俺にとっては、毎日が《非日常》の世界。
彼らもちゃんと、《非日常》の世界へ引きずり込んだし……
ああ、キミも来るかい?
楽しい、楽しい《非日常》の不思議な世界へ──
冷酷冷静な俺が、ご案内致しましょう。
なーんてね。
そんなに、親切丁寧にする訳ないじゃない。
俺、人間大嫌いなのに。
ちょっとでも、期待した?
あ、そう。そう簡単に信じるキミは、馬鹿だね~。
少しくらい、疑いなよ。
なんでもかんでも信用すると、痛い目に遭うよ?
“裏切り”や《騙し》に──




