シンディ・アフィルヴィン
私は、シンディ・アフィルヴィン。
私には、声帯というものが存在しない。
何故なのかは……未だに分からない。
しかし、私は……理由が知りたい。
私は女子高生だが、日常生活も学校生活も、何不自由無く過ごさせてもらっている。
それに、私は今……
祓賢の探偵事務所を手伝っている。
書類の整理やファイリング、来客のお茶出しや事務所の掃除等々……
まぁ…それなりにお給料貰っているし、迎えは必ず深海だから、別に不満も無い。
掃除や書類整理をしながら、私の声帯の謎を解くヒントが隠されているのでは無いか。
もしかしたら、私の声帯に関する情報が何処かにあるのでは無いかと探すが……見つからない。
私はイギリス、フランスを経て日本に来たらしい。
それしか、聞いていない。
だから、自分のことをまだ詳しくは知らないのだ。
自分の性格や癖、利き腕とか嗜好が……
全く分からない。
そして、誰も教えてはくれない。
“ワタシハ、イッタイダレ?”──
時々、夜が怖くて眠れない時がある。
何故だか知らないが、夜になり一人で寝ようとすると、恐怖が襲って来る──
そして、私はよく……
殺される夢を見る──
追いかけて来たり、いきなり飛び出して来たり……
そして、夢の途中で……殺される寸前に目を覚まして起き上がる。
額にも体にも汗をかいて、喉も渇いている。
喉を潤し、汗が引いて落ち着いてから、また眠りに就く。
こうした生活が、何年も続いている。
早く、私の声帯を探して見つけ出したい。
“ワタシノセイタイヲ、ハヤクカエシテ”──




