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UDNMO!   作者: 桜川 京華
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深海ノ思イ




 稔夜……


 キミはどうして、そんな風になってしまったんだ。



 あの頃のキミは、もっと心があって優しくて、


 友達思いの……良いヤツだったのに──




 急に変わってしまった、稔夜。


 しかし、僕だけはまだ信用してくれているみたいだ。


 だから、僕は毎回のカウンセリングで彼に対して


 「正常な人間ですね」と言って帰している。



 最後は僕の言葉で、不機嫌そうに帰って行く。



 何故なら、彼は《人間不信》の“人間嫌い”では無いからだ──



 裏切られても騙されたとしても、今でもかすかに人間を信じているからだ。



 本当に《人間不信》の“人間嫌い”なら、探偵屋なんて継がないだろ。



 ましてや人と関わる仕事をしているなんて、可笑しいじゃないか。



 矛盾しているのが人間だけど、矛盾し過ぎだよね。



 蓮利も心配してくれてるみたいだけど、どうしてあんなに仲良かった蓮利と敵対するようになったんだろう……



 本当に、人間とは不思議な生き物だ。



 でも、分からない訳では無い。


 僕だって、稔夜のようなことが起きたら……



 “キット、コワレル”



 彼は、自分と戦っているのかも知れない。



 もう、そろそろ人間を好きになっても……


 人間を信じても良いのではないかと。



 しかし、また裏切られるんじゃないか?


 また騙されるんじゃないか?という、恐怖に


 襲われ、怯え、なかなか踏み出そうとすることが出来ない。



 僕はそう、思っている。


 だから蓮利でも良い、身近な人でも近所の人でも良いから、信用出来る人間を作れと言っている。


 だが、断固として彼はそうしようとは、しない。


 「深海だけが信用出来る。信用出来る人間が一人でも居たら、俺はそれで良い」



 何だか、かっこいい台詞を言ってるみたいに聞こえるけど、それだけじゃ人生はつまらない。



 確かに、裏切られたり騙されたりした傷は一生消えないし、治らない。



 しかし、経験するかしないかで、人生は大きく変わって来るんだ──



 でも、出来れば経験したくは無いよね。





 そして、僕は疑問に思っている。



 蓮利に聞いても、分からないって言うし……



 今度のカウンセリングで聞いてみようか……?




 まだまだ、稔夜カレの治療は自覚がかかりそうだ。



 一日でも早く、“アノ事件”が起こる前のキミに戻ってくれることを祈って止まない──










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