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UDNMO!   作者: 桜川 京華
22/44

トアル連休



 5月──


 今、世間はGW真っ只中。



 GW中は実家に帰ることが出来るけど、僕は祓賢稔夜の“非日常”世界へ行ってみたくて、学生寮に残った。




 「やぁ、颯斗くん」


 5月のよく晴れた、蒸し暑い午前10時。


 相変わらず、祓賢稔夜は黒っぽい厚手のパーカーを着ている。



 「さて、“非日常”世界へ行きますか~」



 そう言って、歩き出した祓賢稔夜の後を僕はついて行った。



 ずっと気になっている、祓賢稔夜の“人間嫌い”



 本人に聞いて良いのだろうか。



 でも、どうしてそこまでして人間を嫌うのか。



 確かに、自分もたまに人を信用出来なくなるけど……



 でも、今でも人を信用するし、嫌いではない。



 というか嫌うこと自体、あまり無いのかも知れない。


 そういう“人間嫌い”なことも、今まで起きたこと無かったし。



 

 そう、いろんなことを考えながら歩いていると



 「着いたよ」



 祓賢稔夜に言われて見ると……そこは学校。



 「が、学校……???」



 僕が理解出来ずに居ると、祓賢稔夜は指を差し



 「あそこに蓮たんが居るんだよ♪」



 と言われて、僕は指の指す方向を見た。



 「あ、本当だ。平穏田さんだ」


 「今日は非常勤講師の日だから、ああやって授業してるんだよ」



 「へぇ~、そうなんですね」



 「人の“日常”を覗くのも、また“非日常”さ」


 「人の日常……」



 人の日常を見るのも、感じ取るのも“非日常”になる。


 日常という、何も変哲もない毎日にちょっとしたことでも違うことをしたのならば、それは“非日常”になるらしい。



 しかし、その非日常も同じように繰り返されるならば、それは自然と日常になるんだと。



 田舎者の僕が高校で都会に出たのは“非日常”。


 だけど、その生活も今や“日常”──




 「ちょっとしたアクションも十分“非日常”になっているのさ」



 祓賢稔夜の言葉一つ一つに、僕は考えさせられた。



 しかし、どう見ても祓賢稔夜が人間嫌いには見えない。


 むしろ、人間好きに見える。



 孤独なんてそんな、寂しいこと………



 言わないで欲しい。



 きっと、祓賢稔夜だって孤独が怖いんだ。


 人間と関わっていたいからこそ、探偵という仕事をしているんだろう。



 いろんなことを祓賢稔夜に言いたかったが、反論されるのが怖くて、やめた。










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