日常トハ
僕は、祓賢稔夜に言われた“日常”が“非日常”になるという言葉がずっと頭から離れない──
一体、どういう意味なんだろう。
そこで、僕は《あのアプリ》で聞くことにした。
「稔夜さん、こんにちは!」
【やぁ、颯斗くん。こんにちは。】
「また、質問良いですか?」
【ああ、構わないよ。】
「あの、“日常”が“非日常”になるって……どういう意味ですか……?」
答えは、こんなものだった。
【あれ?深く考えちゃったの?(笑)いや、キミが田舎の中学を卒業して、都会の高校に入学した。中学という“日常”だった世界から、高校という“非日常”の世界へと足を踏み入れたって意味だったんだけど。】
「あ、すみません…僕、深く考えちゃってました(笑)」
なんだ、大した理由じゃないのか。
【でも、もうそれも“日常”化しちゃったしね~】
「あ、結構慣れて来ましたよ!学校生活。」
【でもさ、“日常生活”ばっかだと……飽きない?】
「え……それは、どういう意味…」
【興味があるなら、俺がキミを“非日常”世界へと連れて行ってあげるよ。】
この文章を見ただけで、祓賢稔夜のあの怪しげな、不敵な笑みが想像出来る。
ゾクリと背中に寒気が走った。
しかし、頭では分かっているのに。
逆の行動をしたがるのは、人間の証拠。
いよいよ、僕は“非日常”への世界へ足を踏み入れてしまう──
いろんなものが入り組んだ、不思議な世界へ──
*******
彼には、ああ言ったけど……
本当は違うんだ。
俺は彼が青嵐学園に入学すると決まった辺りから、
《キミを知っている》よ──
キミみたいなdealerは、貴重だからね~……
さぁて、人間観察を始めるとしますか。