医者・新川深海
僕は新川 深海。
医者である。
父の病院を手伝い、継ぐ準備を進めている。
僕が医者になろうとしたのは、跡継ぎの為でもある。
しかし、僕が一番、医者になる決意をしたのは……
そう、“彼女の為”だ。
声帯を無くした、彼女の為に──
彼女の名前はシンディ・アフィルヴィン。
シンディは声帯を失った頃から、父の元で暮らしている。
そして、僕の……結婚相手だ。
僕はシンディの美しさに目も心も奪われた。
最初は全く心を開かず喋ってもくれなかったが、今では笑い合う程に仲良くなったし、信頼もしている。
彼女が何故、僕の父の元で暮らしているのか──
それは、僕の父が最高の医者だからだ。
彼女は今年で17になる。僕は22だ。
彼女は年齢を重ねるごとに益々、美しくなり、魅力的な女性になっていく。
僕は彼女を愛している。
誰にも渡さないし、渡す気などさらさらない。
そして彼女も又、僕を愛してくれている。
声が出せなくても、mPadやスマフで会話出来るから、ちっとも苦痛ではない。
“以心伝心”や“相思相愛”なんて言葉は、僕たちの為にあるようなものじゃないか!
僕は絶対に彼女を守り、必ずや彼女の声帯を取り戻す──