両親トノ約束
平穏田蓮利。俺にも、いろんな過去があった。
俺は中学からずっと喧嘩ばっかしてた。
稔夜に止められる時もあったが、ふっかけて来るのはいつも稔夜や相手からで。
何故、俺が今でも稔夜と連むのか……
それは……稔夜の両親との“約束”だからだ──
稔夜の両親が事件に遭う前に一度だけ、稔夜の居ない時に稔夜の両親に呼ばれたことがある。
「喧嘩すんなよ」とか「仲良くしてあげて」なら、適当に聞き流そうとしたが、違った。
稔夜は寂しがり屋で、素直じゃない所もある。
酷いことを言って傷付けてしまう場合がある。
でもそれは、構って欲しいから。
甘えたいからなんだという。
他にも色々と、稔夜のことについて色々聞かされた。
その時は、なんでそんな話を俺にするのかサッパリ分からなかった。
俺の知ったこっちゃねぇとまで思ったが、稔夜の両親の表情や言い方が真剣だった。
稔夜と俺は家族ぐるみの付き合いをよくしていたから、何だか1つの大きな家族みたいになんでも話せる間柄だった。
そして、稔夜の居ない時に呼ばれたのに違和感があった。
「どうして俺がそんなこと……」
「頼む、頼れるのは蓮利くんしか居ないんだ」
どうか、稔夜を……と土下座までされた俺は、稔夜の両親の約束を受け入れた。
その後に事件が起きた。
そして、稔夜は少し壊れた。
次に母親が自殺した時に、完全に壊れた。
“人間が大嫌いだ”──
そう言い放って、アイツは俺に
「今日からキミは俺の敵だ、俺は誰も信じない。どいつもこいつもみんな、簡単に裏切りやがって!!俺は孤独を愛するとするよ。人を信じて愛した所で、相手がどう思うかなんて分からないもんねぇ?」
と、嫌みたらしく言って去って行った。
あんなに人懐っこくて、優しくて人柄も良いアイツが、あんな風に変わってしまうなんて……
分からなくもないが、そこまでして人間が大嫌いなのか──
アイツの言葉には、心が無いように思えた……
どんなに稔夜が俺を嫌おうと、俺だけはアイツを信じてやらないといけない。
稔夜の両親と約束したんだ……
稔夜には、この話は言わないように口止めされてるから、言わないけど……
戻ってくれよ、あの頃のお前に──